「Power BI」とは?4つの特徴メリット、気になる費用を解説!
この数年でDX(デジタルトランスフォーメーション)やデータドリブン経営などのキーワードが急激に浸透し、多くの企業がデータ活用に関心を持つようになりました。しかし十分にデータを活用できている企業はまだ少ないと言えます。総務省の2020年の調査では、データの閲覧ができている企業および集計ができている企業はどちらも全体の4分の3を占めています。しかし統計的な分析ができている企業は47.1%と半分を切り、AIを活用した予測ができている企業に至ってはわずか11.9%しかありませんでした(「令和2年度 情報通信白書」より)。
データ活用ができていない理由としては、データ活用人材の不足を挙げる企業が多いようです。また、
「データがどこにあるのかわからない」
「データはあるがアクセスできない」
「データが利用できる形式になっていない」
などといった、データ整備に関する課題が多いのも事実です。
そうすると社内外の様々なデータを統合でき、それらに簡単にしかもセキュアにアクセスできて、データの加工や集計を誰にでも行えるツールがあれば、データ活用に関する課題の大半は解決することになります。
本ブログでは、まさにそのようなツールである「Power BI」について、その概要と活用メリットをわかりやすく解説します。
目次
1.Power BIとは?
Power BIは、マイクロソフトが提供するBIツールです。BIとは、Business Intelligenceの略で、日々のビジネス活動から得られるデータを収集・保存・加工・分析するプロセスや方法を総称するものです。BIによってビジネスの現状を迅速に可視化することができ、より優れた意思決定が可能になります。
Power BIの機能を一言でまとめると、「企業内に蓄積される膨大なデータから必要な情報を抽出し、それらを数字の羅列ではなくグラフなどの見やすい形に変換してダッシュボード上に表示する」となります。
このような機能を持つソフトウェアを自社開発するのであれば、データの収集、加工、分析、分析結果の表示といった一連の処理をプログラミングすることになります。そのためにはITエンジニアはもちろんデータサイエンティストなどのデータ活用人材のマンパワーが必要です。しかしPower BIを利用すれば、これらのデータ処理がノンプログラミングで実現できるだけでなく、AIの活用も一般の業務ユーザーの手で可能になるのです。
Power BI 製品情報はこちら >
2.Power BIの特長・メリットは4つ
① オンプレミス/クラウドを問わずあらゆるデータと連携でき、データを探す手間がなくなる
Microsoft 製品であるExcelやWordなどのOffice365サービスのデータはもちろんのこと、
SaaS、クラウド/オンプレミスのデータウェアハウスなど、さまざまなデータを使えます。それぞれのデータを連携、加工し、グラフィカルに表示させることで、社内に散在しているデータを簡単に一括管理することができます。これによりデータを探す時間や集計作業の大幅な削減を実現できます。
② 最新のMicrosoft AIを活用して、専門知識がなくてもデータの準備や機械学習モデルの構築可能
あらゆる形式のデータから迅速にインサイトを発見できる
最新の Microsoft AI を活用することで、専門知識がなくてもデータの準備や機械学習モデルの構築を行い、構造化データと非構造化データの両方 (テキストや画像など) からすばやくインサイトを発見できるようになります。また、Azure Data Lake を使用してインサイトの取得に要する時間も短縮できるのでビッグデータ活用も迅速化できます。
③ Windows、iOS、Androidをサポート
様々なデバイスを使ってどんな場所からでも情報共有ができる
Windows、iOS、Android のネイティブ モバイル BI アプリを使用すると、あらゆるデバイスでライブ Power BI ダッシュボードやレポートにセキュアにアクセスして表示できます。データの共有が簡単にできるので複数人で同じデータを取り扱うことはもちろんレポートの作成もできます。
④ Azure ADやMicrosoft Cloud App Securityポータルと連携
高度なセキュリティを実現、セキュリティリスクを未然に発見し、防ぐことも可能
二重暗号化によるエンドツーエンドのデータ保護状況を把握して、共有されます。Power BI にサインインするユーザーはAzure Active Directory (AAD) を使用して認証され、認証が必要なリソースにユーザーがアクセスしようとするたびに、Power BI ログイン資格情報が使用されます。また、Power BI と Microsoft Cloud App Security ポータルの監視機能でリスクが高い行動パターンを特定、分析することでセキュリティのリスクを未然に防ぐことが可能です。
●操作制限、閲覧権限など制御
● データ利用権限はAzureADと連動
●ログ情報を収集しモニタリング、セキュリティ分析
まさに、冒頭で述べた「社内外の様々なデータを統合でき、それらに簡単にしかもセキュアにアクセスできて、データの加工や集計を誰にでも行えるツール」なのです。
3.Power BIの活用例(サンプルレポート)
以下にPower BIの活用例をいくつか挙げます。
● 各店舗の売上/経営データをリアルタイムで把握
本社営業部門、各支店の業務システムからのデータをPower BIに取り込み、集計を自動化することで、リアルタイムに売上情報を見られるようになります。それもオフィスからだけでなく、出張中でもスマートフォンで閲覧できるようになるのでいつでもリアルタイムな経営データを確認することができます。
>>Power BI ダッシュボード サンプルレポートのダウンロード
● 工場(IoT)や社内システムの異常検知
工場に設置してあるデバイスや社内システムからのデータをPowerBIと接続することで、データのモニタリングが可能になります。異常があった際、俯瞰して状況を確認し問題を特定することで、早く対応に当たることができます。機械学習などを利用すれば、いつ問題が起きるか将来予測を可視化することも可能です。
また数値が閾値を超えた場合は、Microsoft Teamsにアラートを飛ばすなど他のMicrosoftサービスと組み合わせることで簡単にシステム異常の状況を他メンバーとも共有することができます。
>>Power BI ダッシュボード サンプルレポートのダウンロード
● マーケティング成果の可視化
プロモーションのデータ、自社サイトのアクセスのデータ、購買のデータ、会員データなど、複数あるソースのデータを組み合わせることで多面的にKPIに対する成果をモニタリングすることができます。Power BI上では各指標の絞り込み、ローデータまでドリルダウンして表示させられるため、施策の分析や次の打ち手の検討にも活かすことができます。
>>Power BIダッシュボード サンプルレポートのダウンロード
Power BIの管理者・推進者に向けて、Power BIの組織への浸透をテーマとしたセミナーを開催しました。講師はPower BIのMVP石川陽一様に務めていただいちています。セミナーのを動画で公開していますので、ご興味があれば是非ご覧ください。
Power BIの組織への浸透
~体験型セミナー~
4.Power BIの構成要素
Power BIは大きく3つに分けられます。1つはPower BI Desktop、2つめはPower BI サービス、もう1つはPower BI モバイルアプリです。
● Power BI Desktop
Power BI Desktopとは、各種データソースを収集、加工、分析するとともにレポートの設計・開発を行うためのWindowsデスクトップアプリケーションです。クライアントPCにインストールし、データソースと接続することができます。またデータモデルの定義やレポートの開発もできます。作成されたレポートは、Power BIサービスに発行することができます。
● Power BIサービス
SaaSとして提供されるデータ分析サービスです。Power BI Desktopで作成されたレポートを閲覧および分析することができます。
● Power BIモバイルアプリ
Windows、Android、iOS の3つのOSにそれぞれネイティブ対応しているモバイルアプリです。ノートPCやタブレット、スマートフォンなどを使って、いつでもどこでもPower BIサービスにアクセスして、レポートを閲覧・分析することができます。
5.Power BI利用に必要なライセンスと費用
Power BIには、Power BI ProとPower BI Premiumの2つのライセンスがあります。それぞれProはユーザー単位のみ、Premiumはユーザー単位と容量単位の2つの種類があります。なおPower BI ProはMicrosoft 365 E5に含まれています。
Power BIライセンス費用(※最新情報は、マイクロソフトのWebサイトをご確認ください)
Power BI Pro | Power BI Premium | |
ユーザー単位 | ユーザー単位 | 容量単位 |
1,090円/月 | 2,170円/月 | 543,030円/月 |
|
|
|
また、企業にある複数のデータ元(SaaSやオンプレミス)からデータをMicrosoft のクラウドAzureに統合し、それらのデータを加工、Power BIにて可視化するまでの仕組みを自動化することも可能です。
6.Power BI Pro試用版を自分のPCで試す方法(無償)
Power BIに興味を持ち、導入の検討を考えるのであれば、Power BI Pro試用版で試してみることもできます。上記でご紹介している構成はあらゆるデータをPower BIに連携する場合ですが、まずはPC上にあるデータを使って触ってみてはいかがでしょうか。
以下にPower BI Proの試用版を利用するための手順を説明します。
①メールアドレスの準備
会社で使用しているメールアドレスを用意します。”@”以降が”outlook.com”や”gmail.com”など、メールサービスや通信プロバイダが提供するメールアドレスを使用することはできません。
②セルフサービス サインアップにアクセスする
Power BIのセルフサービス サインアップ(https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/landing/signin/)にアクセスし、「無料で試す」をクリックします。
③情報入力
以下、画面の指示に従って、アカウント情報を入力し、詳細項目の確認をします。
入力を完了するとPower BIのセットアップが始まり、ブラウザ上でPower BIを利用開始できるようになります。
まとめ
多くの企業がデータ活用の重要性に気づいていますが、本格的なデータ活用を実現できていない企業が大半です。その理由として、データ活用人材の不足とデータ活用基盤の未整備を挙げる企業が多いのですが、Power BIはこの両方を解決できる可能性を持つツールです。データを収集・加工・分析するだけではなく、システム開発プラットフォームとして活用する事例やAIを組み合わせて業務の自動化を実現している事例もあります。無料試用も可能ですので、この機会にぜひ試してみてはいかがでしょうか?
\Power BIを活用したデータ分析を始めたい人向け/
この記事を書いた人
- Azure導入支援デスク 編集部
-
こんにちは!双日テックイノベーション(旧:日商エレクトロニクス)では、Microsoft Azure活用に関する有益な情報を皆様にお届けしていきます。Azure移行、データ活用、セキュリティなどに関するお困りごとや、Microsoft Azureに関する疑問点などお気軽にご相談ください。
ブログにしてほしいネタなどのリクエストもお待ちしております。
この投稿者の最新の記事
- 2024年9月12日ブログ2024年版 最新のデータ活用基盤とは?グローバル企業の事例も紹介!
- 2024年7月16日事例Azureデータ活用基盤導入事例:第一フロンティア生命保険株式会社
- 2024年3月27日ブログデータレイクとは? ~DWHとの違い、メリット、活用例などをわかりやすく解説~
- 2024年3月6日ブログデータカタログとは?~機能、導入のメリット、導入方法まで解説~