注目のBYODのメリット・デメリットは?VDI構築でさらなる革新が可能に
近年、社員が個人で所有する端末を業務に使用するBYODが注目されています。BYODは業務効率が上がる・機器コストを削減できるなどのメリットが揃いとても便利に感じますが、情報漏洩やウイルス感染リスクを無視することはできません。
この記事では、BYODのメリットやデメリットについて詳しく紹介すると共に、BYODを安心して導入できる効果的な方法であるVDIについても解説しています。
「BYODを導入する前に、デメリットや注意点を詳しく知りたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
1.いま注目されているBYODとは
BYODとは”Bring Your Own Device”の略称で、個人のスマートフォンやPC・タブレットなどの端末を会社に持ち込み、許可を得て業務に使用することです。
BYODが注目されている背景には、働き方改革やリモートワークの推進によるワークスタイルの多様化が進められていることや、スマートフォンをはじめとした場所を選ばずネットワークに接続できる持ち運び式の端末が普及したことがあります。
BYODは主に業務効率の向上や機器コストの削減などを目的として行われ、社員と管理者の両方にメリットがあることが特徴です。
2.企業がBYODを導入するメリット
まずはBYODを導入する3つのメリットについて詳しくご紹介します。
業務生産性の向上
業務生産性の向上は、BYODの導入による最大のメリットです。
生産性が向上する理由は大きく2つあり、使い慣れた端末での業務は結果として社員の満足度向上にも繋がります。
1. 自分に合った端末を使用することによる作業効率の上昇
2. 時間や場所を選ばない業務が可能になるため
またBYODを導入すると、以下の様な隙間時間を活用した業務が可能になります。
●いつもは出社してから行なっていたメールチェックを通勤の電車内で行う
●会議までの隙間時間に、自身のスマートフォンで資料を確認する
実際に大手IT企業のインテル社ではBYODの導入により作業効率が向上し、1日当たり47分間の隙間時間を効率的に使用できる様になったと発表しています。
さらに個人の端末は社用端末と比べて使用方法で迷うことがないため、ヘルプデスクの負担を軽減できることも特徴です。
機器コストの削減
機器コストが削減できることもBYOD導入のメリットの1つです。
BYODを導入すると会社が複数の端末を用意する必要がなくなり、端末購入に掛かっていたコストの削減が可能になります。
また今まで情報流出防止のために会社用のタブレットなどを用意していた会社も、複数の端末の用意が不要なることで大幅なコスト削減に繋がります。
また、OSのアップデートや修理などのメンテナンスに対応する時間や人件費を合わせて削減できることも特徴です。
シャドーIT対策になる
BYODは、シャドーIT対策としても導入されています。
シャドーITとは、個人で所有している端末や個人で契約しているクラウドストレージサービスなどを、会社の許可を得ずに業務に使用することです。
概要が似ているためBYODと混同されがちですが、2つの間には「会社の許可を得ているかどうか」という大きな違いがあります。
シャドーITは別名勝手BYODとも呼ばれ、情報を無断で持ち出すことによる情報漏洩やマルウェア感染のリスクが高い行為として問題視されています。
またシャドーITは企業が認識していない端末を使用することで、トラブルが起きても問題が発覚しにくいことが特徴です。
一方BYODは使用する端末を会社が認識し、事前に定められたルールに沿って端末が使用されるため、シャドーITと比べてトラブルを事前に防ぐことが可能になります。
シャドーITは社内の情報共有インフラへの不満から行われていることが多いため、使い勝手の良い端末を使用できるBYODの導入は、シャードITの防止策として効果的な方法と言えるでしょう。
3.企業がBYODを導入するデメリット
BYODは便利な反面、セキュリティリスクをはじめとした複数のデメリットも存在します。
情報漏えいの危険性
いくら会社が端末の使用を認めているとは言え、セキュリティリスクが全く存在しない訳ではありません。
社員が個人で使用している端末は高度なセキュリティ対策が行われている会社の端末とは異なり、頻繁なOSのアップデートやデータの保護を行なっていない可能性が非常に高いと言えます。
●友人などの第三者にスマートフォンを貸すことで、機密性の高い情報を見られてしまう
●カフェで仕事をしていたところ、少し目を離した隙に会社のデータが入ったPCを盗まれた
●重要なデータが入ったスマートフォンを紛失してしまった
以上の様なトラブルにより、情報が漏れてしまう危険性は十分にあります。
社員それぞれがセキュリティ意識を高く持ち、重要なデータは社外への持ち出しを禁止する・オフラインで保管するなどのルール作成が重要です。
第三者による端末利用の危険
BYOD特有のリスクとして、第三者の端末利用によるデータ漏洩の危険性が挙げられます。
ここでの第三者とは、会社関係者以外の社員の家族や友人、または悪意のある人物を指します。
BYODに使用する端末は社外でも使用しているので、社員の周囲の人間が端末を操作した結果、情報漏洩やウイルス感染に繋がるリスクは十分に考えられます。
●社員の家族や友人が端末を勝手に使用し、不正なWebサイトにアクセスした結果ウイルスに感染してしまう
●同じく社員の家族や友人が端末を勝手に使用することで、社員専用ページにアクセスし重要な情報が流出してしまう
また悪意のある第三者により端末の盗難などの被害にあった場合は、例えパスワードを設定していたとしても、端末内のデータが漏洩するリスクがあります。
ウイルス感染リスク
個人の端末を使用して業務を行うことは、常にウイルス感染リスクと隣り合わせの状態にあります。
理由は社員のセキュリティリスクに対する認識が低いことで、具体的には以下の様なケースが想定されます。
●知らないうちにウイルスに感染していた自宅のWi-Fiを使用して仕事をしたところ、社内にまでウイルスが広まってしまった
●移動時間に仕事をしようと思い、公衆Wi-Fiを使用したらデータを盗み取られた
●仕事に使用している端末でネットサーフィンをしたところ、悪質なWebサイトを開いてしまいウイルスに感染した
個人の端末はプライベートでの使用用途が不明なため、知らないうちに感染していたウイルスが社内にまでが広まる可能性は十分にあります。
日頃から社員のセキュリティ教育を徹底することや、使用端末へのセキュリティソフトの導入などの対策が必要です。
端末使用を公私で使い分けられない危険
BYODを導入することで、仕事とプライベートの切り替えが困難になる可能性もあります。
またBYODを導入した結果、会社が把握できない労働時間が増え、隠れ残業状態になってしまうことが想定されます。
場所や時間を選ばず仕事ができることで業務時間外も仕事をせざるを得ない状況になり、結果として会社外での労働時間が増えてしまうのです。
便利なBYODを導入は逆に社員の負担を増やしてしまうことにも繋がるため、事前に作成しておいたルールを徹底することが重要となります。
4.BYODを導入するならVDIの構築
便利な反面悩ましいデメリットも多いBYODですが、VDIを構築することで情報漏洩やセキュリティリスク・ウイルス感染リスクなどを防止することが可能になります。
VDIとはデスクトップ仮想化のことで、ネットワーク環境さえあれば、端末の種類やスペック・OSに関係なくどこでもデスクトップ環境に接続できることが特徴です。
もちろんスマートフォン・タブレット・PCでも接続可能で、以下の様な理由から導入が進められています。
●情報は全てサーバに保存されるため、端末にデータが残らない
●場所や時間を選ばずに仕事ができる
●業務のためにスペックの高い端末を用意する必要がない
●一元管理が可能になる
BYODの導入時にVDIを構築することは、より便利で安心な環境の提供に繋がると言えます。
5.VDIのメリット
VDIには、主にセキュリティ面とコスト面において大きなメリットがあります。
セキュリティ強化
VDI導入の大きなメリットの1つに、セキュリティの強化が挙げられます。
VDIは使用端末内に情報を残さないため、端末の紛失・盗難時の情報漏洩リスク防止や
外部へのデータ持ち出し防止といった防止効果が期待できます。
さらに一元管理が可能なこともVDIの大きなメリットです。
管理者側で一元管理を行うことは、セキュリティ上問題のあるソフトウェアやアプリケーションのダウンロードを防ぐ・常にOSを最新の状態に保つことができる等の効果があり、結果として大幅なセキュリティ強化に繋がります。
システム運用コストの削減
VDIはサーバーで一括管理を行うため、PC一台ごとにソフトウェアをダウンロードしたり、アプリケーションを管理したりする必要がありません。
そのため、今まで端末管理に掛かっていた人件費の削減や管理者の負担軽減も期待できます。
VDIの活用事例としては、株式会社ニトリ様が「働き方改革」を支えるIT基盤として導入しております。
ニトリ流「働き方改革」を加速する新たな VDI 環境>>
6.まとめ
この記事では、BYODのメリット・デメリットについてご紹介しました。
BYODは社員が所有している使い慣れた端末を業務に使用することにより、業務効率の向上や機器コストを削減できることがメリットです。
一方、端末の紛失・盗難による情報漏洩やウイルス感染リスクも存在します。
●分かりやすいルールを作成する
●端末の使用用途を明確にする
●社員にセキュリティ教育を行い、セキュリティ意識を向上させる
BYODの導入時には上記の様な対策を行う必要がある他、セキュリティ強化に役立つVDIの構築が大変効果的です。
BYODの導入前に、まずはVDIの構築を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
- Azure導入支援デスク 編集部
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