失敗事例で学ぶ VDI 導入前後のハマりどころと落とし穴 Part1
VDI 導入前の落とし穴について説明しております。きちんと分析した上でどの程度のサイジングが必要かを数値で証明することで「動かない」・「重い」と言った失敗を防ぐことができます。
セキュリティの強化やディザスタリカバリー対応、ワークライフバランスの改善などを目的に、仮想デスクトップインフラ(VDI)を導入する企業が増えています。しかし、「導入成功事例」を参考に相見積もりを取って慎重に検討したにもかかわらず、スムーズに動作せずイライラしたユーザーからのクレームが押し寄せた……という残念な話も耳にするようになりました。
「同じ要件のVDI の見積もりで金額に数倍の開きが出る?」「ストレージのIOPS にこだわるシステムインテグレーター(SIer)に注意した方がいい理由」「間違ったサイジングが横行する理由」などの落とし穴を公開します。
安いからといって飛び付くと危ない!“激安見積もり” が生まれる理由
VDI 導入に際して企業がまず抱くのが「ユーザー数などの要件・条件が同じなのに、なぜ、SIer 各社の見積もりに数倍もの差が生じるか」という疑問だと思います。
大きな理由の1つには「SIer 側の思惑の違い」があると分析しています。この手の見積もりには2 タイプあり、1 つは導入後のトラブルを避ける目的でスペックにかなりのマージンを取った高めの提案。もう1 つは『とにかく受注する』ために、導入後の実用的な稼働などを考慮せずに切り詰めた激安の提案です。これが、金額差が発生する大きな要因の1 つです。
加えて、導入企業側にも課題があります。それは、VDI 導入に際して自社なりの基準がなければ、提案内容を判断しようがないということです。VDI 導入の前提として『普段、社員がどんなアプリケーションをどんな風に使っているか』『どのくらいデータをため込み、どのくらいディスクを利用しているか』を把握していないケースがほとんどです。
「一般的な構成で」「同業他社と同じくらいで」という曖昧な要件が多く、このように基準が曖昧な状態で安価な提案を採用しても失敗に終わる確率は高くなります。『快適に使えればいい』といった場合は、そもそも『快適』がどういう状態なのかを具体化することが重要です。VDI 導入前に、OS やアプリケーションの動作にどのくらい時間がかかるかを計測しておき、それを基準として参照することで、VDI 導入に効果があるのかないのか、副作用があるのかどうかが分かります。
また、VDI ならではの感覚値も考慮すべきです。例えばログインの場合、進行状況の見える物理PCとは異なり、VDIでは準備が完了するまで何も状況が分からない状態で待たされるため、ユーザーからログインが遅いというクレームにつながりやすいのです。
SIer が現状分析を避けるのにはワケがある
VDI 導入に際しては、仮想マシン(VM)の状況だけなく、その中のアプリケーションの使用状況も把握して設計する必要があります。しかし、多くのSIer は事前のアセスメントに積極的とはいえない状況です。これにはVDI 市場の価格競争の激化もありますが、そもそも日本ではアセスメントの認知が高くありません。費用が掛かる上に“VDI に適合しない“ という結果になることもあり得ますので、SIer としてはVDI の提案が非常に難しくなり、アセスメントをせずに提案を進めがちです。
また、工数を掛けずに深い分析が行えるツールが存在しないことも大きな理由です。企業規模が大きくなればなるほど、誰がどんなアプリケーションをどんなパターンで利用しているか、同時にどれだけのユーザーが利用しているかを把握するのは難しく、時間がかかります。手作業で労力をかけて分析するとなれば、それだけ見積もり額も高くなってしまいます。失注を恐れるあまり、現状分析に目をつむるケースまであります。
今回はPart1として、VDI 導入前の落とし穴について公開いたしました。きちんと指標を取った上でどの程度のサイジングが必要かを証明できれば、提案に対する納得感が得られます。SIerとエンドユーザーの両社が同じ認識を持つことで、失敗しないVDIの導入へ進むことができるのです。
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