
本記事のポイント
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- ハイブリッドクラウドのセキュリティが難しいのは「管理の分散」という構造的な問題
- セキュリティと柔軟性を両立するためには、データ配置の最適化・認証基盤の統合・監視、運用の一元化を軸に設計をすること
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「我が社のセキュリティは大丈夫?」
ハイブリッドクラウドの活用が進む一方で、オンプレミス・複数のパブリッククラウド・SaaSが複雑に絡み合う今の環境では、こうした不安を抱えながら日々対応されているIT担当者の方が多いのではないかと思います。
本記事では、ハイブリッドクラウド環境のメリットを活かしつつ「何か起きたとき」に備えてどのように全体設計を考えればよいのか、役立つポイントを解説します。
目次
1. なぜハイブリッドクラウドの “セキュリティ” 設計は難しいのか?
ハイブリッドクラウドはオンプレミスとクラウドのメリットを享受できる一方で、なぜセキュリティ設計が難しいと感じるのでしょうか。よくある課題は以下にあります。
①環境ごとにルールがバラバラで、全体像が見えない
オンプレミス・パブリッククラウド・SaaSと、複数の環境が混在するハイブリッドクラウドでは、それぞれの環境で管理仕様が異なります。監視ツールも、運用ルールも、ログの収集方法も、バラバラになっているケースが多いです。
さらに、部門ごとにクラウドサービスを独自に契約・利用するケースが増えたことで、IT部門がすべての環境を把握しきれない「シャドーIT」の問題も深刻化しています。その結果、どこに何のデータがあるのか、誰がどの権限を持っているのか。全体像を把握することが、ますます難しくなっています。
②「境界防御」だけでは、もはや守れない
かつてのセキュリティ対策は、社内ネットワークの「境界」を守ることが基本でした。ファイアウォールを立て、外からの侵入を防ぐという考え方です。
しかし、クラウド活用が広がり、リモートワークが当たり前になった今、「社内」と「社外」の境界はなくなりつつあります。クラウドへのアクセスはインターネット経由で行われ、社員が自宅や外出先から業務システムに接続することも珍しくありません。
境界の外側でも、内側でも、リスクが発生する可能性があります。そうした環境では、従来の境界を防御するセキュリティ対策だけでは不十分となります。
③ID管理・ログ監視・責任範囲が、それぞれ分断されている
もう一つの問題が、ID管理とログ監視の分断です。
環境ごとに認証基盤が分かれていると、ユーザーは複数のIDとパスワードを管理しなければなりません。これは利便性の問題だけでなく、パスワードの使い回しや権限の過剰付与といったセキュリティリスクに影響します。
また、ログが環境ごとに分散していると、インシデントが発生した際に「何が起きたのか」を把握するまでに時間がかかります。初動が遅れれば、被害が拡大するおそれもでてきます。
さらに、クラウドサービスには「責任共有モデル」という概念があり、IaaS・PaaS・SaaSのどのサービス形態を使うかによって、プロバイダーとユーザーの責任範囲が変わります。この境界が曖昧なまま運用していると、セキュリティの穴が生まれやすくなるのです。
2. ハイブリッドクラウドの「セキュリティ」「柔軟性」
を両立する3つのポイント
ハイブリッドクラウド環境のメリットである柔軟性は活かしつつ、上記のようなセキュリティの課題にどう向き合えばよいのでしょうか。ここでは、現場担当者が感じやすい不安の声と、それを解消するためのアプローチを3つの軸にまとめてお伝えします。

各部門ごとに環境のルールがバラバラ、何か起きた時に「管理」について問われても自信がないな…
ポイント① データの置き場所を明確にしましょう
ハイブリッドクラウド環境でデータ管理を適切に行うためには、まず「どのデータをどこに置くか」を決める基準を明確にすることが重要です。その判断軸となるのが、次の3点です。
- 機密性の高いデータは、内部環境に保持する
個人情報・金融機関の取引データ・製造業の生産工程など、漏洩した場合の影響が大きいデータは、オンプレミスまたはプライベートクラウドに置くことを原則とします。法令(個人情報保護法・業界規制など)の要件も、この判断に組み込む必要があります。 - 利活用を重視するデータは、外部基盤へ
分析用データや匿名化した顧客行動データなど、柔軟なアクセスと活用が求められるデータは、パブリッククラウドへの配置が適しています。ただし、アクセス権限の設定とデータの暗号化は必須です。 - アクセス頻度も、配置の基準にする
頻繁にアクセスされるデータと、アーカイブ目的で長期保存するデータでは、適切な保管場所が異なります。生成から保存、利用、アーカイブ、 廃棄までを見通し、コストとパフォーマンスのバランスを考慮した配置設計が必要です。

「どこに何を置くか」の基準が明確になるだけで、担当者の判断の迷いは大きく減ります。まず自社のデータを棚卸しし、機密レベルと利用用途で分類することから始めてみてください。

部門ごとに使っているアプリも異なり、複数IDで運用している。誰がどの権限を持っているのか把握できていないが大丈夫…?
ポイント② ゼロトラストの考えを参考に、ID・認証基盤を統合しましょう
認証基盤の統合は、セキュリティ強化と運用効率化の両方に直結するテーマです。そこで、考え方の参考になるのが「ゼロトラスト」です。
ゼロトラストとは、「社内ネットワークだから安全」という前提を捨て、すべてのアクセスを「信頼しない」ところから始める設計です。場所やデバイスに関わらず、アクセスのたびに認証・検証を行います。
具体的な方法としては、以下のアプローチが有効です。
- シングルサインオン(SSO)の導入
複数のクラウドサービス・業務システムを、1つのIDで横断的に管理します。利便性が上がるだけでなく、IDの管理コストと、パスワード管理ミスによるリスクを同時に下げることができます。
- 多要素認証(MFA)の導入
IDとパスワードだけの認証は、フィッシングや不正アクセスに対して脆弱です。認証アプリやハードウェアトークンなどを組み合わせた多要素認証を活用します。 - 最小権限の原則を徹底する
ユーザーには、業務に必要な最小限の権限のみを付与します。過剰な権限付与は、内部不正や誤操作によるリスクを拡大します。定期的な権限棚卸しも、運用フローに組み込みましょう。

「どう統合するか」は、一度に全部解決しようとすると難しいテーマです。まずはMFAと、SSO対応可能なシステムの棚卸しから着手することがおすすめです。

インシデントの全体像をつかむのに時間がかかってしまい、迅速な対応ができていない…
ポイント③ 複数環境の監視・ログ管理を統合しましょう
「何が起きているかを、リアルタイムで把握できる状態」これが、インシデント対応を迅速にするための大切なポイントです。そのために必要なのが、監視・ログ管理の一元化です。
- SIEM(セキュリティ情報・イベント管理)の活用
SIEMとは複数の環境から収集したログを一元管理し、異常を自動検知・アラート・分析する仕組みです。環境ごとにバラバラだった監視を統合することで、インシデントの全体像を素早く把握できるようになります。
- アラートの一元化と運用フローの整備
アラートが複数のツールに分散していると、担当者がどれを優先すべきか判断しにくくなります。アラートを一元化し、運用フロー(誰が・何を・どの順番で確認するか)をあらかじめ決めておくことで、初動の混乱を防げます。 - 標準化し、属人化を排除
「このシステムのログはあの人しか見方を知らない」という状態は、担当者の不在時に致命的な遅れを招きます。対応手順をドキュメント化し、複数人が対応できる体制を整えることが大切です。

「何かあったとき、すぐに動ける」状態を作ることが、このポイントの目的です。早期発見・早期対応の仕組みづくりが大切です。
以上、ハイブリッドクラウドの「セキュリティ」「柔軟性」を両立する3つのポイントを解説しましたが、「現状の設計を整理したい!」「運用面も含めてもっと詳細を知りたい!」という方は、以下の資料も合わせてご確認いただくと整理しやすいかと思います。ぜひ参考にしてみてください。
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3.まとめ セキュリティと柔軟性の両立は、
全体最適の視点で整理できる
ハイブリッドクラウドは、オンプレミスとクラウドのメリットを組み合わせられる一方で、環境が複雑化しやすく、従来の運用やセキュリティの個別設計だけではリスクへの対応が難しくなっています。
本記事でお伝えしたポイントを改めて整理すると、以下の通りです。
本ブログで紹介した3つのポイントを軸に全体最適の視点で環境を設計することで、環境ごとに分散しがちな認証・ログ・ポリシーなどを適切に統制しながら、クラウドの柔軟性を活かした運用が可能になります。セキュリティと柔軟性を対立するものとして捉えるのではなく、安全性と運用効率を両立できる仕組みを構築することが、これからのハイブリッドクラウド環境に求められます。
ぜひ、自社のハイブリッドクラウド環境全体を俯瞰し、どこにリスクがあり、どのような構成を目指すべきかを整理することから始めてみませんか?
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双日テックイノベーションは、Azure・Nutanix・HPE GreenLakeなど多様なプラットフォームを組み合わせたハイブリッドクラウド環境を数多く支援してきました。本資料では、その実践経験をもとに、ハイブリッドクラウド環境で発生しやすい課題や、全体最適を実現するための考え方を分かりやすく解説しています。
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- データ配置設計の考え方と注意点がわかる
- クラウド接続の安定性確保に向けたネットワーク設計について
- 認証基盤統合のポイント
- 統合管理を前提とした運用設計の検討ポイント
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よくある質問
Q. ハイブリッドクラウド環境では必ずゼロトラストセキュリティが必要ですか?
A.すべての企業が大規模なゼロトラスト環境を構築する必要はありませんが、「社内だから安全」という前提は成り立ちにくくなっています。まずは多要素認証(MFA)や条件付きアクセス、ID統合などの対策から段階的に進めることが現実的です。
Q. ハイブリッドクラウド構想の検討段階から相談するメリットは何ですか?
A.ハイブリッドクラウドの課題は、構築段階よりも構想段階で決まるケースが少なくありません。戦略・組織・設計を整理しながら進めることで、後戻りの少ないロードマップを描くことができます。構築後の運用まで見据えた構想設計が重要です。
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この記事を書いた人

- Azure支援デスク 管理者
- 双日テックイノベーション(旧:日商エレクトロニクス)特設サイト「Azure導入支援デスク」サイトマスターです。

