事例でわかる!Azure VMware Solution(AVS)導入の落とし穴とは?
VMware vSphere環境をAzure上で構築できるAzure VMware Solution(略称:AVS)。既存vSphere環境の延命など、様々な場面で活用できるAVSですが、導入にあたっては様々な落とし穴に注意しなければなりません。
この記事では、物流系企業A社様の事例を紹介しながら、AVS導入におけるよくある落とし穴とそれらを解消する方法についてご紹介します。
目次
1.事例の概要
今回は、物流系企業であるA社様の事例に沿ってご紹介します。同社では、ハードウェアの保守切れを契機に、オンプレミスvSphere基盤をAVSに移行し本番運用を開始しました。
同社では、バージョン5.5のvSphereにて、約100のVMをオンプレミス環境で運用していました。ゲストOSはWindows Server 2000, 2003、 SQL Server 2000など、IaaSではサポートしてないレガシーOSも含めて様々でした。
また、ネットワークは国内大手キャリアの閉域網を利用しており、Azure ExpressRouteは未敷設でした。
2.AVS導入時によくある落とし穴とは?
以下では、AVS導入にあたってよくある落とし穴をご紹介します。
既存オンプレミス環境のvSphereバージョンが古かった!
A社ではバージョン5.5のvSphereを利用していましたが、これによりAVSへの移行に制約が発生しました。
AVSへの移行においては、システムのダウンタイムの許容度合いによって「コールド」「ウォーム」「ホット」の3つから選択することができます。コールドによる移行では数時間程度のシステム停止が必要となるため、長時間のダウンタイムが許容できない場合にはウォームやホットが有効な選択となります。
一方で、ウォームもしくはホットの利用には、現環境がバージョン6.0以上のvSphereである必要があります。A社ではバージョン5.5を利用していたため、このままではウォームやホットによる移行を利用することはできませんでした。
vSphereのバージョン差分を吸収するためには「既存環境のバージョンアップを行う」か「踏み台環境を導入する」という2つの選択肢があります。前者はコスト・期間面でメリットがありますが、既存環境のバージョンアップというリスクのある作業を実施しなければなりません。後者は比較的コストや期間がかかる手法ですが、既存環境への影響はなく、リスクが低いという特徴があります。
A社では既存環境へのリスクを避けるため、後者である踏み台環境の導入により移行を実施するという選択を行いました。
既存ネットワーク/キャリアの要件がAVSと合わない!
A社では国内大手キャリアの閉域網を利用しておりましたが、ここにも落とし穴がありました。
AVSへ移行を行うためには、A社が利用していた国内大手キャリアの閉域網からAzure ExpressRouteを経由して、AVSへ接続する必要があります。一方で、AVSが求める要件に「4バイトAS番号をサポートしていること」というものがあります。A社が利用していた閉域網では、4バイトAS番号をサポートしておらず、このままではAVSの利用が困難な状況でした。
このような状況の中、A社は「キャリアを変更してAVSを利用する」か「AVSの利用を諦める」という選択を迫られることに。A社では運用負荷の軽減やバックアップの強化などの観点からAVSにメリットがあること、また当社による月次の技術定例やカスタマーサクセスなどに価値を感じていただけたことから、キャリアを変更してAVSを導入するという決断をしました。
3.AVS導入の不安点を解消する方法
このように、AVSの移行には様々な落とし穴が存在します。このような話を聞くと、AVSの導入にあたって、不安を感じられる方も多いかもしれません。
以下では、そのような方に向けてAVS導入時の不安点を解消するために有効な方法をご紹介します。
本当に自社で運用できるのか?
AVSという未経験の仕組みを自社で運用できるのかという点は、お客さまからよく聞かれる不安点です。当社では、AVSの運用管理の具体的なイメージを掴んでもらうべく、AVSの実機を用いたハンズオン形式による無償のワークショップを定期的に開催しております。実機により操作方法をあらかじめ確認しておくことで、運用イメージを持ちやすくなります。
A社のシステム担当部署の方々もチームの皆様で本ワークショップにご参加され、事前にAVSの運用イメージの確認を行っていただきました。
本当にレガシーOSがAVS上で動くのか?アプリが動かなくなったら?
特にレガシーOSを運用している場合は、AVS上で既存アプリなどが正しく動作するか、不安を感じられる方も多いと思います。このような不安を解消すべく、当社では本番環境での動作を見据えた形でのPoCの実施をおすすめしています。
実際に、A社のケースでは当社の検証環境を利用して、AVS上での動作を確認しました。動作確認では、AVSのL2延伸によって既存環境のIPアドレスを維持した形でのAVS移行の確認や、HCS vMotionにてオンプレとAVSを双方向でライブマイグレーションすることで移行時・切り戻し時の対応イメージの確認などを実施。実際に目で見て確かめられることで、お客さまも安心してAVSの採用を決定することができました。
このように、当社ではAVSの最小構成を無償で構築する「Azure VMware Solution構築パック」というキャンペーンを実施しております。AVSの導入に不安を感じられている方は、ぜひこちらのキャンペーンをご利用ください。
4.AVSを無事に活用できるとこんな効果が!
ここまでAVSの導入における落とし穴や、不安点の解消方法などをご紹介しましたが、AVSは無事移行を実現できれば、大きなメリットを得ることができるサービスです。
実際に、A社では運用負荷30%削減という効果を得ることができました。これまで実施してきたHWのメンテナンスやvSphereへのパッチ適用などの日々の煩雑な運用業務から解放。また、AVSはマイクロソフトが運用する日本のデータセンターで稼働しているため、セキュリティ・監査対応の負荷も大幅に軽減できます。
AVS導入後における運用の不安も、日商エレクトロニクスのAzure Professionalサポートで解消することができます。vSphereのメジャー/マイナーバージョンアップの際には、日商エレクトロニクスが実施する月一の定例会にて、その影響度や対応策を提示します。これにより、運用面でも安心してAVSを利用することができます。
5.AVS導入・運用の不安も日商エレがいれば安心
この記事では、AVS導入の落とし穴というテーマで、A社の事例をご紹介しました。A社では様々な課題に直面しつつも、無事AVSへの移行を実現することができました。本事例のように、日商エレクトロニクスではAVS検討に向けた既存環境のアセスメントや、検証、運用支援など一気通貫で寄り添います。AVSの移行を検討されている方は、ぜひお声がけください。
本記事の詳細については、以下の動画にてご紹介しています。詳しい内容を知りたい方はこちらもご覧ください。
>>事例で解説!失敗しない Azure VMware Solution 導入のポイントとは?
この記事を書いた人
- Azure導入支援デスク 編集部
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