VMwareとNutanixの比較

本記事のポイント

    1. VMware は3層で調達する構成、Nutanix はソフトウェアで統合する構成
    2. 費用の差が出るのは、ハイパーバイザーと外部ストレージと追加機能の3か所
    3. どちらが優れているかに一般解はなく、自社の環境と運用体制で決まる

VMware の代替として Nutanix を検討する場合、機能の一覧を並べても差は見えてきません。2つの製品は構成の考え方が違い、そこから費用の出方と運用の手順が分かれます。差が出るのはこの3か所で、機能の一覧に並ぶ項目ではありません。

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1. 構成の違い


VMware は3層の構成を前提にしています。 物理サーバーに ESXi を入れて仮想化基盤を作り、ストレージは SAN や NAS を別に調達して接続します。ネットワークの仮想化が必要なら NSX を足します。それぞれの機器を別々のメーカーから調達するため、保守の契約も別々に発生します。

Nutanix は HCI(ハイパーコンバージドインフラ)です。 各ノードの内蔵ディスクをソフトウェアで束ねて分散ストレージを構成するため、外部の SAN や NAS を用意しません。ノードを足せば、計算資源とストレージが同時に増えます。Dell、HPE、Lenovo などのサーバー上で動くため、ハードウェアの選択肢は残ります。

この違いが、以降の費用と運用の差につながります。

仮想化の機能の対応

機能 VMware Nutanix
仮想マシンの無停止移動 vMotion AHV Live Migration
障害時の自動切り替え vSphere HA AHV HA
スナップショットと保護 VM Snapshot Protection Domain、Leap
ネットワークの分離 NSX Flow
災害対策とレプリケーション Site Recovery Manager Leap
管理ツール vCenter Server Prism(Element、Central)

それぞれの機能がどのライセンスに含まれるかは、エディションと契約の条件によって変わります。 表は機能の対応関係を示すもので、追加費用の有無を示すものではありません。見積もりの段階で、自社の契約でどこまで含まれるかを確認してください。

Nutanix のハイパーバイザーである AHV は、オープンソースの KVM(Kernel-based Virtual Machine)をもとにしています。Nutanix では AHV のほかに ESXi と Hyper-V も選べるため、既存の VMware 環境を維持したまま Nutanix のハードウェアとストレージだけを先に導入し、ハイパーバイザーの入れ替えを後から進める形も取れます。

 

💡STech I ワンポイントアドバイス

段階的に移す場合、ハイパーバイザーを後回しにできるかどうかは既存の保守契約に左右されます。ESXi のサポート期限と、ストレージ機器の保守期限を並べて確認してください。ストレージの保守が先に切れる環境では、ストレージの更新に合わせて Nutanix を入れ、ハイパーバイザーは次の更新まで ESXi のままにする順序が取れます。

 

2. 費用の違い


どちらが安いかは、環境の規模、CPU のコア数、現在の契約内容、移行の工数によって変わります。断言できるのは、費用の差が出る場所です。

VMware 側で費用が増える3か所

  • サブスクリプション化: 契約を続ける限り費用が発生します。買い切りができなくなりました
  • パッケージ単位の購入: NSX や vSAN を使っていない環境でも、VCF や VVF に含まれる形で費用を払います
  • CPU コア単位の課金: 新しい世代のサーバーはコア数が多いため、機器を更新するとライセンスの費用も上がります

保守期限を機にサーバーを新しくすると、ライセンスの費用が想定を超えることがあります。

Nutanix 側で差が出る3か所

  • AHV は Nutanix のライセンスに含まれ、ハイパーバイザーの費用が別に発生しません
  • 外部の SAN や NAS を調達せず、その保守と更新の費用もかかりません
  • 災害対策と管理ツールが標準で含まれるエディションがあります

5年分で比べる

5年間の総額で比べると、VMware 側にはサブスクリプションの累積に加えて、外部ストレージの保守と更新、NSX や Site Recovery Manager のライセンスが積み上がります。外部ストレージの更新時期が近い環境では、その更新費用を移行の費用に振り替えられる場合があります。

ただし、試算には初期のハードウェアの調達費用と、移行にかかる工数を必ず含めます。これを含めない比較は成り立ちません。 環境によっては VMware の継続が下回ることもあります。

VMware と Nutanix で費用の差が出る3か所を示す図

【公開前に差し替えるダミー画像】図2 費用の差が出る3か所(1200×675) 左に VMware、右に Nutanix を置く。両者の間に3つの項目(ハイパーバイザーのライセンス、外部ストレージの保守と更新、追加機能のライセンス)を縦に並べ、それぞれで費用が発生する側に印を付ける。下部に「移行の工数と並行運用の期間は別に加算する」と添える alt: VMware と Nutanix で費用の差が出る3か所を示す図

 

3. 運用の違い


管理ツール

vCenter は機能が多い一方、習熟に時間がかかります。クラスター、データセンター、データストアといった VMware 固有の考え方を理解したうえで設計と運用を行います。複数のクラスターを管理する環境では、vCenter そのものを冗長構成にする設計も必要になり、vCenter の運用自体が独立した作業になります。

Nutanix の Prism は Web ブラウザーから操作します。仮想マシンの管理、資源の監視、バックアップの設定、更新の適用を1つの画面で行えます。複数のクラスターは Prism Central でまとめて管理でき、ESXi、AHV、Hyper-V が混在する環境も扱えます。

更新の適用

Nutanix は、ファームウェア、ハイパーバイザー、管理ソフトウェアをまとめて適用できます。1台ずつ順に更新する方式のため、業務を止めずに終えられます。VMware では vCenter と ESXi の更新を別々に計画し、構成によっては計画停止を伴います。

障害への対応

サーバーが1台故障した場合、VMware は vSphere HA が仮想マシンを別のホストで起動します。復旧後の状態確認と手作業での対応が残ることがあります。Nutanix は自動での切り替えに加えて、データを他のノードに再配置し、復旧後の再配分も自動で行います。

外部ストレージを使う VMware 環境では、ストレージ側の障害でメーカーとの並行した切り分けが必要になります。 復旧までの時間が延びる要因です。

 

💡STech I ワンポイントアドバイス

運用の差を見るなら、直近1年間の作業ログを見てください。計画停止を伴う更新を何回行ったか、障害の切り分けに何時間かけたか、その対応に何人が関わったかの3点です。この3点が減るかどうかが、運用面での効果です。管理画面の数だけを比べても、担当者の時間がどれだけ空くかは分かりません。

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4. どちらが向いているか


VMware を続けたほうがよい環境

NSX の高度なネットワーク仮想化に深く依存している環境では、移行の費用が大きくなります。Nutanix の Flow は基本的な機能を備えていますが、NSX の細かい設定をそのまま移せるわけではなく、ネットワークの設計を見直すことになります。

社内に VMware の認定資格を持つ担当者がいて運用体制が固まっている場合は、ツールを変えることによる教育の費用と習熟の期間を試算に入れて比較してください。VCF や VVF に含まれる機能を実際に使い切っている環境であれば、パッケージの費用効率は相対的によくなります。

Nutanix を検討する条件

ハイパーバイザーのライセンス費用をなくしたい、外部ストレージの更新費用を抑えたい、災害対策と管理ツールに追加費用をかけたくない。この3つが要件にある場合、費用面で差が出ます。

少人数で運用している企業にも合います。ノードを足すだけで計算資源とストレージが同時に増える構成は、段階的に規模を広げる中規模の環境と相性がよくなります。

AWS や Azure との連携(Nutanix Cloud Clusters、NC2)を検討している場合、オンプレミスとクラウドを同じ管理基盤で扱えます。

 

 

5. 移行で見落としやすい点と、事前に確認する項目


1つ目は、ライセンスの費用だけで判断することです。 移行の作業工数、社内の教育、並行運用の期間中に両方を維持する費用を含めないと、比較になりません。

2つ目は、移行の順序を決めずに着手することです。 アプリケーションサーバーとデータベースサーバーのように通信し合う仮想マシンは、片方だけを先に移すと接続できなくなります。どの仮想マシンがどれと通信しているかを先に一覧にし、まとめて移す単位を決めます。

3つ目は、一括で移そうとすることです。 規模が大きいほど、途中で計画が止まります。重要度が低く、停止しても影響の小さいシステムから順に進めます。

4つ目は、運用手順の書き直しです。 画面が簡単になっても、手順書の書き直しと担当者の習熟期間は残ります。並行運用の期間を確保してください。

移行の前に確認しておく項目は次のとおりです。

  • 現行の仮想マシンの棚卸し(台数、構成、稼働率、依存関係)
  • 各アプリケーションが AHV 上で動くかどうかの検証対象の洗い出し
  • ネットワーク構成の整理(NSX を使っている場合は Flow で代替できるかの評価)
  • バックアップと災害対策の再設計(現行のバックアップ製品が Nutanix 環境で使えるかの確認)
  • 移行の優先度(重要度と移行の難度から順序を決める)

 

6. よくある質問


Q. AHV に移したあと、既存のバックアップ製品はどうなりますか。
製品によります。主要なバックアップ製品は AHV に対応していますが、対応する版と機能の範囲は製品ごとに違います。現在使っている製品の対応状況を、移行の検討に入る段階で確認してください。

Q. VMware の資格を持つ担当者のスキルは、どこまで引き継げますか。
仮想化の設計の考え方は共通するため、そのまま使えます。書き直しが必要になるのは、製品固有の操作手順と運用手順です。並行運用の期間を設け、その間に手順書を作り直してください。

Q. 段階的に移す場合、どの順序になりますか。
Nutanix は ESXi も動かせるため、ハードウェアとストレージだけを先に入れ替え、ハイパーバイザーは後から移す順序が取れます。ストレージの保守期限が先に来る環境では、この順序が現実的です。

Q. 5年分の試算は、どこまで自社でできますか。
現行のライセンス費用と保守費用は自社で集められます。難しいのは、移行の工数と、移行後に減る運用時間の見積もりです。この2つは実際の環境を見ないと精度が上がりません。

 

7. まとめ


VMware と Nutanix は構成の考え方が違います。VMware は仮想化、ストレージ、ネットワークを別々に調達する3層の構成、Nutanix はこれらをソフトウェアで統合する構成です。

比較の観点 VMware Nutanix
費用 サブスクリプション化とパッケージ購入で上がりやすい ハイパーバイザーと外部ストレージの費用が発生しない
運用 機能が多く、習熟に時間がかかる 更新と障害対応の自動化の範囲が広い
拡張 サーバーとストレージを別々に増やす ノードを足すと両方が増える
今後 ライセンス条件の変更が続く可能性がある オンプレミスとクラウドを同じ基盤で扱える

どちらが優れているかという問いに一般解はありません。判断の基準は、自社の環境、運用を担う体制、今後の計画です。

次回の更新が1年から2年以内に迫っている場合は、いま比較を始めてください。移行には規模によって半年から1年以上かかります。 更新の直前に動き始めると、選べるのは継続だけになります。

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この記事を書いた人

斉藤 朋子
斉藤 朋子