
本記事のポイント
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- Microsoft Azureは、IaaS/PaaSを中心に多様なサービスを提供するマイクロソフトのパブリッククラウド基盤である
- テレワーク、ファイルサーバー移行、BCP/DR、SSO、データ分析など、目的別にどのAzureサービスを使えばよいかが具体的にイメージできる
- ハイブリッドクラウド前提の考え方や導入5ステップ、無料トライアルやハンズオンの活用方法までわかり、「自社はまず何から始めればよいか」を整理できる
Azureという名前はよく聞くものの、「結局なにができるのか」「オンプレ中心の自社でどう活用できるのか」がイメージしきれていない方も多いのではないでしょうか。
本記事は、これからAzure導入を検討する情シス・インフラ担当者の方向けに、基本的な考え方と代表的な活用パターンをコンパクトに整理したものです。
オンプレミス前提のシステム構成から一歩踏み出し、「自社はまずどこからクラウドを使い始めるべきか」を考えるための土台づくりを目的としています。
目次
1.Microsoft Azure とは?
Microsoft Azure(アジュール)とは、マイクロソフト社が提供するパブリッククラウドのプラットフォームです。膨大なサーバーが設置された世界60拠点に展開しているデータセンター、強力なWANバックボーンを持っています。この設備をクラウドプラットフォームとしてユーザーにサービス提供しています。日本でも東日本、西日本と2拠点を有し、国内の多くのお客様が利用しています。
(クラウドと聞くと実態のないものと想像してしまいますが、実際にはマイクロソフト社が運用している巨大で堅牢なデータセンターの一部をサービスとして利用できるイメージです!)
Microsoft Azureが提供するプラットフォームには、「IaaS」と「PaaS」と一般的に呼ばれる2種類があり、この2つはクラウドサービスの提供者(マイクロソフト社)と利用者(お客様)で管理する範囲が異なってきます。

Azureが提供するサービス形態は「IaaS」と「PaaS」
一般的にクラウドのサービス形態は、IaaS、PaaS、SaaSにカテゴライズされます。Microsoft Azureはこのうち、IaaSとPaaSを提供します。ここで改めて、クラウドのサービス形態についておさらいしてみましょう。
IaaSとは?
Infrastructure as a Service の略です。仮想マシンをクラウド上にインターネット経由で作成し利用するサービスです。仮想化レイヤーより下の管理は、クラウドサービスの提供者(マイクロソフト社)が責任をもって実施します。仮想マシンの OS より上の管理は、利用者(お客様)が責任をもって実施します。
PaaSとは?
Platform as a Serviceの略です。仮想マシンのOSも、クラウドサービスの提供者(マイクロソフト社)が責任をもって管理します。PaaS で構成できるシステムは、クラウドサービスの提供者が提供するPaaSの機能(種類)次第となります。
STech I ワンポイントアドバイス
Azureは「クラウド」という一言でまとめられがちですが、実際の導入ではIaaS・PaaS・SaaSのどこまで活用するかで設計難易度が大きく変わります。特にオンプレからの移行では、単純な置き換えではなく、クラウド前提の構成に見直すことが重要です。
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2.Azureを利用する5つのメリット
それでは、Amazon AWSやGoogle Cloud Platformなど他にもパブリッククラウドのサービスがある中で、「Microsoft Azure(アジュール)ならではの強み」について5つの主要メリットをご紹介します。
①強大なネットワークを全世界で使える
パブリッククラウドで肝となるのは、ネットワークです。Microsoftはネットワークの分野にも積極的に投資し、現在世界でトップ3に入る長さのバックボーンネットワークを保有しております。世界中にAzureのデータセンターがあり、これらのAzureデータセンターは1つの「リージョン」とよばれています。現在、Microsoftが所有しているAzureのリージョン数は60以上、140か国で利用可能です。

Microsoft Azureの魅力はリージョン間でのネットワーク疎通が、この太いMicrosoftのバックボーンネットワークを通じて行われることです。これは、他のクラウドサービスとの大きな違いとなり、グローバルなサービス展開や、VDI環境で効果を発揮します。また、Microsoftバックボーンネットワークは、Microsoft 365へのアクセス時にも利用できますので、VDI on Azureとの親和性が高く、VDIからMicrosoft 365上の大きなファイルにも高速にアクセスが可能です。
②オンプレミス連携でハイブリッドクラウドを実現
Microsoftの考えで特徴的なのは「すべてをクラウドに移行する必要はない」ということです。他社のパブリッククラウドが “フルクラウド”(全てのシステムをクラウドに移行する)の世界を前提としている中で、Microsoft Azureの場合は “ハイブリッドクラウド”(一部オンプレミス、一部クラウドで連携させながら利用)を前提としたサービスが充実しています。
Microsoft Azure を活用したハイブリッドクラウドの例として、弊社からも提案の多い活用パターンをいくつかご紹介いたします。
オンプレシステムのバックアップ先をAzureに
バックアップが最も多いパターンかと思います。最近オンプレミス環境で導入数が増えているハイパーコンバージドインフラ(HCI)のNutanixなどの製品は、クラウドへのバックアップ機能をもっているので、追加設備なしにMicrosoft Azureへのバックアップが可能です。Azure を活用することで、オンプレミス側に同等スペックのバックアップ用ストレージを購入し、運用/管理する必要はありません。
また、Azure Site Recovery (ASR)というサービスを利用することで、災害対策(DR)も簡単に実現できます。
データ量の予測が難しいファイルサーバをAzureへ
Azure上で提供されるファイル共有サービスAzure Filesで、インターネット経由でどこからでも同時アクセスが可能です。SMBプロトコルを利用しているためオンプレファイルサーバーから移行する際もアプリケーションの互換性を気にする必要はありません。
また、Azure File Syncという機能を使うことでAzure Filesとオンプレミスにあるファイルサーバーを同期することができます。ファイルの用途によって、Azureとオンプレミスで使い分けることも容易にできます。
▶ Azureのファイルサーバーの詳細はこちら
Azureで安心なリモートアクセス環境を導入
Microsoft Azure独自のリモートアクセス環境サービス として提供している“Azure Virtual Desktop” (DaaS)もしくは、“Windows 365”(クラウドPC)を利用することで簡単かつ低コストな環境を手に入れられます。VPNでAzure環境とオンプレミス環境を繋ぐことで、外部から社内のシステムに接続することが可能です。

オンプレ/クラウドのデータをAzure上に統合
Microsoft のデータ統合ツールAzure DataFactoryを活用し、SaaS/クラウド/オンプレミスに点在しているあらゆるデータをAzure上に統合することが可能です。統合したデータはAzureストレージサービス上に保管し、いつでも簡単に取り出せることができるようになります。
③セキュリティに優れている
Microsoft Azureはコンプライアンス対策やネットワークセキュリティ対策が備えられています。また、脅威はデータセンターの外だけでなく、内側(例えば、悪意のあるオペレーション)によっても発生しますが、Azureデータセンター自体も「入館者の制限」「多層のセキュリティゲート」「自動化による人為的作業の削減」など様々な対策が取られています。
データセンターの外/内からの想定される脅威・最新の脅威に対して、常に対策し、アップデートし続けることは、オンプレミス環境で実現することはなかなかハードルが高いですが、そういった環境をクリックだけで利用できることもAzureならではのメリットです。
Azureが満たすコンプライアンス
ISO 27001、HIPAA、FedRAMP、SOC 1、SOC 2などの国際的なコンプライアンスや国ごと(日本ではFISC)に適合
Azureデータセンターのネットワークセキュリティ対策
人工知能を用いたサイバー攻撃対策(DDoS/DOS/IDS)機能が標準動作
不正なトラフィックを自動検知・遮断する仕組みを導入
(これらの仕組みは常に最新のものにアップデート)
また、お客様が利用するAzure環境とオンプレミス環境のセキュリティを一元で管理できるサービスも充実しています。例えば、Microsoft Sentinel(旧Azure Sentinel)というサービスを利用すると、「Azure アクティビティログ」や「Office 365 監査ログ」なども可視化し、いざという時の分析も簡単で対応スピードもアップします。
④コストメリットが高い
Azureを利用する際には、オンプレミスですでに利用しているライセンスの適用など様々な特典を受けることが可能です。
Azure ハイブリッド特典
既存オンプレミスで使用しているライセンスがソフトウェア アシュアランス(SA)付き、またはサブスクリプションのあるWindows Server や SQL Server ライセンスの場合、追加のライセンスを購入する必要なくAzure 利用が可能です。
予約割引(Azure Reserved Virtual Machine Instances)
Azureを利用する場合、通常は月額従量課金ですが1年もしくは3年分のWindows /Linux 仮想マシン (VM) を前払いすることで、 割引が適用され従量課金制の料金に比べ最大 72%削減できます。
また、上記のハイブリッド特典と組み合わせることで最大80%のコスト削減も実現できます。
拡張セキュリティ更新プログラム
Microsoft は、サポート終了後の Windows Server / SQL Server を継続利用するための一時的な対策として、Extended Security Updates(ESU)を提供しています。ESU は新機能や通常サポートを提供するものではなく、移行・アップグレードまでの期間、重要なセキュリティ更新を受けるための橋渡し策です。
特に SQL Server 2016 は 2026年7月14日に Extended Support が終了し、翌日から ESU Year 1 が開始されます。Microsoft は 2026年4月、SQL Server 2016 ESU について、Azure、オンプレミス、他クラウド間で整合性のある価格モデルを導入する方針を発表しており、移行・モダナイゼーションの検討がより重要になっています。
| 確認ポイント | Microsoft公式情報の要点 | 備考 |
|---|---|---|
| ESUとは | サポート終了後の旧製品を一時的に保護するための仕組みです。 Critical / Important のセキュリティ更新が対象です。 |
新機能、非セキュリティ修正、通常の技術サポートは含まれません。 |
| AzureでのESU | Azure VM、Azure Dedicated Host、Azure VMware Solution、Azure Stack など、Azure環境でESUを利用できる選択肢があります。 | 対象条件や提供内容は製品・環境により異なるため、Microsoft公式情報の確認が必要です。 |
| Azure ArcでのESU | オンプレミスやハイブリッド環境でも、Azure Arcを通じてESUを購入・展開・管理できます。 | Azureポータルで一元管理し、従来の年単位購入より柔軟な運用が可能です。 |
| SQL Server 2016 | Extended Supportは2026年7月14日に終了します。 ESU Year 1は2026年7月15日から開始されます。 |
ESU Year 3は2029年7月17日までです。 |
| Windows Server 2012 / 2012 R2 | ESU Year 3の終了日は2026年10月13日です。 | ESU終了後を見据え、最新バージョンへの移行計画が必要です。 |
| SQL Server 2014 | ESU Year 3の終了日は2027年7月12日です。 | SQL Server 2022 / 2025 や Azure SQL への移行検討が推奨されます。 |
| 注意点 | ESUは恒久対策ではなく、移行・アップグレードまでの一時的な橋渡し策です。 | 長期的には、サポート対象バージョンまたはAzureサービスへの移行が必要です。 |
出典:
Microsoft Learn「Product Lifecycle FAQ – Extended Security Updates」
、
Microsoft「Extended Security Updates for SQL Server and Windows Server」
、
Microsoft Learn「SQL Server 2016 – Microsoft Lifecycle」
⑤日本の法律が適用/パートナーの力を借りられる
Azureは日本の法律を準拠法とし、管轄裁判所は東京地裁裁判所となっています。そのため、日本を拠点とする企業の方にも安心してご利用いただけます。
また、Azureは基本的にマイクロソフトから直接購入するのではなくCloud Solution Provider(CSP)と呼ばれるマイクロソフトのパートナーから購入するシステムになっています。そのため、請求書/日本円での支払いとなり為替の変動などを気にせずご利用いただけます。
CSPから購入するということは、自社にクラウドのノウハウがない場合でも各CSPが提供している導入サービス、運用サービスを活用しクラウド活用の推進が容易にできます。
STech I ワンポイントアドバイス
メリットは多く紹介されますが、実務では「すべてを最大限活用する」ケースは少なく、自社にとって優先度の高いポイントを見極めることが重要です。特にコスト最適化と運用効率の2点を軸に検討する企業が多い傾向があります。
3.Microsoft Azureの利用料金
Azureを利用する場合、当然費用が気になるところです。
各Azureサービスのほとんどは従量課金ですが、Azureアカウントをお持ちであれば無償で利用できる機能を多数あります。ここでは、一般的なIaaSサービスである仮想マシン、ディスク、ネットワークの課金対象について参考に記載します。
| コンポーネント | 課金対象 | 備考 |
|---|---|---|
| 仮想マシン | ・インスタンスモデル ・稼働時間 |
“ARMから”マシンを停止する ことで課金が停止 ※OSでマシンを停止しても課金が継続 |
| ディスク | ・ディスクタイプ (HDD or SSD) ・ディスクサイズ ・トランザクション数 (HDDのみ) ・データの冗長性 (データセンター内 or データセンター間) |
・ストレージは、ファイル、 オブジェクトなど用途に合わせて選択可能 ・左記は、仮想マシンディスクを 対象とした場合の選択肢を記載 |
| ネットワーク | ・送信データ (Azure データセンターから 出ていくデータ) |
受信データ (Azure データセンターに入るデータ)は無料 |
実際はもう少し検討箇所がありますが、イメージを掴んで頂くために情報を絞っております。Azureデータセンターに入っていくデータに対して課金が無いので、オンプレミスからのバックアップによるデータ課金は発生しない点はありがたいですね。
Microsoft社のWebサイトにて月額利用料金の試算が可能ですが、もっと簡単に参考費用を算出したい方向けにAzure IaaS簡単コストシミュレーションツールがございますので、ぜひこちらで算出してみてください。利用するサーバーのスペック、台数、ストレージ容量、その他オプション、などの値を入力することで、簡単に月額使用料の試算が可能です。
\かんたんAzure IaaS料金シミュレーション/
4.【目的別】代表的なAzure機能(サービス)
Microsoft Azure(アジュール)の機能(サービス)は主に、PaaS・IaaS・Security&Management・Hybrid Operationsの4つの分野にて合計250以上のサービスを展開しています。そのため、幅広いニーズ、用途に合わせて活用することができます。
ここでは、お客様の用途/目的別によく利用されることの多いMicrosoft Azureの機能(サービス)について紹介します。

4-1.リモートワーク・在宅勤務をしたい
●Azure Virtual Desktop
Azure Virtual Desktop 略してAVDは、マイクロソフト社が提供するVDIサービスです。
VDIの管理コンポーネントのほとんどがMicrosoft Azureで管理・サービスとして提供されます。煩雑な管理コンポーネントのメンテナンスにかかる負荷を削減することができます。
また、AVDのみの機能「マルチセッション」を利用することで複数人でリソースを共有することができるためコスト削減の効果もあります。最近ではテレワークの増加や、既存オンプレミスVDIからのリプレースで導入が増えています。
▶ Azure Virtual Desktopとは(詳細はこちら)
Windows 365
AzureからWindows 環境を提供する世界初のSaaSソリューションです。クラウドPCと呼ばれ、料金は月額固定にてAzure上に構築されるWindows 10(Windows 11)環境に手元の端末から繋ぐことができます。仕組みはAVDと似ていますが、機能や管理がAVDと比べてよりシンプルなのが特徴です。こちらは2021年夏に発表されたばかりのサービスですが、導入・運用管理を楽にしたい、コストをかけずに手軽に導入したい中小企業の方々が検討されるケースが多いです。
▶ Windows 365 とは(詳細はこちら)
4-2.アプリケーションを作成したい
Azure App Service
Azure App Serviceは、短時間でのアプリ作成を可能にするPaaSです。Web アプリや API の条件に合わせて迅速に構築、デプロイ、スケーリングできます。幅広い言語や、フレームワークに対応しているのでエンタープライズ向けのWeb アプリやモバイルアプリを容易に作成することが可能です。
Azure Functions
Azure Function はアプリケーション開発サービスの1つで、コード(関数)をサーバレスで利用できるサービスです。C#、JavaScript、F#、Java、Python、PHP、TypeScript、バッチ(.cmd、.bat)、Bash、PowerShellが利用可能です。例えば、画像がストレージに格納されたら、メールを配信するなどの処理をAzure Functionsで実行することができます。
4-3.仮想化基盤(VMware vSphere環境)をクラウド化したい
Azure VMware Solution(AVS)
Azure VMware Solution 略してAVSは既存オンプレミスのVMware vSphere、vSAN環境をvMotionを活用しIPを変更することなくAzure移行、Azure上でVMware環境を運用管理できるサービスです。マイクロソフト社が提供しているため、サポートはVMwareではなくマイクロソフトに一元化することができます。
▶ Azure VMware Solution(AVS) とは (詳細はこちら)
4-4.ファイルサーバーをクラウド化したい
Azure Files
Azure FilesはAzure上で提供されるファイル共有サービスです。OSに限定されることなくインターネット経由でどこからでも同時アクセスが可能です。また、ファイル共有でよく使用されているSMB(Server Message Block)プロトコルを使用しているため、オンプレファイルサーバーから移行する際もアプリケーションの互換性を気にする必要がないのも特徴です。
▶ Azure Filesとは(詳細はこちら)
Azure File Sync
Azure File Syncは、Windowsサーバー上のフォルダや共有フォルダをAzure Filesファイル共有と同期し、どこからでも同じファイルを扱うことができるサービスです。Azure File Syncはファイルサーバー(オンプレ、クラウドを含む)とAzure Filesを同期します。
Azure Filesで不足する機能をWindows Serverで補完することができます。
▶ Azure File Syncとは(詳細はこちら)
4-5.AzureでBCP/DR対策をしたい
Azure Backup
Azure Backupは、PaaSのバックアップ・リストアのサービスです。IaaS VMやAzure VM内のデータだけではなく、オンプレミスのVMやファイルなどのバックアップも可能となっています。また、サーバーに対してエージェントを導入する必要のないエージェントレスでのバックアップが可能です。
▶ Azure Backupとは(詳細はこちら)
Azure Site Recovery
Azure Site Recoveryは、オンプレミスまたはAzure上にある物理サーバーや仮想マシンを、
Azureのセカンダリリージョン(待機系)へレプリケーションします。
災害や障害の発生によりシステムが停止した場合は、セカンダリリージョンの仮想マシンを起動させ、切替を行います。
これによりシステム全体を復旧し、業務の継続を実現します。
▶ Azureで実現するBCP/DR対策とは(詳細はこちら)
4-6.SSO(シングルサインオン)や認証を実現したい
Microsoft Entra ID (旧称 Azure AD)
Microsoft Entra ID (旧称 Azure Active Directory)では、クラウドアプリケーションのシングルサインオン、二要素認証など強固な認証を実現します。オンプレミスのActive Directory(AD)と連携させることで、オンプレシステムのパスワードと同期することも可能です。また、様々なリスクのあるログインを禁止することもできます。禁止できる項目の代表的なものは、IPアドレス制限、端末制限、パッチ非適用端末の制限、場所の制限などです。
Microsoft 365を利用している企業の方はすでに利用されていることが多いかと思いますが、様々なシステムとの連携により便利にセキュリティを強化できますよ!オンプレADからのMicrosoft Entra IDへの移行も可能です。
▶ Auzre ADとは(詳細はこちら)
4-7.セキュリティを強化したい
Microsoft Sentinel(旧Azure Sentinel)
Microsoft Sentinelは、セキュリティ情報イベント管理 (SIEM) とセキュリティオーケストレーション自動応答 (SOAR)の機能を持ったサービスです。Microsoft 365 / Azure とシームレスに連携し、複数のログからAIによる自動相関分析で、通常気づきにくい脅威を自動で検出、対策を提案します。従量課金ですが無償で導入できる範囲もあるので、Microsoft 365やAzureをすでに利用している方はまずは無償から使ってみるケースが多いです。
▶ Microsoft Sentinel とは(詳細はこちら)
4-8.ネットワーク(オンプレと接続したい)
Azure Load Balancer
Azure Load Balancerでは、煩雑な設定は不要で簡単に処理性能と可用性に優れた負荷分散環境を構築することができます。レイヤー4で動作するTCP/UDP向けのロードバランサーで、Azure VM(仮想マシン)などのインスタンスへの通信を負荷分散します。無償で利用できるプランがあるので、こちらもまずは無償で試してみるケースが多いです。
Azure ExpressRoute
Express Routeとは、ネットワークサービスプロバイダーが提供する専用回線やWAN回線からMicrosoft Azureへ直接接続する帯域保証型のネットワークサービスです。既存のWAN回線、もしくは新規回線とMicrosoft Azureが直接接続されるため、お客様のデータセンターからプライベートなネットワークでMicrosoft Azureへ通信が行えます。
帯域の確保や、セキュリティリスクの回避の観点で大規模な企業のお客様にて導入されるケースが多いです。
▶ Azure ExpressRouteとは(詳細はこちら)
VPN Gateway
VPN Gatewayとは、Azure上の仮想ネットワークとクとオンプレミスネットワークなどの自社ネットワーク間をVPN接続するためのゲートウェイです。サブネットを設定・構築し、VPNで安全に結ぶための仮想ネットワークゲートウェイとして利用できます。上記のExpressRouteを導入しない場合は、VPN Gatewayを利用してオンプレミスとAzure間を接続します。
4-9.データ分析をしたい(Azureにデータを集めてPower BIで可視化したい)
Azure Data Factory
Azure Data Factoryとは、データ統合・加工の機能を持つサービスです。Azure Data Factoryを活用することで90以上コネクタで、オンプレミス、SaaS、クラウドなどあらゆるソースデータをAzure上に統合することができます。
▶ Azure DataFactoryとは(詳細はこちら)
Power BI
Power BIは、Microsoft のデータ統合ツールです。90以上のデータを収集/連携できて集計作業をゼロ時間にすることが可能です。またSaaS/オンプレ問わずあらゆるデータを統合することができ、Azureを活用することにより、世界の各拠点に点在するデータにも対応できます。
SalesforceやMarketoなどの営業・マーケティングツール、AWSやGoogle Cloudなどクラウドプラットフォーム、MySQL ServerやOracle Databaseなどの多様なソースからデータを統合することができます。(90以上のコネクタを追加費用なしで利用できます)
▶ Power BIとは(詳細はこちら)
4-10.オンプレミスと適材適所でAzureを使いたい(ハイブリッドクラウド)
Azure Stack HCI
Azure Stack HCIは、HCIをMicrosoft Azureサービスの一つとして、サブスクリプションで利用できる新世代ハイブリッドクラウドサービスです。
オンプレミスとクラウドを適材・適所に組み合わせ、いいとこ取りができるソリューションです。
企業のITインフラは、機密性の高いデータを持つレガシーシステムのクラウド移行が難しく、パフォーマンスと管理の複雑さから、完全なパブリッククラウド移行が難しい場合があります。そのため、ハイブリッドクラウドが主流となっていますが、異なるオペレーションや複雑さが懸念されていますが、Azure Stack HCIなら一貫したオペレーションを実現します。
▶ Azure Stack HCI とは(詳細はこちら)
Azure Arc
Azure Arcは、マイクロソフトが提供するサービスで、オンプレミスや他のクラウドプロバイダーで実行されているリソース・インフラストラクチャを あたかもAzure内で実行されているかのように管理が可能です。これにより、ハイブリッド、マルチクラウド環境を利用されているお客様は、それぞれのサービスでリソースを管理する必要がなく、Azure Arc を使った一元管理により運用の効率化が可能です。
▶ Azure Arc とは(詳細はこちら)
5.Azureの管理方法(Azure Portal)
Azure上のVM(仮想マシン)や各Azureサービスは「Azure Portal」というWebコンソールの統合管理画面で運用できます。Azure CLIやPowerShellなどで管理することも可能ですが、GUIが優れているAzure Portalを利用するのが一般的です。

Azure Portalでできること
・サービス管理
・デプロイ管理
・インシデント管理
・分析管理
・監視や診断管理
Azureサービスの多くは従量課金制ですが、Azure Portal を上手に使いこなせればコストを可視化、コントロールすることも可能です。

課金アラートを設定し、しきい値に達した際にメールで通知
Azure Portalを活用したでの上手なAzureのコスト管理方法について詳細を知りたい方は、以下のブログでご紹介していますので、こちらもご参考ください。
▶ 従量課金も怖くない!Azureで上手にコストを管理する方法とは?
STech I ワンポイントアドバイス
Azureは単体の機能というより「組み合わせ」で価値を発揮します。データ活用・仮想デスクトップ・認証基盤など、複数サービスを横断して設計する前提で考えると、より実運用に近いイメージが持てます。
6.Azure導入の5ステップ
現在利用しているオンプレミス環境をAzureに移行したいけど、何からはじめたらいいの?と思われているかたは多いかと思います。Azureへの移行ステップは大きく5つのステップがあります。
- STEP①:情報収集
- STEP②:アセスメント
- STEP③:ネットワークの接続
- STEP④:移行作業
- STEP⑤:運用
失敗のないAzure移行には、適切な手順を踏むことが重要です。。オンプレミスからMicrosoft Azureへの移行方法はこちらの資料で詳しく紹介しておりますのでご覧ください。
STech I ワンポイントアドバイス
導入時に最も多い課題は「どこまでクラウドに寄せるか」の判断です。既存環境をそのまま移行するのではなく、段階的に最適化していくアプローチを取ることで、リスクを抑えながら移行を進めることができます。
オンプレミスからMicrosoft Azureへの移行方法資料をダウンロードする
7.Azureを導入/活用するのに向いている企業
ここでは、Microsoft Azureを導入/活用するのに向いている企業の特長を紹介します。
Azureはサービスの幅が広く、既存環境との親和性や運用面の柔軟性を活かしやすい点が特長です。
既存でWindowsライセンスやMicrosoft 365など、マイクロソフト製品を利用している企業
Azureは既存のマイクロソフト製品と親和性が高く、現在の環境を活かしながら利便性を高めやすいクラウドサービスです。
認証やVDI、ファイル共有なども含めて、統一感のある環境を構築しやすい点が特長です。
SA付のライセンスを保有している企業
既存ライセンスを活かせる制度があるため、Azure移行や活用をコスト面で進めやすいケースがあります。
既存資産を有効活用しながら、段階的にクラウド化を進めたい企業に向いています。
自社内にクラウドのノウハウがあまりない企業
Azureはパートナー経由で導入・運用支援を受けながら進めることもできるため、知見が少ない場合でも検討を進めやすいサービスです。
まずは自社課題を整理し、必要な領域から導入を始める進め方が現実的です。
オンプレミスとクラウドの両方を使っていきたい企業
Azureはハイブリッド構成にも対応しやすく、オンプレミス資産を活かしながらクラウドを組み合わせた運用が可能です。
すべてを一度に置き換えるのではなく、必要な領域から段階的に移行したい企業にも適しています。
Azureにはさまざまなサービスがあり、活用方法も1つではありません。
自社に合う構成を検討したい場合や、既存Azure環境の活用・コスト改善を進めたい場合は、お気軽にご相談ください。
STech I ワンポイントアドバイス
Azureは多機能である一方、「使いこなす設計」が成果を左右します。自社の課題や優先順位に応じて段階的に活用範囲を広げていくことが、失敗しない導入のポイントです。
8.無償でAzureを体験する方法
Azureを理解するには、とにかく触ってみるのが一番です。ここでは、無償で気軽にAzureの機能や移行などを体験できる方法を紹介します。
試用版アカウントを登録して自分で試してみる
現在Azureでは、USD$200まで無償で利用できる(30日間)のに加え、Azure VMやAzure SQL Databaseなど
を12カ月無償で利用することができます。
試用版アカウントに含まれるもの
・サインアップから最初の 30 日の間に使用できる200USD のクレジット
・最も人気のある Azure 製品への 12 か月間の無料アクセス
・25 個を超える常時無料の製品へのアクセス
下記URLからAzureアカウントを作成してください。
試用版Azureの登録サイト:https://azure.microsoft.com/ja-jp/free/

クレジットカードの入力が求められますが、勝手に有償版に切り替わることはないのでご安心ください!アカウント作成後は下記URLからAzure Portal にログインできます。
Azure Portalサイト:https://portal.azure.com
9.Azure導入事例
① 株式会社ニトリホールディングス
課題:
従業員にとって働きやすい環境を提供するため、在宅勤務やテレワークにも対応できるVDI環境の整備が求められていました。あわせて、情報漏洩リスクの低減や、利用者の増減に応じた柔軟な運用も課題となっていました。
解決:
「VMware Horizon Cloud on Microsoft Azure」を導入することで、新たなVDI環境を実現。情報漏洩リスクの低減に加え、在宅勤務・テレワークの利用を容易にし、利用者増減に合わせたコスト最適化、ユーザー利便性向上、海外拠点からの快適な利用を実現しました。
② 三井倉庫ホールディングス株式会社
課題:
データセンターで運用していたファイルサーバーやアプリケーション環境の老朽化に加え、BCPの観点から、障害時でも業務を継続できる柔軟なシステム基盤が求められていました。貨物量の増減に応じて負荷が変動するため、変化に迅速に対応できる運用も課題でした。
解決:
ファイルサーバーとアプリケーションをMicrosoft Azureへ移行し、あわせてAVD環境も整備。BCP対策とリモートワーク体制を実現するとともに、インフラ運用負担を削減し、GUIベースで管理しやすい環境によって運用の属人化解消にもつながりました。
③ 株式会社メルペイ
課題:
膨大な決済情報や個人情報を扱う中で、情報漏洩を防ぎながら安全に業務を行えるVDI基盤が求められていました。あわせて、オペレーターの増員時にも柔軟に拡張でき、運用効率やコスト面でもメリットのある環境整備が課題となっていました。
解決:
「VMware Horizon Cloud on Microsoft Azure」を採用し、端末にデータを残さないセキュアなVDI環境を構築。セキュリティ事故ゼロを維持しながら、同時接続ライセンスの活用によるコスト最適化や、オペレーター増員時の迅速な拡張、クラウドネイティブな運用基盤の活用を実現しました。
10.よくある質問
Q1. Microsoft Azureはどのような企業に向いていますか?
既存のWindows ServerやMicrosoft 365、Active DirectoryなどのMicrosoft製品を活かしながらクラウド活用を進めたい企業に向いています。あわせて、BCP・DR対策、テレワーク対応、インフラ運用負荷の軽減を進めたい場合にも有効です。
Q2. AzureではIaaSとPaaSのどちらを選べばよいですか?
既存システムをできるだけそのまま移行したい場合はIaaS、アプリ開発や運用効率化を重視する場合はPaaSが適しています。実際には、移行対象や用途に応じてIaaSとPaaSを組み合わせて利用するケースも多くあります。
Q3. Azure導入時はどのサービスから検討すればよいですか?
まずは自社課題に直結する領域から検討するのがおすすめです。たとえば、VDIならAzure Virtual Desktop、バックアップや災害対策ならAzure BackupやAzure Site Recovery、ファイル共有ならAzure Filesなど、目的に応じて優先順位を決めると整理しやすくなります。
11.まとめ
Microsoft Azureは、IaaSやPaaSを中心に幅広い用途へ対応できるパブリッククラウドサービスです。
既存のMicrosoft製品との親和性が高く、インフラ運用、VDI、バックアップ、災害対策など、さまざまな領域で活用できます。
また、自社の課題や目的に応じて、Azure Virtual Desktop、Azure Backup、Azure Site Recovery、Microsoft Entra ID などのサービスを組み合わせながら、段階的に導入・活用を進められる点も特長です。
Azureを効果的に活用するためには、まず自社の現状や課題を整理し、優先度の高い領域から取り組むことが重要です。
自社に合った構成を選ぶことで、柔軟性・安全性・運用効率の向上につなげられます。
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この記事を書いた人

- 斉藤 朋子
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