Citrix Cloud with Azure Virtual Desktop のメリットとは?ズバッと解説!
DaaSをご検討されている方々の中で、MicrosoftのAzureで提供されるAzure Virtual Desktop(AVD、旧 Windows Virtual Desktop, WVD)が注目を浴びていますが、VDIの老舗メーカーであるCitrix社と機能のコラボレーションができることはご存じでしょうか?
AVD単体で利用する際と、Citrix のクラウドVDI(Citri Cloud)と連携して利用する場合の違いについて、気になるかと思います。
そこで今回は、AVDのためのCitrix Cloud、通称 “Citrix Cloud for Azure Virtual Desktop”のポイントやメリットについてご紹介いたします!
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- マイクロソフトのDaaSを使ったリモートワークを検討してる
- AVDとCitrix Cloudの違いを知りたい
- Citrix Cloud with AVDを利用するメリットを明確にしたい
- オンプレCitrixと何か違うか、気になる
上記のような興味や疑問をお持ちの方、リモートワークの推進でVDI/DaaSを検討されている方はぜひご一読ください。
※なお、Citrix CloudについてMicrosoftとCitrixのスペシャリストに解説していただいたセミナーのオンデマンド動画がございますので、詳細について知りたい方は下記よりご確認ください。
Microsoft&Citrix登壇 Azure Virtual Desktop/ Citrix Cloudに関するオンデマンド動画はこちら >
目次
1.AVD(Azure Virtual Desktop)にも弱点はある!?
AVD(Azure Virtual Desktop)がリリースされた間もないころは管理用UIが標準装備されていなかったため、コマンドを打って管理する必要がありました。そのため、管理UIが整備されているCitrix Cloudとの組み合わせが推奨されておりました。しかし、最近のアップデートでは新たにAVD専用の管理UIがAzureのGUI(ARM)に統合されるようになり、環境のデプロイや運用管理を容易にできるようになっています。
Azureの中で仮想マシンを展開する、ネットワークを作る・・・など、Azureを操作するのと同等のイメージでAVDも管理できるようになりました!
AVDの管理UI「AVD ARM Integration」
※現在、パブリックプレビュー中です。本番環境でのご利用はお控えください。
しかし・・・・。
AVDの導入を検討しているお客様が感じている課題はまだあります。
▼ Microsoft Azure Virtual Desktopを実際に使ってみて、お客様が感じた課題
- 強固なセキュリティのためのネットワーク閉域ができない
- 電源管理の自動化やオートスケールが難しく、運用が大変そう
- 要件や構成などVDI/DaaSで求められる細やかな要件に対応できないケースがある
これらの課題を言い換えると、お客様は以下のニーズを持っていると考えられます。
- 強固なセキュリティを実現したい。
- VDI/DaaSを簡単に構築、運用したい。
- ユーザーに快適に使ってほしい。
これらに加えて当然ですが、自社に最適なオプションで、できるだけ低コストで利用したい。
というニーズも存在するかと思います。
AVDをご検討の際には、ライセンスなどのコストメリットだけでなく利用状況/要件を見極めて、最適な設計とソリューションの組み合わせを選択することをオススメいたします。それでは、Citrix Cloudと組み合わせて利用する場合、どのようなメリットを得られるのでしょうか。
1つずつ確認してみましょう!
2.Citrix Cloud with AVDのメリットとは?
AVDに対するCitrixの位置づけ
Azure Virtual Desktop(AVD)は大きく分けると、2つのコンポーネントに分けられます。仮想デスクトップへのセッションのコントロール担うコントロールプレーン部分と、実際の仮想デスクトップが稼働するAzureのワークロードの部分です。このうちコントロールプレーンの部分をCitrix Cloudに置き換えることにより、多様な要件にマッチする高度な管理環境でより安全で快適なVDI環境を利用できます。
Citrix CloudのAVDに対する付加価値はこれだ!
▼Citrix Cloud wtih AVDとAVDの比較表
Citrix Cloud with AVD | AVDのみ | |
ロケーションに応じた最適な接続 および閉域接続 |
Citrix Gateway Serviceにより最も近いGEOに接続 StorefrontをAzure内に構成することで閉域網接続が可能 |
アップデートによりそれぞれのリージョンへアクセス可能 一部の認証情報が外部ネットワークで流れる |
マスターイメージ一括管理 (一括展開と更新機能) |
MCSが使用可能 | テンプレートからの一括展開のみ |
認証の手間を省く シングルサインオン |
Active Directory Domain Service(ADDS) 認証は1回 |
Azure Active DirectoryとADDSの両方が必要 認証は2回 |
詳細な管理ポリシー | ADDSに加えてCitrixポリシーが使用可能 | ADDSのみ |
自社開発の 画面転送プロトコル |
HDX(ICA)の使用ポリシーによる制御 | RDP |
直感的な管理/運用が可能な GUIコンソールが充実 |
StudioおよびDirectorが使用可能 | 基本的にはPowershellベース 最新のアップデートでGUIが追加 |
ロケーションに応じた最適な接続および閉域接続
一般的にVDIで快適な操作感とは、クライアントネットワークの遅延が約150ms未満と言われています。この環境をCitrix Cloudでは、Citrix Gateway Serviceによってクラウドで、リモートアクセスに必要な機能を提供しています。従来のようにオンプレミス上にアプライアンスを用意する必要はないので、すぐに導入できます。さらに、Citrix Cloud with AVDは「StoreFront」というwebサーバをAzure内に構成することで、本社とAzure間にExpressRouteというMicrosoftの専用線を引いて閉域網接続が可能になります。下記の図のように認証の部分はStoreFront経由でユーザーが行い、実際の画面転送の部分もAzureと拠点間の閉域網でやりとりされるため、セキュリティを重視する方には最適な構成を実現できます。
ちなみにCitrix Gateway Serviceを利用する場合、エンドユーザーのトラフィックを自動的に近い場所にてルーティングします。VDI環境を利用すると動作が遅いなどのケースもありますが、少しでも改善できるような仕組みが導入されています。日本で利用する場合、Azureの東日本リージョンを経由するので安心です。
マスターイメージ一括管理(一括展開と更新機能)
多数のVDI(仮想デスクトップ)を展開する環境において、展開した後はOSやアプリケーションの更新が発生するため、ここの工数をいかに減らすかがVDI環境選定の重要ポイントになります。
Citrix Cloudにはマスターイメージの更新機能としてMCS (machine creation service)が装備されています。
一括展開だけではなく、展開済みのマシンの一括更新や何か問題が起きた際のロールバックも可能です。
特に更新時は、ユーザーのログオフ時に実行するなどユーザーの利便性を損なわずに実行することができます。
そのため、管理者、ユーザーともに負担をかけずにVDIを利用することができるのです。
認証の手間を省くシングルサインオン
AVDを単体で使った場合はAzure Active Directory(Azure AD)の認証と、Windowsデスクトップにつなぐ際のActive Directoryの認証で、二段階のログインが必要となってしまいます。
Citrix Cloud with AVDの場合、ユーザーがアクセスする時にActive Directoryのアカウントでログインし、ポータル画面からVDI(仮想デスクトップ)のアイコンをクリックするだけです。改めてID、パスワードを入力することなくシングルサインオンにてデスクトップを起動することができます。
自社開発の画面転送プロトコル
Citrixは、オンプレミスの時代から画面伝送のプロトコルの自社開発を続けています。ネットワークがそれほど潤沢でない昔から、使用帯域が少なく遅延に強い環境を実現できる強みを持っています。さらにポリシー制御によって、画面に対してデバイスの共有を停止したり、印刷を禁止したりする設定も可能です。用途ごとに、使用できる帯域を制御することができます。
直感的な管理/運用が可能なGUIコンソールが充実
Citrix Cloudを利用する場合、主に設定で利用するCitrix Studio、主に監視やトラブルシューティングで利用するCitrix Directorという2つの画面で操作できます。設定や利用状況の分析、詳細な電源管理、トラブル分析など全ての運用感管理を行うことができます。
また、VDI/DaaS運用においてはパフォーマンス管理が重要です。特定のプロセスがリソースを消費しすぎないように最適化しながら、同時に集約率を高めることでコストダウンを図らなければなりません。
これらに関しては、Citrix Workspace Environment Managementで簡単に実現できます。 Citrix Workspace Environment Managementは、パフォーマンス管理の他、アプリケーションショートカットやネットワークドライブなどのユーザリソースの一括設定、アクティブディレクトリのGPO(Group Policy Object)の簡易設定、ログオン処理の最適化などの機能も持っています。
Citrix Cloudでは、「集約率向上機能」、「VDIに特化した電源管理」「高度なセキュリティ」「コスト削減」などにも独自の技術を注いでいます。AVDが市場に新たな価値を提供するソリューションであるのに対して、Citrix Cloudはその価値を最大化する多様な機能を実装しています。
関連資料:メリットからライセンスの違いまで! Azureで動くDaaS製品を徹底比較 >
3.Citrix Cloud with AVDはお金がかかるのか?
Citrix Cloud with Azure Virtual Desktop(AVD)を利用する場合、AVD単体で利用するよりもCitrix社と契約するライセンス分のコストがかかるので懸念される方も多いかと思います。しかし、特に大規模ユーザーでのVDI導入をご検討されている企業様には、考慮していただきたいポイントもございます。
AVD単体で利用するより集約率向上でコスト削減
Citrix Cloudの各種オフロード機能などにより、1VM当たりに集約できるユーザー数はAVD単体より増やすことができます。
大規模ユーザーでVDIを展開する場合、AVDと比較して仮想マシンを1割~4割程度削減できるという参考値もでています。
ランニングコストは、稼働する仮想マシンの台数によっても左右されるのでチェックしておきたいポイントです。
少ない通信量で接続できてコスト削減
上記でもご紹介しているICAの技術で、より少ない通信量でVDIに接続することができます。よって、Azureからのアウトバウンドトラフィックを削減でき、Azure利用にかかるコスト削減にも貢献することができます。
4.オンプレCitrixと比べると何が違う?
ブログをお読みいただいている方の中には、Citrix社のオンプレミス型VDIのDaaSリプレイスをお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そのような方は、オンプレCitrixと何か違いはあるのか、今使っている機能はそのまま引き継げるのか、という点が気になるかと思います。
結論から申し上げますと、Citrix Cloudは、オンプレCitrixとほぼ同等のVDI環境を展開していただけます。
前述のMCSを利用したマスターイメージ一括展開やICAプロトコルの利用はもちろん、リモートPCアクセス / サーバーベースのVDI / 占有型 / プール型といった展開方式の選択、Citrixポリシーを使ったVDIの管理も行えます。
なので、「VDIのクラウド化を進めたいけれど、いままでのCitrix VDI運用ナレッジも活かしたい…」とお考えの方も安心してリプレイスに踏み出していただけるかと思います。
5.まとめ
コロナウイルスの影響でテレワークの活用が加速し、改めてVDIデスクトップの仮想化に注目が集まっています。そして、AVDを含めてDaaSの市場は多くのユーザーの検討課題として挙がっており、日本市場でも本番環境での導入にフェーズが移っています。 VDI導入の際には多くの場合、コストメリットの最大化が求められます。利用条件や用途をしっかり見極めた最適解を選択するために、トータルでの運用コストも考慮していきましょう。導入を検討されるお客様は、ぜひ弊社に個別にご相談ください。
なお、上記でご紹介した内容についてはMicrosoft社とCitrix社が登壇しているオンデマンド動画でより詳細のご確認が可能です。
お時間があるときに、こちらもご参考にしてみてくださいね!
\Microsoft&CitrixがAVDを解説/
この記事を書いた人
- Azure導入支援デスク 編集部
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