これからMicrosoft Azureを始めようとしている方に向け、仮想マシン(VM)に関する基礎知識をまとめました。
Azureでは、Windows10やWindows Serverだけではなく、Ubuntu ServerやCent OS、SUSE Linuxなど様々なOSを利用することができます。
またマシンのスペックも自由に設定することができます。
用途や実現したい内容にあった仮想マシンを使ううえで、参考にしていただければと思います。
(本記事は2021年2月時点の内容を記載しています)
スペックカタログ
Azureでは、用途に合わせて仮想マシンのスペックを選べる「スペックカタログ」が用意されています。
先頭1文字が「D」のシリーズが汎用的なスペックで、多くユーザーがこのシリーズを選択しています。
メモリを大量に使いたい、ストレージに最適化したい、GPUが使えるモデルを選びたいなど、用途に合わせて選べるカタログも多数あります。
VMサイズの見方
仮想マシンのスペックは、VMサイズを見ることでわかるようになっています。
たとえばもっとも標準的な仮想マシンのスペックカタログであるDv3には、D2_v3、D32_v3などのVMサイズが存在します。
先頭の1文字はシリーズを表しています。シリーズは用途ごとに分類されており、Aはエントリーレベル、Dは汎用、Eはメモリ最適化、等となります。シリーズ名の次の数字はCPUのコア数です。メモリサイズは、これらとこれらに続く”_v3″などの文字列と組み合わせることで一意に決まるようになっています(例:D2_v3のメモリサイズは8GB、D32_v3は128GB等)。
仮想ネットワークの設定
Azureでは、ユーザーやリソースごとに独立したプライベートアドレス空間の仮想ネットワークを構築することができます。仮想ネットワーク同士を直接接続しない限り、IPアドレスが重複することはありません。
仮想マシンへのアドレス採番はDHCPで行われます。この際に各サブネットの先頭から3つのアドレスはシステム予約済みとなります。
固定IPアドレスを設定することもできます。固定IPアドレスの設定はAzureポータルから行い、ゲストOS内からは行わないでください。
仮想ネットワークと外部との接続に関しては、Azure内から外に関しては自動的にNAT変換が行われるようになっているので、問題なく接続できます。外から内に関しては、パブリックIPアドレスを割り当てたサーバーにのみ接続できます。Webサーバー等、外部からアクセスさせたいサーバーには必ずパブリックIPアドレスを割り当ててください。
また同一仮想ネットワーク内のサブネット間はデフォルトで相互通信可能となっています。必要に応じてネットワークセキュリティグループを設定することで、サブネット外部からのアクセスの許可および拒否を細かく制御できます。
管理ディスクの選択
OSイメージやユーザーデータは管理ディスクに保持されます。管理ディスクの容量と種類の組み合わせで料金が変わってきます。
管理ディスクの種類は、Standard HDD、Standard SSD、Premium SSDおよび最近提供を開始した超高スペックなUltra SSDの4種類となります。
SLAについて
Azureはすべての一般提供サービスでSLAを定義しています。
利用するサービス | SLA(%) | SLA適用の条件 | 対象・前提条件 |
---|---|---|---|
Azure Active Directory | 99.9 | 有料ライセンスの適用 | Azure Active Directory Basic および Premium サービスについて、以下操作が実行可能である時間 ユーザーが、サービスへのログイン、アクセス パネルへのログイン、アクセス パネル上のアプリケーションへのアクセス、およびパスワードのリセットを行うことができる。 IT 管理者が、ディレクトリ内のエントリの作成、読み取り、書き込みおよび削除、ならびにディレクトリ内のアプリケーションに対するユーザーのプロビジョニング/プロビジョニング解除を行うことができる。 |
Virtual Machines | ①99.99 ②99.95 ③99.9 ④99.5 ⑤95 | ①可用性ゾーンの適用 ②可用性セットの適用 ③シングルVM (Premium SSD) ④シングルVM (Standard SSD) ⑤シングルVM (Standard HDD) | ①すべての仮想マシンに、同じ Azure リージョン内の 2 つ以上の可用性ゾーンにまたがりデプロイした 2 つ以上のインスタンスがある場合の、1 つのインスタンスに対する仮想マシン接続が確保される時間。 ②すべての仮想マシンに、同じ可用性セットにデプロイした 2 つ以上のインスタンスがある場合に少なくとも 1 つのインスタンスに対する仮想マシン接続が確保される時間。 ③~⑤すべてのオペレーティング システム ディスクおよびデータ ディスクについて ディスクの種類の統一された単一インスタンス仮想マシンにおける、仮想マシンへの接続が確保される時間。 |
Virtual Network | N/A | 不要 | Virtual Networkの可用性は接続されたAzure仮想マシンのSLAに基づく。 |
Storage Account(LRS) | 99.9 | 不要 | ローカル冗長ストレージ (LRS)からのデータの読み取り/書き込み要求が正しく処理される時間。 |
Managed Disk | N/A | 不要 | Managed Disks の可用性は、使用されるストレージおよび接続先の仮想マシンの SLA に基づく。 |
Application Gateway | 99.95 | 2 つ以上の中~大規模 のインスタンスの構成 | Application Gateway クラウド サービスが利用可能な時間。 |
たとえば仮想マシンのインスタンス構成とディスク種類で可用性が決まります。例を挙げると、単一インスタンスのStandard HDDであれば95%、単一インスタンスのPremium SSDであれば99.9%の可用性がSLAで保証されます。
最後に
Azureでは用途・目的に合わせて、さまざまな仮想マシンを作ることができます。
この記事をご覧になられた方々が「Microsoft Azure」の仮想マシンについて知っていただき、今後クラウドを活用される際のヒントとしていただければ幸いです。
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この記事を書いた人
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