Microsoft Azure(アジュール)とは
~基礎から学べる入門ガイド~
Microsoft Azure の基本的な概要から提供するサービスの詳細
またビジネスの成長とイノベーションをどのように支援するかを具体的な活用例を交えて説明します。
Microsoft Azure とは?
Microsoft Azure(アジュール)は、Microsoft社の世界最大規模のデータセンターと、強力なWANバックボーンをグローバル展開し提供する巨大なクラウドサービスです。世界60か所以上(2024年1月現在)のリージョンでサービスを提供し、日本でも東日本・西日本の2拠点で提供。国内の多くのお客様が利用しています。Microsoft社がWANへの投資を行ったことで、3年間でWAN キャパシティーを 700% も増やし、高い接続性を有しています。
IaaS / PaaS / SaaS の違いとは?
クラウドサービスでは、IaaS/PaaS/SaaSといった利用の仕方があり、クラウドサービスの提供者(マイクロソフト)と利用者(お客様)で管理する範囲が異なるのが違いとなります。
IaaSとは
Infrastructure as a Serviceのことで、利用者は仮想サーバーやネットワークといったインフラををクラウド上にインターネット経由で作成し利用することが出来ます。
仮想 マシンのOS より上の管理は、利用者の責任範囲となりますが、それより下のインフラ部分の管理は、クラウドサービスの提供者が責任をもって実施します。
PaaSとは
Platform as a Serviceのことで、利用者はアプリケーションやデータを動かす仮想マシンのOSやミドルウェアなども、インターネット経由でサービスとして利用することが可能です。
利用者の責任範囲は、仮想マシンより上の範囲となり、それより下の範囲をクラウドサービスの提供者が責任をもって管理します。
PaaS で構成できるシステムは、クラウドサービスの提供者が提供するPaaSの機能(種類)次第となります。
ex) Web、リアルタイムアプリ、データ分析、機械学習、IoTなど
SaaSとは
Software as a Serviceのことで、利用者はクラウド上に作られたアプリケーションやサービスをインターネット経由で利用することが出来ます。利用の上で必要となるライセンスの管理等は利用者側で実施する必要がありますが、アプリケーションやデータの管理も含めて、クラウドサービスの提供者が責任を持って管理します。
クラウドの3つのメリット
メリット1
必要な分だけの重量課金
利用した分だけお支払いいただく従量課金制になっているため、オンプレミスの場合にかかっていた初期投資費用(ハードウェア費用・機器の運用費用など)に多額の金額がかかっていた部分を最適化することが出来ます。
メリット2
柔軟なリソース管理
パブリッククラウドでは、数クリックで仮想サーバの構築やその上のアプリケーションの稼働が可能です。そのため、ビジネスの成長や変化に応じて、リソースの増減を簡単に実行することが出来ます。また、世界各国にリソースを作成できるため、グローバルなサービス展開が可能です。
メリット3
運用工数の軽減
IaaS/PaaS/SaaSの使用割合によって、運用範囲は変わってきますが、クラウド利用をする上では、ハードウェアの保守・運用は不要です。基盤運用の負担を軽減でき、システム開発やアプリケーションの運用など、必要な部分にリソースを割り当てることが出来ます。
Microsoft Azure 特徴
マイクロソフト製品との親和性が高い
Azureは、Microsoft 365やWindows/SQL Serverなどのマイクロソフト製品との連携がしやすく、VDI on Azureや拡張セキュリティ更新プログラムなどの特典もあります。全世界に広がるMicrosoftバックボーンネットワークを利用するため、Microsoft 365上の大きなファイルにも高速にアクセスが可能です。
また、Microsoft社のAI「Copilot」なども利用しやすく、最新テクノロジーを活用して、データの収集や分析も行っています。
ハイブリッドクラウドの実現性に強み
他社のパブリッククラウドが “フルクラウド”(全てのシステムをクラウドに移行する)の世界を前提としている中で、Microsoft Azureの場合は “ハイブリッドクラウド”(一部オンプレミス、一部クラウドで連携させながら利用)を前提としたサービスが充実しています。既存のライセンスやインフラを活用しながらクラウドへの移行や拡張が可能です。
信頼度の高いセキュリティとコンプライアンス
Azureは、データセンター内の通信を24時間体制で監視し、人工知能を活用したセキュリティ対策機能を標準で備えています。また、国際的、業界固有のコンプライアンス基準に幅広く適合しており、日本の法令やFISC安全対策基準にも準拠しています。
柔軟な課金体系とコストメリット
Azureは、従量課金制で初期投資費用を削減できるだけでなく、下記のような割引制度もあり、最適な価格でクラウドを利用できます。
●Azure ハイブリッド特典
既存オンプレミス環境でソフトウェアアシュアランス付きのライセンスや、サブスク型のWindows ServerやSQL Serverライセンスを持っている場合、追加のライセンスを購入せずにAzureを利用できます。
●予約割引(Azure Reserved Virtual Machine Instances)
1年または3年分の仮想マシン(VM)を前払いすることで、最大72%の割引が適用されます。ハイブリッド特典と組み合わせることで最大80%のコスト削減が可能です。
●Windows Server 2012/2012 R2・SQL Server 2012 無償サポート延長
Azureへの移行で最大3年間の無償セキュリティ更新パッチが提供されます。マイクロソフトサーバー移行支援センターも利用できます。
オープンソースとの対応が柔軟
Azureは、CentOS、Red Hatなどをはじめとする数多くのOSSや、複数の3rdパーティ製品にも対応、動作が確認されています。
また、Microsoft社は、The Linux Foundationのプラチナメンバーになるなど、オープンソースのプロジェクトやコミュニティへの関与を強めています。
Azure Marketplaceでは多くのOSSをサポートしており、 DevOpsからOS、Hadoop/NoSQLの選択肢も豊富です。
■関連記事
・Azureでのオープンソース
Microsoft Azure 人気サービス5選
01. Microsoft Entra ID(旧称 Azure AD)
オンプレミスやクラウドアプリケーションのシングルサインオンと強固な認証を実現するサービスです。オンプレミスのActive Directoryと連携することで、社内とクラウドの両方のサービスに同じアカウントでログインできます。また、多要素認証や条件付きアクセスなどの機能で、セキュリティを高めることができ、、Microsoft 365やSalesforceなど、様々なクラウドサービスに対応しています。
Microsoft Entra ID について詳しく知る>>
02. Azure Virtual Desktop(AVD)
Microsoft Azure上で動作する仮想デスクトップサービスです。AVDを利用すると、Windows 10/11のデスクトップ環境をクラウド上に構築し、インターネット経由でアクセスできます。コスト削減、Officeアプリケーションの最適化、柔軟な拡張性、高いセキュリティを担保することが出来、マイクロソフトのセキュリティサービスや、Citrix・VMwareなどのパートナー製品とも連携できます。
Azure Virtual Desktop (AVD)とは?について詳しく知る
03. Azure VMware Solution(AVS)
Azure上でVMware vSphereベースのプライベートクラウドサービスを提供します。既存のオンプレミスのVMware環境をそのままAzureに移行したり、拡張したりできます。VMwareのスキルやツールを継続して利用できる一方、Azureのメリットやエコシステムも享受できます。クラウド化が難しかった環境や、ハイブリッドクラウドやDRサイトなどの用途にも適しています。
Azure VMware Solution (AVS)とは?について詳しく知る
04. Azure Files
Azure上で提供されるファイル共有サービスです。インターネット経由でどこからでもファイルにアクセスできるほか、オンプレファイルサーバーとの互換性も高いのが特徴です。WindowsやLinuxなどのOSに限定されることなく、ファイルサーバーの管理や運用の負担を軽減し、クラウドのメリットを享受できます。Azure Filesは、Azure File SyncやAzure NetApp Filesなどの他のAzureサービスとも連携できます。
Azure Files についてもっと知る
05. Azure Stack HCI
オンプレミスでシステムを稼働させながら、Azureからの課金と管理を実現し、プライベートクラウドとしても利用できるハイブリッドクラウドサービスです。HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)という技術を使って、汎用サーバーを並べるだけで、仮想化基盤を簡単に構築できます。Azureの最新技術やセキュリティパッチも社内環境で活用できるため、業務システムの開発効率やスピードが向上します。
Azure Stack HCI についてもっと知る
Microsoft Azure 主要機能
AI+機械学習
データベース・分析
Azure SQL Database
Microsoft SQLデータベースを提供するAzureのPaaSサービスです。WindowsサーバーへMicrosoft SQLのソフトウェアをインストールし設定する必要はなく、必要に応じてすぐに使い始めることが出来ます。
>より詳細はこちら
Azure Databrics
構造化データと非構造化データを1つの基盤でBI分析もAI活用も実現でき、Azure ADやMicrosoft 365などのサービス間連携も容易で、拡張性に優れてたサービスです。
>より詳細はこちら
Azure Synapse Analytics
Data Ware Houseとビッグデータを同一データハブにスムーズにまとめることが可能になり、データ可視化ツールの活用が簡単に進められるようになります。
>より詳細はこちら
ハイブリッド/マルチクラウド
セキュリティ
Microsoft Defender for Cloud
クラウドの設定ミスを防止する「CSPM (Cloud Security Posture Management)」と複数のクラウドサービスを一元的に監視、保護する「CWPP (Cloud Workload Protection Platform)」をAzure上で提供するセキュリティサービスです。
>より詳細はこちら
Microsoft Sentinel
クラウドネイティブな次世代SIEMソリューションです。
サイバー攻撃の検出・調査・対応による封じ込めと、復旧のプロセス/ワークフローの自動化によって、最小限の労力でサイバー攻撃の被害を最小化します。
>より詳細はこちら
コンピューティング
Azure Virtural Machine (仮想マシン)
数分という短時間で、Windows、Linuxの仮想マシンをAzure上で作成し利用することが出来ます。用途に合わせた豊富なマシンスペックがあります。
>より詳細はこちら
ネットワーク
ストレージ
Microsoft Azure 導入の5つのステップ
STEP1. クラウド移行の動機を明確にし、戦略定義する
まずはなぜクラウド移行をするのか、その目的と動機を明確にしましょう。そのうえで、その目的を達成するための目標とビジネス成果を設定し、関係者へ事前に共有しておくことが重要です。単純にクラウド移行を実施したとしても、成果が明確にならなければ、その移行が正解だったのかも明確にならない為です。
STEP2. アセスメントを実施する
既存環境の調査とコスト試算を実施し、クラウド移行をすることでどの程度の成果を得られるのかを診断しましょう。望ましい成果が得られると判断できる場合は、移行計画や、手順とその実行範囲を決定していきましょう。
自社での実施が難しい場合は、下記のような診断サービスもありますので、ぜひご活用ください。
>Azure移行診断サービスはこちら
STEP3. PoCを実施する
本番移行をスムーズに実施するため、できる限り本番に近い環境を構築し、確実に性能や品質が担保できることを検証していくことも重要です。
STEP4. 実際に構築・移行を実施する
中長期的な計画など全体を踏まえた適切な設計をすることで、移行ツールを使いながらスムーズに移行が可能です。
STEP5. クラウドの運用をしていく
お客様によって状況は様々ですが、自社で出来る範囲と支援を必要とする範囲をそれぞれ見極め、最適な役割分担をしながら、適切な運用を実施していくことが大切です。
また、「Azure Portal」という管理画面から、アプリ・仮想マシン・ネットワーク・ストレージなどのAzureサービスを一元管理することが可能です。
稼働状況やコストの可視化をすることで、より良い運用を実行することが出来ます。
Microsoft Azure 料金
Microsoft Azureは従量課金制となっており、使用したリソースの分だけ金額がかかってくる仕組みになっています。ざっくりとした価格感が知りたい…という方は仮想マシンのスペックと台数を入れるだけで簡単に大まかなAzure料金を計算できるツールもございますので、ぜひ下記より、シミュレーションにご活用ください。
>かんたんAzure IaaS価格シミュレーション
Microsoft Azure 活用例
普段は使わないバックアップのコスト削減に。
いざという時にクラウドを活用
例:災害対策、バックアップ型
(検討対象の主なサービス…StorSimple、Azure Backup、Azure Site Recovery)
需要変動に対してオンプレミスとクラウドの両方をメインのデータセンターとする
開発、検証の一時的なリソースとしたり、需要がピークになる時、追加分のリソースとして活用したりする。また、クラウド側をサブ データセンターとして活用する。
例:拡張型 IaaS (検討対象の主なサービス…仮想マシン、仮想ネットワーク、サイト間 VPN)
クラウドに全面移行しインフラ管理の手間を省く
更に激しいビジネス変化に合わせてIT環境も柔軟に変化可能に
IT担当者が少ないなどの理由で、管理し切れないような場合にはクラウドに全面的に管理を移行することは効果的。また、ビジネスの変化が激しく 、ITもそれに対応させたい場合のメイン データセンターとしてクラウド活用は有効。
例:基幹ワークロード対応 IaaS (検討対象の主なサービス…仮想マシン G シリーズ、仮想ネットワーク、ExpressRoute)
新規事業や新規用途にクラウドを活用
AIやIoTなど、最新のIT技術をビジネスに活かす
IoT、AI、ビッグデータなど新たな技術をビジネスに取り入れたい場合や、新規ビジネスにすぐに IT を使う必要がある場合など、軌道に乗るまで柔軟に使えるクラウド環境を構築。
例:事業推進型 PaaS (検討対象の主なサービス…IoT Hub、Machine Learning、HPC 仮想マシン N シリーズ、Cognitive Services、SQLデータベース)