Microsoft Build 2024 Day2

キーノートまとめ(日本語)後編
Microsoft Build 2024

 

こんにちは、日商エレクトロニクスの小杉です。5月21日から開催されているBuildのキーノートを日本語でまとめております。本日は、Day2のキーノート後編です。Day1とDay2前編キーノートまとめは、以下をご覧ください。

Day1    :https://cloud.sojitz-ti.com/blog/microsoft-build-2024-keynote-day1/

Day2 前編:https://cloud.sojitz-ti.com/blog/microsoft-build-2024-keynote-day2-v1/

 

Day2では、Copilot Stackについて、「アプリケーションサービスと開発者ツール」「AIプラットフォーム」「データプラットフォーム」「インフラストラクチャー」の4つの柱に沿って新機能などの発表がされておりました。後編では、「データプラットフォーム」「インフラストラクチャー」についてご紹介します。

 

 

1.データプラットフォーム

Microsoft Intelligent Data Platform

これまでみてきたAIイノベーションは、データ基盤の上に成り立っています。データはAIを動かす燃料であり、Microsoft Intelligent Data Platformは、データベース・分析・ビジネスインテリジェンス・ガバナンス・AIにおける最も幅広い機能をお客様に提供します。Snowflake、MongoDB、ORACLE、Radisなどのパートナーと連携して、業界をリードする製品をAzureにマネージドして利用できるようにしていきます。

Copilot capabilities in Azure Database

Copilotの機能で強化された3つのエクスペリエンスをご紹介します。

1)Azure SQLのCopilotはデータベースを効率的に管理および運用するためのセルフヘルプを提供します。

2)Copilotは開発者が自然言語を使用するだけでAzure SQLのクエリを記述するのに役立ちます。

3)技術ドキュメントを要約してAzure Database for MySQLに関する開発者の質問に回答するためのチャットを追加しました。

 

パブリックプレビュー:Azure Cosmos DB

Cosmos DBは急速に世界のAIワークロードに選ばれるデータベースになりつつあります。

パブリックプレビューされているベクトル検索では、セマンティックな意味と正確な述語を使用して情報を簡単に検索できます。例えば、「私が興味を持っている〇〇〇のような本をください」と質問をすれば、あとはCosmos DBが処理をします。これはRAGモデルを効率的に構築するための重要な要件であり、ベクトル検索はCosmos DBに組み込まれているため、待機時間が非常に短く追加コストもかかりません。

 

Azure Database for PostgreSQL

開発者がPostgreSQLデータをAzure AIにプラグインできるようにするためにPostgreSQL用のAzure AI拡張機能の一般提供が開始されました。これにより、Azure AIサービスを呼び出し、各種モデルにデータをシームレスに渡すことができます。

そして、Azure Database for PostgreSQLのデータベース埋め込みのパブリックプレビューが開始されました。この機能で、Microsoftオープンソースのテキスト埋め込みモデルが PostgreSQLに直接取り込まれるので、待機時間が短縮されるだけでなく、非常に高いスループットが得られます。

 

Microsoft Fabric

昨年のBuildでFabricのパブリックプレビューを発表し、昨年11月に一般提供を開始しました。Fabricは生データからAIやBIの価値をビジネスユーザーに提供するために必要なすべてのものを単一の統合SaaSプラットフォームで提供します。現在、Fabricは11,000人以上の有料顧客がいます。

Unified storage and compute、Unified experience、Unified governance、Unified business modelのこれらの統合により、価値実現までの時間が劇的に短縮されます。

重要なのは、Fabricはすべての分析ワークロードでビジネスモデルを統一することです。これにより、コストの大幅削減に役立ちます。

 

アナウンス:Real-Time Intelligence

リアルタイムデータの操作は難しいことで有名ですが、Fabricを使用するとリアルタイムデータの操作が非常に簡単になります。リアルタイムデータの収集、ロック解除などの操作をシンプルにするエンドツーエンドのエクスペリエンスです。また、Azureのさまざまリソースだけでなく、Amazon・Googleなどのクロスクラウドからのデータストリームを簡単に取り込むことができます。

 

パブリックプレビュー:Microsoft Fabric Workload Development Kit

カスタム機能を Fabric に統合することで、既存の Fabric 体験を強化するように設計されており、Fabricの拡張がしやすいです。

 

Open Data Lake foundation for Microsoft Fabric

Fabricのリリースに伴い、組織全体の統合データレイクとしてOneLakeを導入しました。ご存知のとおり、データレイクは厄介で複雑になることがありますが、OneLakeは開発者だけでなくビジネスユーザーにとっても非常に使いやすくします。すべての分析エンジンが1つのデータコピーでシームレスに動作できます。

AWS・GCP・オンプレミスなどあらゆる場所に存在するデータを、OneLakeはAzureにすべて移行することなくデータを操作できます。

 

Azure Databricks

OneLakeの強みを活用した最も戦略的なパートナーシップの1つがDatabricksです。DatabricksとFabricは、どちらもオープンレイクハウスアーキテクチャに基づいているため、相互運用性に優れています。

 

Mosaic AI Vector Search in Azure Databricks

Databricksでベクター検索の一般提供が開始され、差分テーブルから直接ベクター検索インデックスを作成し、DatabricksでネイティブにGenerative AIモデルを簡単に構築できるようになりました。

 

アナウンス:Unity catalog integration with Microsoft Fabric

まもなく、Databricks Unity catalogテーブルに直接アクセスできるようになり、Azureデータ統合がさらに簡単になります。SQLクエリを記述したり、Power BIを含む任意のワークロードなどでも使用できます。

 

Snowflakeとのパートナーシップ

Snowflakeとのパートナーシップの拡大をします。Snowflakeはデータを1つのレイクにネイティブに保存することもできるようになります。

OneLakeはAzure AI Studio、Microsoft 365にも統合されているため、SnowflakeからのデータはMicrosoftエコシステム全体をシームレスに流れます。FabricとSnowflakeのより深い統合というビジョンは、2024年後半にロールアウトを開始する予定です。

SnowflakeとFabricの間で完全に双方向に作業することができます。

 

アナウンス:Apache Iceberg support in OneLake

SnowflakeがDeltaLakeの代替となるオープンソースデータフォーマであるApache Icebergを採用したことをご存知かと思いますが、DeltaLakeとFabricに加えてApache Icebergのサポートを含めることでオープンスタンダードへの取り組みをさらに深めます。

近日中に1つのレイクに格納されているすべてのテーブルが、IcebergとDeltaLakeの両方の形式で自動的に利用できるようになります。

 

2.インフラストラクチャー

Azureは世界のAIスーパーコンピューターです。信頼性とパフォーマンスを大規模に提供するために、専用のAIインフラストラクチャーを構築しました。

現在、世界中に60を超えるAzureリージョンを稼働しています。そして、再生可能エネルギーの世界最大の購入者の1つであり、来年2025年までにすべてのデータセンターを100%再生可能エネルギーで賄うという目標達成にむけて順調に進んでいます。

提供するすべてのCopilotとCopilot appsに使用するAIアクセラレーターを動的に選択できるようになりました。最も強力な基盤モデルを実行することができ、最高のAIパフォーマンスと最小のコストを実現します。

 

Secure Future Initiative

2023年11月に開始し、さらに拡大したMicrosoftのSecure Future Initiativeについてご紹介します。

進化する脅威の状況に対応して、セキュリティを絶対的な最優先事項としました。セキュリティファーストな文化を浸透させることは必要不可欠です。

組織は脅威に直面するのではなく、脅威アクターと対峙するのです。Microsoftは300を超える様々な脅威アクターを追跡しています。その中でも、パスワードベースの攻撃に重点が置かれており、昨年だけでもパスワードベースの攻撃が10倍以上増加しています。

 

Midnight Blizzard

脅威アクターのターゲットは主に政府機関や防衛請負業者ですが、2番目に多いのは情報技術業界です。Midnight Blizzardは、システムがどのように接続され、どのように移動するかをグラフ化して、協力なコマンドを示します。

重要なアクションの1つはアプリケーションの100%がシステムマネージドIDで保護されるようにすることです。長い目でみて目指すのは、開発者が誤ってソースコードにパスワードを残したり、友人に電子メールで送ったりしないように、パスワードをまったく使用しないことです。

つまり、開発者がツールによって設定されたガイダンスに従うだけで、ツール内の舗装されたパスでシステムマネージドIDが自動的に使用されるようにする必要があります。

現在、システムマネージドIDを使用すると、単純なテキストベースのパスワードを使用するだけでなく、コードと概念が少し多くなるため、少し複雑に感じることが予想されます。

セキュリティ第一の考え方で生産性とシンプルさを受け入れる必要があります。

 

Protect engineering systems

リスクを軽減する最善の方法は、古いシステムやアプリケーションを取り除くことです。全体的な運用環境を改善するための2つの重要な教訓があります。

1)エンジニアリングシステム全体から不要なものをすべて取り除くこと

2)非運用サンプルとテストアプリを、同じ厳密さで運用アプリと同じように扱う必要があるということ

明確なライフサイクル管理とポリシーガバナンスがあることが大事です。

Microsoftでは、セキュリティを第一に考えています。

セキュリティファーストの文化であり、全員でセキュリティ対策に取り組み、より安全なクラウドサービスを提供していきます。

 

Day2キーノートまとめは、以上となります。

AIをテーマにした、開発者向けの製品アップデート情報などがたくさんありましたね!これからのさらなる進化に期待がもてる素晴らしい内容でした!

 

 

この記事を書いた人

小杉 明恵
小杉 明恵
マーケティング担当として、Azureを中心に情報を発信しています。