ChatGPT?Copilot?
良く聞くAIサービスの違いを解説!
みなさんこんにちは、双日テックイノベーションの鈴木です。
近年、ChatGPTを始めとした様々な対話型の生成AIサービスが市場に登場しています。
学習・コミュニケーションの支援からコンテンツ生成に至るまで、幅広い用途で活用できるため、生産性向上を目的に多くの企業で活用され始めています。
しかし、AIサービスは多く、何を使えば良いのか整理しきれない方も多くいらっしゃることでしょう。
そこで本ブログでは、よくご質問いただく対話型 生成AIサービスの違いを整理していきたいと思います。
こんな方におススメ
- ChatGPTの基本を整理したい
- ChatGPTとMicrosoftのCopilotの違いを知りたい
目次
1. 用語の整理
ChatGPTやCopilotは、「LLM」「生成AI」「対話型AI」など様々な言い方がされるので、「一体なんなの?」と混乱されている方も多いと思います。
なので、違いを解説する前にまずは周辺用語を整理しましょう。
① LLMとは
LLMは「Large Language Model(大規模言語モデル)」の略で、膨大な量のテキストデータに基づいて訓練された、高度に発達した機械学習モデルです。
これらのモデルは自然言語の理解と生成において優れた能力を持ち、テキストベースのタスクを実行する際に人間のような文脈理解と応答を生成することができます。
LLMはモデルなので、AとBは裏で動いているLLMが一緒、なんてことはたくさんあるかと思います。
ご参考までに、下記に代表的なLLMの特徴を整理します。
LLM | 開発者 | 発表年 | 主な特徴 | 主な用途 |
---|---|---|---|---|
BERT | 2018 | テキストの双方向エンコーダ表現を活用し、文脈理解の精度を高める。 | 情報検索、テキスト分析 | |
LaMDA | 2021 | 会話型AIに特化して設計され、自然な会話フローを生成する能力がある。 | 会話型AI、情報提供 | |
Codex | OpenAI | 2021 | GPT-3をベースにしており、特にプログラミングコードの生成と理解に優れる。 | コーディング支援、教育 |
DALL·E | OpenAI | 2021 | テキストから高品質な画像を生成する能力を持ち、 クリエイティブなビジュアルコンテンツ作成に革命をもたらす。 |
画像生成、アート作成 |
LLaMA | Meta (Facebook) | 2022 | 高い効率性とスケーラビリティを持ち、 少ない計算リソースで優れたパフォーマンスを発揮する。 |
汎用AI研究、言語モデリング |
PaLM | 2022 | 540億のパラメータを持ち、 言語理解、翻訳、算数の問題解決能力において高いパフォーマンスを示す。 多様なタスクでの適応性と汎用性が特徴。 |
テキスト生成、多言語理解、問題解決 | |
GPT-4 | OpenAI | 2023 | GPT-3の後継モデルとして、 さらに大きなパラメータ数と改善された学習アルゴリズムを持ち、 テキスト生成の精度と文脈理解が大幅に向上 |
テキスト生成、会話、高度な分析 |
② 生成AI(Generative AI)とは
生成AIとは、新しいコンテンツやデータを生成することに特化したAIのことです。テキストだけでなく、画像や音楽、ビデオなど様々な種類のメディアを生成することができます。
<代表例>
Adobe社の「Adobe Firefly」
Google社の「Google Bard」
OpenAI社の「DALL・E」
③ 対話型AIとは
対話型AIとは、人間と自然言語で対話ができるよう設計されたAIシステムのことです。
ユーザーからの入力に応じて適切な応答を返す能力を持っています。カスタマーサポートのチャットボットや音声アシスタントなどが代表例です。
<代表例>
Google社の「Googleアシスタント」
Apple社の「Siri」
Amazon社の「Alexa」
…なので、ChatGPTをこの3つのワードを用いて説明すると…
” ChatGPTは、「GPT」という名称のLLMを用いた対話型の生成AIサービスです。”
となります。
なお、本ブログではこの後、ChatGPTを始めとする「LLMを用いた対話型の生成AI」のことを「AIサービス」と呼ぶことにします。
2. ChatGPTとCopilotの違い
企業で活用するAIサービスと言えば、「ChatGPT」と「Copilot」の2つが、まず思い浮かぶかと思います。
それぞれの違いを解説します。
ChatGPTとは
ChatGPTはOpenAI社が開発した人工知能のチャットボットです。
質問応答、文章作成、要約、翻訳、プログラミングの助けなど、幅広いテキストベースのタスクに対応しており、テキストの意図や文脈を理解し、それに応じた高品質な回答やコンテンツの生成が可能です。
ただ、ChatGPTは、なんでも答えてくれるチャットボットとしてあまりにも有名になりすぎたため、チャットボット製品全般のことを「ChatGPT」と呼んでいる場面も多々見ます。(食品用ラップのことをみんなサランラップと呼ぶ感じ)
本記事ではOpenAI社が提供するサービスのことを指して使用します。
前提条件:
特になし
費用:
ChatGPT(GPT-3)…無償
ChatGPT Plus(GPT-4)…$20ユーザ / 月
使い方:
https://chat.openai.com/auth/loginにアクセス
後述のCopilotと比較すると、高度な自然言語生成や深い文脈理解が得意と言われています。
また、ビジネス利用という観点ですと、過去にはChatGPT経由での情報漏洩が起きたこともありましたが、現在はそれを防ぐ機能が実装されています。
<設定方法>
アカウント名→「Settings&Bata」→「Data control」→「Chat History & Training」をオフにする
これを設定することで入力内容が再利用されることを防ぎ、情報漏洩のリスクが低下します。
Microsoft Copilotとは
Microsoft Copilotとは、Microsoft社が提供するAIサービス群の名称です。
マイクロソフトはAIサービスの名称変更を行っている、かつ、Copilotの中にもいくつか種類があるため、何ができるのか混乱されている方も少なくないでしょう。
以下に整理します。
※なお、今回は法人向けに提供されているものに限り解説します。
① Copilot (with Bing)
以前は、Bing ChatやBing AIと呼ばれていたものです。
ブラウザから利用でき、自然言語でAIとチャットができます。ChatGPTのマイクロソフト版、といったところです。
テキスト生成はもちろん、画像生成もできます。
マイクロソフトはOpenAI社に多額の出資をしており、Copilotの裏でもGPT-4が動いています。
無償で作成できるマイクロソフトアカウントがあれば使えるので、ChatGPT Plusを購入するよりもお得ですね。
Bingと連携しているため、インターネット上にある情報がリアルタイムに連携されること、回答にソースがリンクされること、が特徴的です。
さらに、所定のライセンスをお持ちの場合は「商用データ保護のCopilot」を利用できます。
この商用データ保護のCopilotは、入力した内容が機能改善のために再利用されない(≒AIに学習されない)仕様になっています。マイクロソフトですらその情報には触れることができないため、セキュリティを担保しながらAI活用を行えるのです。
<商用データ保護のCopilotを使えるライセンス>
- Microsoft 365 E3または E5
- Microsoft 365 F3
- Microsoft 365 Business Standard
- Microsoft 365 Business Premium
- Microsoft 365 A3または A5(教職員以上)(18歳以上)
- Office 365 A1、A3、A5(教職員以上)(18歳以上)
今後、Office 365 E3などのライセンスでも使えるようになるとか。利用層拡大に期待です。
前提条件:
マイクロソフトアカウントを所有していること
費用:
基本無償(商用データ保護のCopilotは有償ライセンスが必要)
使い方:
EdgeブラウザのCopilotボタンをクリックする
② Copilot in Windows
Windows 11 に組み込まれている人工知能アシスタントのことで、Windows 10時代のCortanaに相当します。
Copilot( with Bing )の機能に加え、PC上の操作を指示することができます。
以下、Microsoftの公式ページより抜粋
Copilot in Windows は質問に回答を提供し、設定の変更、質問の要約、関連するアプリの起動といった操作を Windows 11 で行えるよう支援します。Windows 11 のタスクバーで Copilot を探すか、Windows キー + C キーを選択して素速くアクセスできます。
引用元:https://www.microsoft.com/ja-jp/windows/copilot-ai-features
前提条件:
特になし
費用:
無償
使い方:
Windows 11 搭載PCのタスクバーで Copilotボタンをクリックする
もしくは、Windows キー + C キーで起動させる
③ Copilot for Microsoft 365
Copilot for Microsoft 365は、WordやExcel、Power Point、Outlookなどなど、Office製品の活用を支援するAIサービスです。
「Copilotといえばこれ」というイメージをお持ちの方が多いかなと思います。
プロンプト、応答、データは、基礎 LLM のトレーニングには使用されないそうなので、社外秘など気にせず作業の効率化を図れます。
前提条件:
- 下記ライセンスを持っていること
- Microsoft 365 Business Standard
- Microsoft 365 Business Premium
- Microsoft 365 E3 / E5
- Office 365 E3 / E5
- 管理者がCopilotライセンスをユーザーに割り当てていること
費用:
¥3,750ユーザー/月 (年間契約)
使い方:
各アプリケーションにてCopilotボタンをクリックする
それぞれの機能は下記のようになっています。
Microsoft 365 アプリ | 機能 | 説明 |
---|---|---|
Word | Copilot を使って下書き | 目的に沿ったプロンプトテキストを生成する。 |
チャット | コンテンツの作成、要約、ドキュメントに関する質問に答える。 また、チャットによる簡易コマンドの実行も可能。 |
|
PowerPoint | Copilot を使って下書き | プロンプトまたはWord ファイルから新しいプレゼンテーションを作成する。 |
チャット | 要約やQ&Aをする。 | |
簡易コマンド | スライド、画像の追加、デッキ全体の書式設定を変更する。 | |
Loop | コラボレーションを通じたコンテンツの作成 | Copilot による直接編集または洗練化を通じて共同で改善できるコンテンツを作成する。 |
Outlook | コーチングのヒント | 明確さ、感情、トーンに関するヒント、全体的なメッセージ評価と改善のための提供をする。 |
要約する | ユーザーがディスカッションをすばやく理解できるように、電子メール スレッドを要約する。 | |
Copilot を使って下書き | ユーザーが既にアクセスできる Microsoft 365 全体の他のメールまたはコンテンツから引っ張る。 | |
Teams | チャット | 指定したチャットの内容を要約する。最後のメッセージから最大 30 日間遡れる。 |
会議 | リアルタイムでトランスクリプトを使用し、質問に答える。 ユーザーは、任意の質問を入力したり、事前に決定されたプロンプトを使用したりできる。 |
|
コパイロット | Microsoft 365 Graph 全体のデータにアクセスし、LLM 機能を活用できるようになる。 | |
通話 | ディスカッションに集中できるよう、重要なポイント、タスク所有者、ネクストアクションをキャプチャする。 | |
Whiteboard | アイデアを生成し、アイデアをテーマ別に整理し、アイディアを実現させるデザインを作成し、ホワイトボードのコンテンツを要約する。 | |
OneNote | Copilot を使って下書き | プロンプトを使用して、計画の下書き、アイデアの生成、リストの作成、情報の整理を行い、必要なものを簡単に見つけられるようにする。 |
参考:https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365-copilot/microsoft-365-copilot-overview
利用イメージは下記の動画で確認できますのでご興味あればご覧ください。
④ GitHub Copilot
GitHub Copilotは、コーディングアシスタントです。プログラマーが、コードをより迅速かつ効率的に書くためのサポートを提供します。
例えば、コメントやコードの一部から意図を理解し、関数、テスト、アルゴリズムなどの完全なコードスニペットを提案する…などが可能です。
多種多様なプログラミング言語とフレームワークに対応しており、Python、JavaScript、TypeScript、Ruby、Javaなどの言語が利用可能です。
コーディングの内容はLLMのトレーニングに使用されないそうなので、安心して開発を進めることができます。
前提条件:
アクティブな GitHub Copilot サブスクリプションを持っていること
費用:
$ 19 ユーザー/月
使い方(VS Codeをお使いの場合):
GitHub Copilot 拡張機能ページからインストールし、GitHubアカウントで認証を行い、Copilotサービスを有効にする
その後はコーディング中に自動的にサジェストが出てくるようになります。
以上が現在一般提供されている主なCopilotです。
Copilot for Azureなどプレビュー状態のサービスもありますので、より作業の効率化が実現されることが予想されます。楽しみですね!
ここまでの内容をざっくり表にすると下記のようになります。
ChatGPT | Copilot サービス群 | ||||
---|---|---|---|---|---|
ChatGPT | Copilot | Copilot with Windows | Copilot for Microsoft 365 | GitHub Copilot | |
提供元 | OpenAI | Microsoft | |||
費用 | GPT-3.5は無償 GPT-4は$20ユーザ / 月 |
基本無償 | 無償(Windows 11に付属) | ¥3,750ユーザー/月 | $ 19 ユーザー/月 |
使用しているLLM | GPT-3.5 / GPT-4 | GPT-4 | |||
セキュリティ | 入力した内容を 再利用されない設定が可能 |
一定のマイクロソフトライセンスを持っていると 「商用データ保護のCopilot」が利用可能 |
プロンプト、応答、データは、 基礎 LLM のトレーニングには 使用されない |
コーディングの内容は LLMのトレーニングに 使用されない |
|
特徴 |
|
|
設定の変更、質問の要約、 関連するアプリの起動ができる |
WordやExcelといった Office製品の操作の補助を行う |
コーディングの補助を行う |
こう見るとChatGPTとCopilotでできることが異なりますね。実現したいこと、前提条件、コスト、のバランスで利用するAIを決めていただくのが良いかと思います。
3. ChatGPTでもCopilotでもできないこと
ChatGPTやCopilotもかなり対応の幅があり、活用すると資料作成などの効率が上がり、生産性向上につながります。
しかし、これらのサービスを利用するだけでは実現できないことがあります。
それは、「社内データの活用」です。
社内データとAIを組み合わせることで、効率的にデータを基にした意思決定をおこなえるようになり、ビジネスにインパクトのある成果をだすことができます。
例えば、下記の様なユースケースがあります。
① カスタマーサポートの業務改善
- 問い合わせ内容から顧客の感情分析を行い優先順位を付ける
- 現行の問い合わせ内容と過去の問い合わせ履歴を照らし合わせ、AIがベストな対応策をサポートメンバーへサジェスト
- 問い合わせ対応を自動化する
② 社内ChatGPT
- 就業規則や精算方法についての質問に自動回答する
- 社内文書の効率的な検索
- トラブル時の一時問い合わせを行う
③ 需要予測・在庫最適化
- 過去の購買履歴、顧客情報などから今後の需要の伸びを予測
- 自社製品と相性の良い顧客像の分析
これらは、「Azure OpenAI Service」などのLLMを利用できるサービスを活用し、社内データと連携し、意図した回答を生成するように計構築することで実現できます。
②の社内ChatGPTについては弊社でも実際に試しており、ブログで解説しています。気になる方はチェックしてみてください。
Azure Open AI Serviceで社内ChatGPTを構築してみたを読む
弊社では、情報を外に出さない安全なChatGPT環境の構築はもちろん、社内データをつなぎ合わせたChatGPT構築も、どちらもご支援しております。
AI活用をお考えの際はぜひご相談ください!
4. まとめ
いかがでしたでしょうか。まとめると下記のようになります。
- ChatGPTはOpenAI社が開発した対話型の生成AIで、より自然な言語生成ができる
- Copilotはマイクロソフト社が開発したAIサービス群の名称で、チャットボット、Office 365上でのの作業効率化、GitHub上のコーディング支援など様々な機能がある
- 裏で動いているのはどちらもGPTモデル
- 社内のチャットボットや過去データを用いた需要予測など社内データを活用したい場合は、Azure OpenAI Serviceなどのサービスを活用し、設計構築することで実現できる
以上、ご参考になれば幸いです!
気になることがある際にはお問い合わせフォームもございますので、ご活用いただければと思います。
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よろしくお願いいたします。
この記事を書いた人
- 鈴木梨玖
-
マーケティング担当の鈴木です。
VDIやDataAI製品を中心に、セミナー、ブログ、メルマガなどで情報を発信しています!
よろしくお願いいたします_(._.)_
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