データガバナンスとは?
概要からデータマネジメントとの違い、取り組み方までを解説

データを使って企業の競争力を高めるには、データガバナンスが必要不可欠です。
しかし「データガバナンスはどう進めればいいの?」「どこまでやる必要があるの?」など、お悩みの方もいらっしゃるかと思います。
今回は企業のなかでデータガバナンスをどう位置付ければいいのか、概要や取り組み方を解説します。

データガバナンスとは

データガバナンスは、組織内でのデータの管理方法を定め、利用可能性を保証し、活用するための枠組みです。
具体的にはデータの品質、整合性、セキュリティ、アクセス権限に関するポリシーを策定し、データの信頼性を高めデータ利用を促進するにより、データに基づく意思決定を支援します。
データの活用がますます重要になる現代において、データの価値を最大限に引き出し、データ関連のリスクを最小限に抑えるため、データガバナンスへの取り組みは益々重要になっています。

データガバナンスが重要となる背景

なぜデータガバナンスが重要なのか

1. 信頼できるデータに基づく意思決定

効果的な意思決定を行うためには、正確で信頼性の高いデータが不可欠です。
データガバナンスはデータの品質、整合性、正確性を向上させ、信頼できるデータに基づいた意思決定を可能にします。

2. データの安全性の確保

データ漏洩や不正アクセスは企業にとって大きなリスクです。万一顧客情報や機密情報が漏洩すれば、法的な責任や経済的な損失につながるく可能性があります。
データガバナンスはデータのアクセス権限を厳格に管理し、セキュリティ対策を強化することでデータを保護することが可能です。

3. データ活用を促進する

組織内でデータに対する共通の理解と責任感をつくることで、組織全体のデータ活用を促進につなげることが可能です。
適切な人・適切なタイミングでデータが利用できるようになることで、データ駆動型の効果的な意思決定につんがえることができます。

データマネジメントとデータガバナンスの違い

データマネジメントはデータの収集・保管・アクセス・使用・廃棄など、データのライフサイクル全体を管理する活動です。
データの信頼性やセキュリティ・透明性を確保するための枠組みであるデータガバナンスによって、データマネジメントの方向性やルールが定められます。
データマネジメントはデータガバナンスを遵守しながら実行されます。

データスチュワードとデータガバナンスの違い

データスチュワードは、特定のデータの管理と責任を担う人またはチームを指します。
多くの場合はデータガバナンスに基づいて、データの品質管理、セキュリティ対策、アクセス権限管理、データの利用促進、データに関する利害関係者の調整を行います。

データマネジメント、データガバナンス、データスチュワートは次のように比較することができます。

項目 定義 焦点 主な活動
データガバナンス データマネジメントを統制するための枠組み 組織のデータの信頼性、セキュリティ、透明性 ポリシー策定、体制構築、ツールの導入
データマネジメント データのライフサイクル全体を管理する活動 組織のデータの効率的な運用 データの品質管理、セキュリティ対策、分析、活用
データスチュワード データ資産またはデータ領域の管理、責任 特定のデータ データの品質管理、セキュリティ対策、アクセス権限管理

データガバナンスの特長

“データ”という共通言語の確立

データガバナンスは、組織全体で共有されるデータの定義、分類、命名規則などを定め、データに関する共通言語を定めますす。全員が同じ「言語」でデータについて話すことができるようになるため、異なる部門やチーム間のコミュニケーションが改善され、データに関する誤解が減少します。

データの所在を把握

データガバナンスにより、組織内のデータの所在・所有権・アクセス権限が明確になります。それによってデータの追跡と管理が容易になり、必要なデータを迅速に見つけ出し利用することが可能になります。

より効果的かつ効率的なデータ管理

データガバナンスによって、データの収集・保管・アクセス権限・使用・廃棄などに関するルールやポリシーを策定され、データ管理が効率化されます。またデータの重複や矛盾を減少し、データの品質向上につなげることができます。

セキュリティとコンプライアンスの維持

データガバナンスはデータのセキュリティ対策を強化し、プライバシーの規制やコンプライアンスを確保します。データアクセスの監視と制御を強化することで、データ漏洩のリスクを軽減し、活用可能な信頼性の高いデータ環境を維持します。

より良いデータの取得

データガバナンスによりデータの品質を高め、分析に使用するデータの信頼性向上につなげることができあmす。より正確で有益なビジネスインサイトを得ることができ、効果的な意思決定が可能になります。

データガバナンスの取り組み方

データガバナンス取り組みのステップ

1. 現状分析

組織内のデータの現状と課題を分析します。データの量、質、所在、アクセス権限、セキュリティレベルなどを調査し、データガバナンスが必要な理由を明確にします。

2. 目標設定

データガバナンスの目的と目標を明確に定義します。データの品質向上、コンプライアンスの確保、データセキュリティの強化など具体的な目標を設定します。

3.ステークホルダーの特定

データガバナンスに関わるステークホルダーを特定し、それぞれの役割と責任を定義します。よくあげられるステークホルダーとして、データオーナー、データスチュワード、IT部門、ビジネスユーザーなどが考えられます。

4. ポリシー策定

データの収集、保管、アクセス、使用、廃棄などに関するルールやポリシーを策定します。データの品質基準、アクセス権限、セキュリティ対策などを定めデータガバナンスの基盤を構築します。

5. 体制構築

データガバナンスを推進するための体制を構築します。データガバナンスの方針に基づいて手順・承認・監督できる体制が必要となります。

6. ツールの導入

データの管理、分析、セキュリティを支援するツールを導入します。多くの場合データカタログやデータ品質管理・データアクセス管理ツールなどを検討することになります。

7. 運用・改善

データガバナンスを継続的に運用し、改善していきます。定期的にデータの状況をレビューしガバナンス活動の有効性を評価し、必要に応じて改善策を講じます。

データガバナンスの注意事項

組織全体の協力

データガバナンスはIT部門だけの技術的な取り組みではなく、組織文化の変革を伴う企業全体の取り組みです。組織でデータの重要性を認識し、データ中心の意思決定を継続する必要があります。

ステークホルダーのコミットメント

データガバナンスの成功は、ステークホルダーのコミットメントに大きく依存します。経営層も含めたステークホルダーが、積極的にデータガバナンスを推進していくことが重要です。

継続的な改善

ビジネス環境・データ環境は常に変化し続けます。ポリシーと手順は定期的に見直し、必要に応じて更新することが重要です。

データガバナンスを支援するAzureサービス

Microsoft Purview

Microsoft Purviewは、組織全体のデータガバナンスを実現するためのサービスです。
オンプレミス・クラウドまで幅広くデータをカバーでき、データの発見・分類・保護・コンプライアンス管理を一元化することができ、Microsoft Azure 製品と密接に統合されており、Microsoft Power Platform や Azure Synapse Analytics などのツールと連携して使用できます。
利用にあたってはMicrosoft Purviewのライセンス費用が必要です。
Microsoft Purviewについて詳しくはこちら >

Azure Databricks Unity Catalog

Unity Catalogは、Azure Databricksプラットフォーム内でデータガバナンスを実現するサービスです。
特にデータ分析と機械学習プロジェクトに焦点があてられ、構造・非構造データ、マシンラーニングのモデル、分析用のノートブックなど、Azure Databricksから接続するあらゆるデータ資産のデータガバナンスを強化することができます。Azure Databricks ワークスペースのユーザーであれば無料で利用できます。
Azure Databricksについて詳しくはこちら >

まとめ

データを戦略的資産として活用するためには、効果的なデータガバナンスが不可欠です。
データの品質や整合性・セキュリティ・アクセス権限の管理を通じて、データ関連のリスクを押さえつつデータに基づく意思決定が促進することで、組織の効率性と競争力につながっていきます。
組織文化の変革を伴う取り組みとして推進をご検討ください。

データガバナンスやデータ活用に関してお悩み、ご相談などがあればお気軽にお問い合わせください。
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どうぞよろしくお願いいたします。

この記事を書いた人

Azure支援デスク 管理者
Azure支援デスク 管理者
双日テックイノベーション(旧:日商エレクトロニクス)特設サイト「Azure導入支援デスク」サイトマスターです。