Azureデータ活用基盤によって100時間の作業を30分に短縮業務部門の負担を軽減し、データドリブン経営にも貢献~ データ基盤の整備によって全社DXを推進 ~

第一フロンティア生命保険株式会社

(左より)
第一フロンティア生命保険株式会社
ITデジタル推進部長
中西 哲也 氏

ITデジタル推進部 デジタル推進グループ(現:IT統括部 DX推進グループ)
アシスタントマネジャー
島田 晃平 氏

第一生命情報システム株式会社(現:第一生命テクノクロス株式会社)
保険システムソリューション部 グループ保険第一グループ
リーダー
藤岡 将 氏

第一フロンティア生命保険株式会社
ITデジタル推進部 デジタル推進グループ長(現:IT統括部 DX推進グループ長)
桂田 聖吾 氏

企業名:第一フロンティア生命保険株式会社
2007年に開業された生命保険会社。第一生命グループの一員として、
ブランドメッセージ「一生涯のパートナー“いつでもあなたに、とっておきを。”」を掲げ、「人生100年時代」を生きる顧客に寄り添った商品・サービスを提供している。主な商品に、定額終身保険、定額年金保険・養老保険、変額終身保険、変額年金保険などがある。

コメント:
ご契約者さま向けの第一フロンティア生命マイページ(以下、マイページ)やLINEのお友だち数登録状況のダッシュボードを見た経営層等から『素晴らしい』との評価があり、データドリブン経営にも繋がる活動だということを実感しました。

Azure 環境によるDX推進のためデータ基盤整備に着手

第一フロンティア生命保険株式会社は、2007年に開業された第一生命グループの保険会社。主な顧客層は定年退職者などのシニア層であり、主力商品・サービスには年金保険、終身保険など。顧客の資産を形成し、ご家族へ資産を繋げる戦略がビジネスの中核をなしている。開業以来、同社は販売チャネルを拡大し、またITを活用して迅速かつ適正なコストでの商品開発・販売を実現するなど、着実に成長してきた。契約者数は約150万人に達し、第一生命グループを牽引する収入保険料を上げながら、顧客の資産形成と社会貢献に寄与している。
この成長のなか、当初は100名に満たなかった組織も500名を超え、顧客の契約を管理するシステムを中心とする基幹システムも組織の成長と共に拡大していった。そこで、同社のITデジタル推進部ではここ数年、基幹システムの更改プロジェクトを展開し、2023年1月にAzure環境での稼働を開始。保険会社としては珍しく、基幹システムの大部分をクラウドに移行したことから、大きな話題となった。
基盤を整備したITデジタル推進部の次の一手が、デジタル推進グループによる全社のDX推進だ。「全社の様々なビジネス部門から参加したメンバーとともに、DX推進PT(プロジェクトチーム)として、デジタル技術を駆使して、業務改革を含む新たな取り組みを始めました」と語るのは、ITデジタル推進部長の中西 哲也氏。
DX推進PTの活動内容は、全社を対象とした業務の生産性向上やデータドリブン経営に貢献する方法の探求だ。その第一歩として、2023年4月からデータ活用基盤の整備を検討し始めた。当初の目標は、既存の事務作業で使用しているMicrosoft AccessやExcelなどによる処理時間の膨大な長さと、それに伴う人的作業の大きな負担を解消することだった。デジタル推進グループ長の桂田聖吾氏は「営業部門を統括しているマーケット戦略部は、当社の営業部門の状況や、代理店の販売状況等のデータを集計するのに多くの時間を要していました。また、リスク管理部門でも膨大なデータ処理をするために高性能PCを使用していましたが、これらの作業をクラウド上で行うことで効率化できるのではと考えました」と語った。
データ活用基盤に関して、複数社からの提案を受けた第一フロンティア生命保険では、日商エレクトロニクス(現:双日テックイノベーション)による、データ統合サービス「Azure Data Factory」を使った基盤構築の提案を受け入れる。桂田氏は「データ基盤の整備は、通常は大規模な投資と長い開発期間を要するイメージがありました。私たちはアジャイルに進めたいという考えがあり、小規模から始めて徐々に拡大していく方針でした。日商エレクトロニクスは私たちの考えを理解した上で、ビジネスのニーズを汲み取る力が高いと感じました。また、我々の想像を超える知識量と推進力も評価しました」と語った。
データエンジニアとして本件に参画し、基盤の実装に関わっている、第一生命情報システム株式会社の藤岡 将氏は「データ活用を内製化していきたいという私たちのゴールに向かい、日商エレクトロニクスがデータ活用の専門家として伴走いただけることが、具体的にイメージできました」と振り返った。

コメント:
当社はもともと組織の壁がない会社ですが、データ活用によってさらに横のつながりが強くなり、お互いを助け合う活動が広がっていると感じています。

スモールスタートながらデータ活用の効果を実感

Azureデータ活用基盤の構築は、2023年6月ごろから始まり、8月には本番利用が始まる。構築に関わった藤岡氏は「私自身はAzureに精通していませんでしたが、日商エレクトロニクスの担当者は業務部門が求める処理を理解しながらも、従来システムのロジックの不要な部分を整理してくださいました。まさに二人三脚で連携しながら実装を進めることができました」と説明した。
データ活用基盤によって、課題となっていた営業部門の負担は大きく軽減された。従来は100時間以上かけていた処理が30分ほどで完了するようになった。前月のレポートをすぐに共有できるようになったのだ。営業部門はレポート作成の時間がなくなり、本来打ち込むべき業務に時間を割けるようになった。中西氏は「あまり欲張らずに、必要なデータのみに焦点をあて、スモールにスタートする戦略がうまくいきました」と話した。
データ活用基盤の構築中、デジタル推進グループには、データサイエンティストの役割を担う島田 晃平氏が参画した。業務効率化だけでなく、データ分析にも積極的に取り組みたいと考えていたからだ。島田氏は「DX推進PTに参加している業務部門のメンバーたちの課題を把握し、集めたデータをもとにコンサルティングの形でデータ活用の支援を行っています。BIツールによるダッシュボード構築や営業現場で活用できる機械学習モデルの構築支援をしていきました」と述べた。
島田氏が作ったダッシュボードには、顧客体験向上につながるものもある。マイページの利用者数やログイン状況を可視化するものだ。従来はExcelを用いて月に1回程度共有していたものが、日々確認できるようになった。桂田氏は「経営層にこのダッシュボードを見せたら『素晴らしい』と評価をいただきました。データドリブン経営にも繋がる活動だということを実感しました」と語った。
データの集約と可視化・共有の効果は、経営層だけでなく、社内にも伝搬している。部門を超えたデータの連携が進んでいるのだ。島田氏は「たとえば、コールセンターのメンバーが前日の新契約データを参照することで、問い合わせの量や内容を予測できるようになっています」と、部門を超えたデータ活用の例を語った。データ活用文化の醸成について中西氏も「当社はもともと組織の壁がない会社です。データによってさらに横のつながりが強くなり、お互いを助け合う活動が広がったと思います」と話した。

コメント:
コールセンターのメンバーが前日の新契約データを参照することで、問い合わせの量や内容を予測できるようになるなど、部門を超えたデータ活用が進んでいます。

コメント:
私はAzureに精通していませんでしたが、日商エレクトロニクスの担当者は事前に処理の精査を行い、まさに二人三脚で連携しながら実装を進めることができました。

データ基盤の拡大と人材育成でさらなるビジネス貢献を目指す

Azureデータ活用基盤によって様々な効果を得られている第一フロンティア生命保険では、今後もデータ活用を推進していく方針だ。現在の課題は、活用できるデータが限られていること。特定の業務要件に基づいて必要なデータだけを先に集めてスモールスタートできたのは良かったが、整備されていないデータを使用したいというニーズも増えている。また、データの分類や処理の方法についてもさまざまな要望があるため、データの拡充や高度化を進めていく。短期間で作った基盤のため、中長期的な視点でのメンテナンスについても課題がある。
技術面の課題について島田氏は「Azure Data Factoryだけでは実装できない領域のデータ活用もあります。Azureにはほかにもツールがあるので最適なものを活用整理していきたいので、日商エレクトロニクスの支援に期待しています」と話した。
データ活用基盤やその技術面以外に、人材の育成も課題だと考えている。桂田氏は「島田や藤岡のようなメンバーを増やしたいと思っています。それだけでなく、IT部門以外の人々がデータ分析をしたいと思えるような文化の醸成とデータ分析環境の提供、すなわち「データの民主化」を進めることが非常に重要だと考えています。文化醸成は難しいことですが企業DXの源泉であると考えています。その点においても日商エレクトロニクスに支援いただきたいです」話した。
藤岡氏も「日商エレクトロニクスはデータ活用に関する知見の深さと技術力は飛び抜けてすごいという印象があります。私一人だけでなく、人材育成についてもお力添えいただきたいです」と語った。
DX推進のためにデータ基盤の整理をすすめる企業も多いが、「とりあえずできればいい」という姿勢や、せっかく作成したダッシュボードが誰にも見られていない、内製化も進んでいないといった状況に悩むケースも少なくない。第一フロンティア生命保険では、業務部門とIT部門が密接に関わることで、全社にデータ活用文化が醸成されつつある。その秘訣と今後の展望について中西氏は次のようにコメントした。
「私たちは2023年度のスローガンとして『選ばれ、頼られ続けるITデジタル推進部』を掲げました。DX推進PTでは、全部門の中核メンバーと対話をし、データ活用などのソリューションを模索しました。このPT活動を通じて、各部門との信頼関係を深めることができましたし、私が目指していた成果が出始めたと感じています。これからもビジネスに貢献できる基盤やソリューションを着実に提供していきたいです」。

※記載内容は2024年3月 現在のものです

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