オンプレからクラウドへ!
データ分析基盤 “刷新” の進め方を解説
データ量の増加や市場の変化にいち早くついていくために、データ分析基盤の見直しをお考えではないでしょうか?
現在オンプレで運用中ですと、データ量の増減に柔軟に対応できる、AI活用ができる、という理由でクラウドでの見直しを検討している方も少なくないかと思います。
しかし、クラウドで検討する際の注意点がわからない、クラウドでのデータ分析基盤について知識が不足している…とお困りの声を多くお伺いします。
そこでそのような方のお悩みを解決できるよう、2章仕立てでクラウドにて検討を進める際のヒントとなる情報をまとめてみました。
今回はいよいよ、具体的な進め方についてです!
第1章:事前に知っておきたい検討ポイント
第2章:オンプレからクラウドへ!データ分析基盤刷新の進め方を解説←イマココ
ぜひご参考にしていただければ幸いです。
こんな方におススメ
- オンプレミスで運用しているデータ分析基盤に課題がある
- データ分析基盤をクラウドへ移行することを検討している
- データ分析基盤クラウド移行の進め方がわからない、イメージを付けたい
目次
1. オンプレのデータ分析基盤をクラウド移行する際の考え方
具体的なプロジェクトの進め方を解説する前に、クラウド移行する際の考え方をおさらいします。
データ分析基盤のクラウド移行を検討するきっかけとして、オンプレミスデータベースの容量ひっ迫やレスポンスの悪化等が挙げられることが多いですが、その最終ゴールは何でしょうか?
AI技術を用いた分析を行い、人間だけでは見つけられない法則を見つけることで業務を変革していくような「DX推進」であるという企業様も少なくないかと思います。
ですので、データ分析基盤のクラウド化は、単なるシステムの「クラウド移行」ではなくDX推進の1stステップ、つまり「データ分析基盤の刷新」と捉えることが重要です。
直近の課題やゴールを実現することはもちろんですが、将来的に実現したいDX推進を実現しやすい環境を作ることを意識しましょう。
具体的に言うと、単にクラウドのIaaSへリフトするのではなく必要に応じてPaaSへの刷新も検討した上で進めていただく事をおススメします。
このあたりは第1章で詳しく解説していますので、まだご覧になっていない方はぜひチェックしてみてください。
2. データ分析基盤の刷新の進め方
それでは、データ分析基盤の刷新を下記の6つのステップに基づいて解説していきます。
- Step1.データ基盤刷新の合意を得る
- Step2.クラウドで利用するアプリケーションの特定
- Step3.データ基盤の構築
- Step4.既存アプリケーションのクラウド移行
- Step5.既存データ基盤との並行稼働
- Step6.完全移行(オンプレ環境の廃止)
Step1.データ分析基盤刷新の合意を得る
まずは、データ分析基盤の刷新の社内合意をとりましょう。データ分析基盤を導入する際には、社内合意の獲得や自社で使えるものかを確認するために必ずPoCを行う必要があります。
PoCでは以下の項目のあたりを付けられるよう進めましょう。
- 最終的な基盤の構成、アーキテクチャのイメージ
- そのアーキテクチャによって刷新の目的を達成することができるか
- 刷新にあたって自社で実施可能な範囲はどこか
- スケジュールや、工数がどのようになるか
- プロジェクト費用及び維持費用がどの程度になるか
これらをPoCでハッキリさせることにより、「プロジェクトの採算性の評価、リスク抑制、無駄な工数の削減」の実現とともに社内の円滑な意思決定を促します。
Microsoft Azureで実現する際の基本設計については下記のブログでも解説しております。是非ご覧ください。
Step2.クラウドで利用するアプリケーションの特定
PoCを実施し、プロジェクトの方向性が決まったら、要件定義・設計フェーズに移ります。
通常のシステム導入と同じように、要件定義フェーズでは機能要件や非機能要件の洗い出し、設計フェーズではインターフェースや基盤の設計を行います。
そしてデータ分析基盤の刷新プロジェクトにおいて重要なのは「新規データ基盤で利用するアプリケーションの特定」を行うことです。
費用対効果が出るように刷新(≒PaaS化)するアプリケーションを選別しましょう。
今後新しく作るアプリケーションは、クラウドサービスのPaaSを利用する前提で作成します。よりDXを推進しやすいアーキテクチャを実現することができるためです。
現在利用中の既存アプリケーションについては、下記2点を考慮したうえで新規データ基盤に「移行(刷新)」するのか、オンプレミス環境でそのまま動かすのかを検討します。
- 実現性の観点
- PaaS化して移行が可能か
(PaaS化することによって機能が制限され、アプリケーションの要件をみたすことができるのか)
- PaaS化して移行が可能か
- 費用対効果の観点
- PaaS化して移行ができたとして、それは意味があるのか
(例えば、直近で廃止するアプリを無理にPaaS化する必要はありません)
- PaaS化して移行ができたとして、それは意味があるのか
Step3.データ基盤の構築
要件定義と設計が終わったら、次は実際の構築に入ります。
改めて、直近の課題(容量ひっ迫やパフォーマンス低下、保守切れ等)を解決するのと同時に将来のDX推進が行いやすい環境に設計されていることを確認の上、構築を行っていきます。
新規アプリ・既存アプリに加え、分析や可視化、マシンラーニングの利用などの活用シーンも想定しておくと将来的な活用がスムーズに進みます。
Step4.既存アプリケーションのクラウド移行
次は既存アプリケーションのクラウド移行に進みます。
Step2で刷新(移行)の費用対効果がでると判断したアプリケーションの刷新(移行)を行っていきます。
クラウド基盤上に対象のアプリケーションをPaaSにて構築し、クラウドのデータ基盤とつなぎこみを行う、という作業が必要です。
しかし、この時点ではまだオンプレ上の刷新対象のアプリケーションは消すことができないため、同じ機能のアプリケーションがクラウドとオンプレミスで並行稼働する形となります。
Step5.既存データ基盤との並行稼働
Step4でアプリケーションの刷新が完了したら、次は既存データ基盤との並行稼働フェーズに移ります。
ここで重要なのは「既存データ基盤とクラウドデータ基盤の整合性を確保する」ことです。
アプリケーションがどちらのデータを参照するかにかかわらず、クラウド上のデータとオンプレミス上のデータに齟齬が発生しないよう、オンプレミスとクラウド上のデータの整合性を担保する必要があります。
これを実現するためには、下記の手順が必要です。
- 既存のインターフェースを精査する
- オンプレミスと同じデータ処理のロジックを、クラウドに最適化した形でクラウド上に実装する
- オンプレミスとクラウドの整合性を確認するジョブを定期実行する
Step6.完全移行(オンプレ環境の廃止)
Step5まででは、まだ完全にクラウド化が完了しているわけではありません。
PaaS化により費用対効果が出ないアプリケーション、データ基盤、整合性確認ジョブがオンプレミスに残っている状態だからです。
オンプレミスとクラウド間でデータの整合性がとれていることが確認され、残りの既存アプリケーションのIaaS化と整合性ジョブの削除した後、ようやくオンプレミス上のアプリケーションを削除できます。
こちらを持って初めてデータ基盤の完全移行が完了となります。
3. まとめ
今回は、データ分析基盤クラウド移行の進め方がわからない、イメージを付けたいとお悩みの方へ向けて、その進め方を具体的なステップに沿って解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
データ分析基盤の問題解決は、単なる「クラウド移行」ではなくDX推進の1stステップ、つまり「データ分析基盤の刷新」と捉えることを前提に、6つのステップで進めることでスムーズに進めることができます。
- Step1.データ基盤刷新の合意を得る
- Step2.クラウドで利用するアプリケーションの特定
- Step3.データ基盤の構築
- Step4.既存アプリケーションのクラウド移行
- Step5.既存データ基盤との並行稼働
- Step6.完全移行(オンプレ環境の廃止)
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この記事を書いた人
- Azure導入支援デスク 編集部
-
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