事例で解説!AzureでVMware vSphere環境をクラウド化する際のポイントと注意点とは?

オンプレミスにてVMware vSphereによる仮想マシンを運用している企業においては、バージョンアップやメンテナンスなどにかかる負荷が課題となっているのではないでしょうか。このような管理にかかる負荷の低減に有効なのがクラウド化です。クラウド化により、メンテナンス等にかかる運用保守作業を省力化することができます。

それでは、VMware vSphere環境をクラウド化するためには、どのような観点に気を付ければよいのでしょうか。
本稿では、当社が実際にVMware vSphere環境のクラウド化を支援したA社の事例を参考に、AzureでVMware vSphere環境をクラウド化する際のポイントについて紹介いたします。



1.A社がVMware環境をAzureでクラウド化した事例の紹介

通信事業を営むA社では、オンプレミスで50台ほどの物理サーバーを保有しており、VMware vSphere環境で仮想サーバー130台を導入するなど、大規模なシステムを運用していました。以下では、A社が抱えていた課題とその解決方針について紹介いたします。

A社の課題

A社の情報システム部門では、

  • 物理サーバーの管理・メンテナンス
  • 仮想化基盤のバージョンアップ対応
  • OSのパッチ適用

など、オンプレミスで運用するシステムの管理負荷が高いことに悩みを抱えていました。そこでA社では、管理負荷の低減に有効であるITインフラのクラウド化を検討。クラウド化により、

  • 運用・管理工数の削減
  • 自社システム資産の圧縮
  • データセンター縮小

などを実現することを目標に、Azureによるオンプレミス環境のクラウド化を開始しました。

AzureでVMware vSphere環境をクラウド化する際の2つの選択肢

AzureでVMware vSphere環境をクラウド化する方法としては、「Microsoft Azure」上でVMware vSphere環境を数クリックで使えるサービス「Azure VMware Solution(略称:AVS)」を活用する方法Azure IaaS VMで構築する方法の2つから選択できます。

Azure VMware Solution(AVS)は、Azure内で提供されるVMwareの仮想環境です。オンプレミス環境のクラウド化を行う際に生じがちな課題を解決するのに有効であり、オンプレミスでVMware vSphereを利用している場合に有効な選択肢となります。

Azure VMware Solution(AVS)の概要はこちら>>

一方で、Azure IaaS VM上にVMware vSphere環境を構築することで、クラウド化を実現する方法もあります。Azure IaaS VMを採用することで環境の最新化(モダナイゼーション)を実現できますが、移行においては対象OSなどの制約もあるため、注意も必要です。

両者はそれぞれ異なる特徴を持っています。下表にて、それぞれの観点にて両者の特徴と違いを整理しています。

 

Azure VMware Solution(AVS)とAzure IaaS VMの比較
Azure VMware Solution(AVS) Azure IaaS VM
移行手法 ・vMotion
・Bulk vMotion
・Replication assisted vMotion など
※無停止 or 数分間での停止で移行可能
・Azure Migrate
・Azure Site Recovery など
※一定の停止時間が必要
コスト VMware vSANベースであり、3ノード以上の構成となる。
複数のサーバーを集約可能であれば、Azure IaaS VMよりコストを下げることができる。
仮想マシン1台単位からの課金となるため、数台から構成される小規模なシステムでもコストメリットがある。
対応 OS 最新のOSに加え、Windows Server 2000, 2003などのレガシーOSにも対応 Windows Server 2008/2008 R2以降に対応
※Windows Server 2003/2003 R2に関しては、CSA(カスタムサポート契約)が必要
特典 以下の各種特典が利用可能
・Azure ハイブリッド特典
・拡張セキュリティ更新プログラム
・予約インスタンスによる大幅な割引

 

A社ではAVSを採用して移行を実現

これら2つの方法のうち、A社では以下のような観点を考慮の上、Azure VMware Solution(AVS)を採用しました。

  • 観点①:IPアドレスを変更したくない
    IPアドレスを変更せずに移行できれば、移行のためのアプリの改修が不要となります。AVSのL2延伸機能により、現行システムのIPアドレスやMACアドレスを維持したまま、 仮想マシンを移行できる点が選択のポイントとなりました。
  •  

  • 観点②:無停止で移行したい
    A社にはミッションクリティカルシステムが存在したため、無停止での移行が必要でした。AVSであれば、条件により無停止での移行を実現できます。
  •  

  • 観点③:レガシーOSにも対応する必要がある
    A社には、いわゆる「塩漬けシステム」となっているレガシーOSを採用したシステムが存在しました。これらのシステムの移行にもAVSであれば対応できます。
  •  

  • 観点④:コストをできるだけ削減したい
    多数のサーバーを集約できる場合、AVSはAzure IaaS VMよりコストを抑えられます。具体的には、Azure IaaS VM 50台分の費用とAVSのノード費用がほぼ同等となるため、それ以上のサーバーを運用していたA社にはAVSの採用にメリットがありました。

 

2.AVSの導入における3つのポイント

Azure VMware Solution(AVS)を導入する際に押さえておきたいのが、「技術面」「運用面」「コスト面」という3つのポイントです。以下では、これらのポイントについて紹介します。

 

AVSの導入における3つのポイント

技術面

技術面では、、「移行対象のシステムがAVSに向いているか?」と「ダウンタイムなしでの移行が可能か?」という2つの観点で確認を行います。

移行対象のシステムがAVSに向いているかどうかは、事前にアセスメントを実施することで判断できます。アセスメントにより、移行に伴うシステム上の課題の洗い出しや、IT環境の可視化を通した見込みコスト算出を行います。

また、ダウンタイムなしで移行可能かは条件により異なります。オンプレミスのVMware vSphere環境からAVSへ移行する場合、停止期間の長さに応じて「コールド」「ウォーム」「ホット」の3つのパターンがあります。
ダウンタイムを最小化するためには、そのうちホットを選択しなければなりませんが、A社ではホットを利用できる条件を満たしていませんでした。そこで代替案として、A社では踏み台サーバーを利用した二段階移行を採用することで、無停止での移行を実現しました。

 

AVSへ移行する3つのパターン

 

運用面

運用面では、AVSへの移行により運用体制を維持・改善できるかを確認します。また、運用工数の削減や運用への影響を把握し、経営層をはじめとした社内に対して報告できるようにすることも大切です。
A社では、当社が実施したワークショップにより、運用体制の改善可能性を事前に確認。
AVSの実機を用いたハンズオンを通して、AVSへの移行後もこれまで培ってきたVMwareの運用ノウハウやスキルセットを生かせることや、AVSの実際の運用イメージを事前に確認しました。

コスト面

上述の通り、A社の場合は大規模環境であったためにAVSにコストメリットがありましたが、さらに当社では「お客様自身での本番環境の移行」や「コストメリットがある領域へのIaaSの採用」「PaaSであるAzure FilesやAzure NetApp Filesの活用」など、複数のコスト削減施策を提案しました。

さらに、予約インスタンス(RI)により3年間の事前予約をすることで、トータルコストを53%削減することができました。

3.導入スケジュールと導入効果

スケジュール

本取り組みは、当社側にて設計に1か月、構築、検証 及び スキルトランスファーを1か月で実施し、A社へ引き渡しを行いました。その後、A社側にて3か月間で本番移行を実施。合計5か月で移行を完了しました。

 

A社における導入スケジュール

 

導入効果

A社が享受できたAVSの導入効果は以下の通りです。

  1. 運用工数30%削減
    AVSを採用したクラウド化により、運用工数を30%削減できました。
    また、AVS移行後もVMwareのスキルセット活用や既存の運用体制の踏襲により、移行の影響も最小化できました。
  2.  

  3. Azureのネイティブサービス活用によるDX促進
    AVSへ移行したことでAzureネイティブサービスとの統合を実現。Azureのネイティブサービスを活用できる環境を整えることで、DXの促進にもつながりました。
  4.  

  5. クラウドサポート加入による不安解消
    A社は、当社のクラウドサポートサービスへ加入いただいています。これにより、VMware vSphereのバージョンアップ時はMSから通知を受けられるほか、月次での定例会によりバージョンアップの影響度や対応策の共有を受けられています。
  6.  

    4.まとめ

    本稿では、当社がVMware vSphere環境のクラウド化を支援したA社の事例を参考に、AzureでVMware vSphere環境をクラウドする際のポイントをご紹介しました。

    オンプレミスからクラウドへの移行は多くの企業で課題となっているのではないでしょうか。現行システムのクラウド化を進めることで、これまで運用保守にかかっていたコスト・人的リソースを削減し、より新しい取り組みに振り分けることができるようになります。

    日商エレクトロニクスでは、Azureの豊富な導入実績をもとに、企業のクラウド化を支援しています。個別相談会や無償のAzure移行診断サービスも実施していますので、VMware vSphere環境のクラウド化を検討している方はぜひ問い合わせをお願いします。

     

    また参考資料(「Microsoft Azureで実現するVMware vSphere環境のクラウド化とは?ご紹介​資料」)もご用意しております。ぜひご活用ください!
    Microsoft Azureで実現するVMware vSphere環境のクラウド化とは?


    Microsoft Azureで実現するVMware vSphere環境のクラウド化とは?ご紹介​資料 資料ダウンロードはこちら

     

    本内容は、2022年7月1日に開催いたしました、「『はじめる』シリーズ第4弾!AzureではじめるVMwarevSphere環境のクラウド化セミナー」にて詳しく解説しております。
    オンデマンド動画をご用意しておりますので、宜しければ上記資料とあわせてご覧ください。

    オンデマンド動画ダウンロードはこちら>>

     

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    この記事を書いた人

    NE + Azure 編集部
    NE + Azure 編集部
    日商エレクトロニクス特設サイト「日商エレ+Azure」サイトマスターです。