2018年3月6日(火)、新宿ミライナタワーにて株式会社マイナビ主催による『Azureとハイパーコンバージドがもたらす「ハイブリッドクラウド」導入の現実解』が開催されました。日本Microsoft株式会社、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ株式会社、そして最後のセッションで日商エレからお話しさせていただきました。
近年、多くの企業がクラウドを活用していますが、個人情報や基幹系の複雑なシステムなど、すべてをクラウドへ移行することは難しいとも言われています。そこで、今最も注目されているハイブリッドクラウドの先進的な事例や、課題とその解決策について、各社の講演内容をレポートします。
目次
今すぐ検討すべき 自社ハイブリッドクラウドの再定義
「今すぐ検討すべき自社ハイブリッドクラウドの再定義」と題して登壇したのは、日本Microsoft株式会社のパートナーテクノロジーストラテジストである高添 修(たかぞえ おさむ)氏。Microsoftのエバンジェリストとして12年の経験がある高添氏から、AzureやAzure Stackを活用した「連続性・一貫性のあるハイブリッドクラウド」のモデルをご紹介いただきました。
登壇者: 日本Microsoft株式会社 高添 修(たかぞえ おさむ)氏 |
すべてクラウドに持っていけばよい?
これまでクラウドはビジネスを加速させてきましたが、だからといってすべてのシステムをパブリッククラウドへ移行することが正しいのでしょうか?お客さまのゴールはあくまでビジネスの成功であり、無理にパブリッククラウドへ移行する必要はないのではないでしょうか?と、高添氏は語ります。そこで、シームレスなハイブリッドクラウドを実現するためにAzureとAzure Stackをご紹介いただきました。
一番やりたいことを、一番良い場所で
AzureとAzure Stackが選ばれる理由の一つに、スピード感が挙げられます。講演の中では、Azure Stackのデモを披露いただきました。下図のように、Azure Stackの操作画面はAzureの画面と同一といっても過言ではありません。Azureと同様、わずか数クリックでAzure Stack上に仮想マシンを立てることができました。その操作性とスピード感に、会場の皆さまも前のめりになっていました。デモを通じて高添氏が強調したのは「一番やりたいことを、一番良い場所で」というメッセージでした。Azure Stackを活用することで、インフラを意識する必要がなくなり、本来のビジネスに集中できると言います。
最後に高添氏は「ハイブリッドクラウドは単なる置き場所ではなく、新しい使い方のモデルであり、それを可能にするものがAzureやAzure Stackである」と述べ、講演を終えました。
ぜひ皆さまもAzureのスピード感を体感していただければと思います。
ハイブリッドクラウドのためのオンプレミス基盤の選択肢~進化するハイパーコンバージド ソリューションのご紹介~
続いて講演いただいたのは、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ株式会社でパートナー担当プリセールスSEとして活躍する坂巻 宏亮(さかまき こうすけ)氏です。坂巻氏には「ハイブリッドクラウドのためのオンプレミス基盤の選択肢」というテーマで、特にハイパーコンバージドインフラについてお話いただきました。本セッションでは技術的な話題や製品の紹介を豊富にお話しいただきました。
登壇者 レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ株式会社 坂巻 宏亮(さかまき こうすけ)氏 |
「クラウドファースト=パブリックファースト」ではない
「クラウドとオンプレミスをいかに最適化するかが重要」と話す坂巻氏は、アプリケーションとインフラの観点からそれぞれに合ったハイブリッドクラウドを目指すべきであると言います。
「クラウドファースト=パブリックファースト」という固定概念があるが、Azure Stackの登場によって、これからはオンプレミスファーストという選択肢もあっていいのではないか、と話しました。
ハイパーコンバージドインフラでよりシンプルな構成へ
オンプレミスの選択肢としてはLenovoのハイパーコンバージドインフラ製品のブランドである「ThinkAgile」をご紹介いただきました。一般にハイパーコンバージドインフラは、サーバー、ストレージ、SANスイッチを活用する従来の3Tier型に対して、ストレージとSANスイッチを排除して構成をシンプルにします。
柔軟性とスピード感
「ThinkAgile」製品ラインアップの中で、Azure Stackとして提供されるのが「Lenovo ThinkAgile SX for Microsoft Azure Stack」であり、お客様にさらに強力なソリューションの提供を可能にすると話します。
坂巻氏はハイブリッドクラウド導入のコストは決して安くないが、その分柔軟性やスピード感はコストに見合うパフォーマンスを発揮すると断言します。
最後に坂巻氏は、お客さまの最適なハイブリッドクラウド化のために、今後個別に詳細な製品紹介やデモの実施、検証環境の提供という形でお客さまを支援していきたいと話し、講演を締めくくりました。
ご紹介した「Lenovo ThinkAgile SX for Microsoft Azure Stack」については、レノボと日商エレが戦略的な協業を開始しています。
これからのハイブリッドクラウド、よくある課題と解決策
最後に日商エレITプラットフォーム事業本部の西尾 友理(にしお ゆり)が登壇し、ハイブリッドクラウド導入にあたり避けては通れない課題とその解決策について講演させていただきました。
ハイブリッドクラウドは「シームレス」であること
多くのお客さまではクラウドとオンプレミスのアーキテクチャやオペレーションの違いから、クラウドとオンプレミスを別々に利用しており、名ばかりの”ハイブリッドクラウド”となってはいないか、と問題定義から始めました。
そして、これからはオンプレミスとクラウドがシームレスに連携できる状態だと考えを述べました。
これからの”ハイブリッドクラウド”
オンプレミスかクラウドかといったインフラの場所にかかわらず、同じような条件、同じような環境であり、同じようにアプリの開発やデプロイ、運用ができる状態であることが、これからのハイブリッドクラウドの肝となっています。ハイブリッドクラウドにはさまざまな実現手法がありますが、今回はハイブリッドクラウドのパターンを「IaaS型」、「IaaS+PaaS型」、「PaaS型」の3つに分けて説明しました。
また、クラウドへの移行に際してよくある課題として、「何をオンプレミスに残し、何をクラウドに移すか」といった移行対象に関する点やその手段、費用や見えないリスクについて触れました。こういった課題に対して西尾は「まず顧客とゴールを共有することが最も重要」とし、その上で業務要件を一つひとつ検討していくことが肝要であると話しました。
最後に日商エレとしては、AzureやAzure Stackだけでなく、レノボのハイパーコンバージドインフラなど豊富なソリューションに加えて、これまでのハイパーコンバージドインフラの実績を踏まえた知見をもとに、お客さまに合わせた提案をしていくことができると話し、最後のセッション、そして全体の講演を締めくくりました。
まとめ
今回は、年度末のご多忙の中でも大勢のお客さまにご参加いただきました。ビジネスを加速させる「本当の」ハイブリッドクラウドを実現するためには、慎重な検討の上に成り立つ大胆な変化が必要です。日商エレでは、導入のコンサルティングから専任SEによる運用支援までを一貫してご協力します。
AzureやAzure Stackについて少しでも気になることがありましたら下記にてお問い合わせください。
AzureやAzure Stackに関するお問い合わせはこちら
おまけ
西尾のセッションでは、冒頭のアイスブレイクで、来場者の方々にその場で携帯から出来るアンケートをリアルタイムで実施しました。いかに多くの企業でパブリッククラウドが導入されているのかを伝えるために行ったのですが、なかなか面白い結果が出ました。
質問:貴社でご利用中のハイブリッドクラウドは何でしょうか?
結果は、予想通り「利用していない」はゼロ回答でした。面白かったのは、「Microsoft」が一番多く、続いて「AWS」や「国産ベンダークラウド」であった点です。第三者機構の評価や市場のシェアでは、毎度AWSがトップを陣取っていますが、今回はMicrosoftの方にご登壇いただいたからか、Microsoftが最多となっていました。
確かに現状ではAWSが市場のリーダーです。しかしながら市場のポテンシャルはまだまだ大きく、今後のパイがどうなっていくかはわからない、と改めて思った結果となりました。
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この記事を書いた人
- Azure導入支援デスク 編集部
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