
本記事のポイント
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- 永続ライセンスの販売は終了し、1年または3年のサブスクリプションに変わった
- 課金の単位が CPU ソケットからコアに変わり、最低16コアで数える
- 製品はパッケージ単位になり、必要な機能だけを選べなくなった
- 影響が大きいのは「コア数の多い CPU」と「小規模な構成」
2023年12月11日、VMware は永続ライセンスの販売を終了し、サブスクリプションへ移行すると発表しました。Broadcom による買収が完了した3週間後のことです。この発表以降、課金の単位、製品の組み合わせ方、最低の購入量が続けて変わりました。当社が支援の現場で聞いた範囲でも、すでに更新を迎えた企業から、従来より大きく上がった見積もりが出たという声があります。ただし上がり幅は構成によって大きく違い、他社の倍率は自社の目安になりません。移行先の比較は別の記事にゆずります。
1. 買収の概要とBroadcomの方針
Broadcom は2023年11月22日、VMware の買収を完了しました。取引額は約610億ドル、引き受けた負債を含めると約690億ドルです。
Broadcom は半導体を主軸としてきた企業で、ソフトウェア事業では買収した製品の顧客から継続して収益を得る形を取ってきました。VMware は多くの企業の基幹システムを支える仮想化基盤で、大企業を中心とした顧客を持っています。この顧客層から継続的に収益を得られる点が、買収の理由として挙げられていました。
買収後に打ち出された方針は、次の3つに整理できます。
- 永続ライセンスをやめ、サブスクリプションに一本化する
- 多数の製品を少数のパッケージにまとめる
- 大口の顧客に営業と支援の資源を集中する
これは、幅広い顧客に製品を届ける形から、1社あたりの収益を重視する形への転換です。 結果として、小規模な環境で使っている企業や、費用を抑えて運用してきた企業ほど、継続の条件が厳しくなっています。
2. 変わった4つの点
| 変更点 | 従来 | 現在 |
| 契約の形 | 買い切りの永続ライセンス | 1年または3年のサブスクリプション |
| 課金の単位 | CPU ソケット単位 | CPU コア単位。1つの CPU につき最低16コアとして計算 |
| 製品の選び方 | 必要な製品を個別に選ぶ | VMware Cloud Foundation(VCF)や vSphere Foundation(VVF)などのパッケージ |
| 最低の購入量 | 16コアから | 一度72コアへの引き上げが通知され、その後撤回されたと報じられている(後述) |
契約が更新前提になった
永続ライセンスは、一度購入すればその版を使い続けられました。現在は1年または3年の契約で、期間が終われば更新しない限り利用を続けられません。
会計上の扱いも変わります。従来は資産として計上していた費用が、毎年の運用費になります。更新のたびに予算の承認が要るため、費用の管理を担当する部門との調整も毎年発生します。
コア数がそのまま費用に響く
課金の単位が CPU ソケットからコアに変わりました。加えて、1つの CPU につき最低16コアとして数える規則があります。8コアの CPU を積んだサーバーでも、16コア分のライセンスが必要になります。
CPU の世代が上がるほどコア数は増えます。同じ台数のサーバーを新しい機種に置き換えるだけで、ライセンスの費用が上がる構造になっています。
製品がパッケージ単位になった
従来は vSphere だけを導入し、必要になった時点で NSX や vSAN を足す形が取れました。現在は VCF や VVF といったパッケージが中心で、仮想化、ストレージ、ネットワークがまとまって提供されます。
使わない機能が含まれていても、パッケージの費用を払うことになります。段階的に機能を足していく設計は取りにくくなりました。
最低の購入量をめぐる変更
2025年4月10日から、発注1明細あたりの最低コア数を16から72に引き上げるという通知が、販売代理店から顧客に出されました。1つの CPU につき最低16コアという規則は、これとは別に残ります。
この引き上げは、その後に撤回されたと複数の媒体が報じています。 撤回後は、1つの CPU につき最低16コアという従来の規則に戻ったとされています。Broadcom は価格変更を発表した事実はないとしており、公式の発表としては確認できません。見積もりを取る段階で、販売代理店に現在の条件を確認してください。
なお、無償版の ESXi は2024年2月にいったん提供が終了しましたが、2025年4月に ESXi 8.0 Update 3e として再び無償で提供されています。検証環境の構築には使えますが、利用にはサポートポータルへの登録が必要です。
見積もりを見る前に、自社のコア数を数えてください。ホストごとに CPU の数とコア数を書き出し、1つの CPU につき16コアという規則を当てはめた数値と、実際のコア数を並べます。この2つの差が、使っていないのに払う分です。差が大きいホストから、集約や機種の見直しの対象になります。
3. 企業への影響
費用が上がる
サブスクリプション化、コア単位の課金、パッケージ化が重なり、多くの企業で従来より費用が上がっています。影響が大きいのは、コア数の多い CPU を使っている環境と、小規模な構成の環境です。
小規模な環境ほど負担が重い
1つの CPU につき最低16コアという規則は、実際の利用規模が小さいほど影響します。部門ごとのシステムや、検証と開発のための環境では、使う量に対して過剰な契約が必要になります。この用途では、VMware 以外の選択肢を検討する動きが出ています。
構成を選ぶ自由度が下がる
必要な機能だけを選ぶことが難しくなりました。初期の構成を必要最小限に絞り、後から足していく進め方は取りにくくなっています。
調達の経路が変わる
パートナー制度の再編により、これまで取引していた販売代理店から購入できなくなる場合があります。見積もりの取得や契約更新の手順が変わることもあり、調達にかかる期間を見込んでおく必要があります。

費用の上昇幅は環境によって大きく違います。当社が支援した範囲では、コア数の多い CPU を少数のホストで使っている環境と、小規模なホストを多数並べている環境とで、上昇幅が異なりました。他社の事例で示された倍率をそのまま自社に当てはめず、自社の構成で試算してください。試算に必要なのは、ホストごとの CPU 数、コア数、使っている製品の一覧です。
4. 次の更新までに行うこと
現行のライセンスを棚卸しする
新しい体系では、CPU のコア数を基準に契約の内容が決まります。現状を把握できていなければ判断できません。整理が要るのは次の4項目です。
- 使っている製品(vSphere、NSX、vSAN など)
- ホストごとの CPU 数とコア数
- ストレージの容量
- 契約しているエディションとサポートの内容
コア数については、1つの CPU につき最低16コアという規則があるため、実際の数と課金の対象になる数が食い違います。両方を書き出してください。
更新の時期を確認する
契約を更新する時点で、新しい体系が適用されます。更新の時期は判断の分岐点になります。サポート契約の満了日、サブスクリプションの更新時期、更新の条件が変わっていないかを確認してください。
更新まで1年を切っている場合は、検討できる期間が限られます。 早い段階で状況を把握し、選択肢を並べておく必要があります。
費用を試算する
現行の費用、新しい体系での想定費用、代替案の費用を並べます。比較の期間は3年から5年で取ります。単年の価格だけで判断すると、更新と拡張の分が抜けます。
移行の検討を始める
移行には検証、設計、実際の移行という工程があり、短期間では終わりません。移行を選ぶ可能性がある場合は、更新の時期から逆算して検討を始めてください。
移行先には、クラウドへの移行、Nutanix などの HCI、オンプレミスとクラウドを組み合わせる構成、VMware を継続したうえでの構成の見直しといった選択肢があります。それぞれの向き不向きは別の記事で扱います。
棚卸しの結果は、移行を検討する場合にもそのまま使えます。ホストごとの構成と使っている機能の一覧を持って、各選択肢の試算に入ってください。一覧がないまま製品ごとの説明を聞くと、比較の前提がそろわないまま検討が進みます。
5. よくある質問
Q. 購入済みの永続ライセンスは、どう扱われますか。
利用そのものは続けられます。ただし新規の販売とサポートの更新は終了しています。サポートが切れた状態で運用を続けるかどうかは、脆弱性への対応をどうするかを含めて判断してください。
Q. 費用はどのくらい上がりますか。
環境によって違います。コア数の多い CPU を使っている環境と、小規模な構成の環境で影響が大きくなります。他社の倍率をそのまま当てはめず、自社のホストごとの構成で試算してください。
Q. 無償版の ESXi は、どの範囲で使えますか。
検証環境の構築と、単体のサーバーでの利用までです。サポートが付かず、vCenter による集中管理やライセンスが必要な機能も使えないため、本番環境の代替にはなりません。
Q. 移行の判断は、いつまでに行いますか。
更新の時期によります。更新まで期間がある場合は、棚卸しと試算を先に済ませ、判断の材料をそろえてください。更新まで1年を切っている場合は、継続と移行の両方の試算を並行して進める必要があります。
6. まとめ
Broadcom による買収後、VMware のライセンスは4つの点で変わりました。永続ライセンスの販売終了、CPU コア単位の課金、パッケージ単位の提供、最低購入量の扱いです。
影響が大きいのは、コア数の多い CPU を使っている環境と、小規模な構成の環境です。費用が上がるだけでなく、必要な機能だけを選ぶ自由度も下がりました。
次の更新までに行うのは、現行ライセンスの棚卸し、更新時期の確認、費用の試算、必要な場合の移行の検討です。従来の延長で更新の可否だけを判断すると、選択肢を比べる時間が取れません。更新の時期から逆算して、検討を始めてください。
7. 出典
- Broadcom は2023年11月22日に VMware の買収を完了した。取引額は約610億ドルで、引き受けた負債を含めると約690億ドル。
- 出典は Broadcom の発表および複数の報道。
- 2023年12月11日、永続ライセンスの販売を終了しサブスクリプションへ移行すると発表された。製品は VMware Cloud Foundation と vSphere Foundation に集約された。
- 出典は VMware Cloud Foundation Blog「VMware End Of Availability of Perpetual Licensing and SaaS Services」(2024年1月22日)。
- 掲載ページは blogs.vmware.com。
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この記事を書いた人

- 斉藤 朋子
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