はじめに:クラウド移行の最大の壁「ID管理」

 

「フルクラウド化」という目標を掲げ、クラウド移行を推進している情報システム部の皆様、
サーバーの移行やアプリケーションの再構築など、やるべきことは山積しているかと思います。

しかし、その中でも特に多くの企業が直面する大きな壁、それが**「ID管理」**です。

長年使い続けてきたオンプレミスのActive Directory(AD)と、新しく導入するクラウドサービス。
両者のIDをどうやって統合し、管理していくか。
多くの企業がこの課題に直面し、移行の足踏みを余儀なくされています。

オンプレミスとクラウドが混在する**「ハイブリッド環境」**では、以下のような課題が発生しがちです。

  • ユーザー管理の二重化: オンプレミスADと各クラウドサービスで、ユーザーアカウントを個別に作成・管理する必要がある。
  • パスワード管理の複雑化: ユーザーは複数のパスワードを使い分けることになり、問い合わせが増加。情報システム部の負担が増大する。
  • セキュリティリスクの増大: 権限設定の不整合や、不正なアクセスが発生するリスクが高まる。
  • 運用負荷の増大: ユーザー追加、削除、変更のたびに、両方の環境で作業が必要となり、管理工数が膨大になる。

これらの課題を解決し、スムーズなクラウド移行を実現するためには、ハイブリッド環境に最適なID管理ソリューションが不可欠です。
そこで今回は、Microsoft Entra ID(旧Azure Active Directory)が、どのようにこれらの課題を解決するのか、そして貴社が提供するサービスがどのようにその移行をサポートできるのかを解説します。


 

 

Entra IDが解決する課題:オンプレミスADとのシームレスな連携

 

Microsoft Entra IDは、Microsoftが提供するクラウドベースのIDおよびアクセス管理サービスです。
オンプレミスのADと連携することで、ハイブリッド環境におけるID管理の課題を根本から解決します。

 

1. シングルサインオン(SSO)によるユーザー利便性の向上

 

Entra IDの最も大きなメリットの一つが**シングルサインオン(SSO)**です。

オンプレミスADとEntra IDを連携させることで、ユーザーは一つのIDとパスワードで、オンプレミス環境のアプリケーションとクラウドサービスの双方にアクセスできるようになります

これにより、ユーザーは複数のパスワードを覚える必要がなくなり、生産性が向上。
同時に、パスワード忘れによる情報システム部への問い合わせも大幅に削減されます。

 

2. オンプレミスADとのID一元管理

 

Entra IDとオンプレミスADは、**「Entra Connect」**というツールを通じて連携します。
これにより、オンプレミスADで作成したユーザーアカウントやグループ情報を、Entra IDに同期させることが可能です。

この機能により、管理者はオンプレミスADでユーザー情報を一元的に管理でき、ユーザーの追加・削除・変更といった作業を効率化できます。


 

Entra ID導入の具体的なメリット

 

Entra IDを導入することで、単にID管理が楽になるだけでなく、企業全体に以下のような大きなメリットをもたらします。

 

1. 運用負荷の軽減

 

Entra IDの導入は、情報システム部の運用負荷を劇的に軽減します。

  • ユーザー管理の自動化: オンプレミスADと同期することで、クラウドサービスのIDを手動で作成・更新する手間がなくなります。
  • パスワードリセットのセルフサービス化: ユーザー自身がパスワードをリセットできる機能を提供することで、情報システム部への問い合わせを削減します。
  • ログ管理の一元化: オンプレミスとクラウド両方のアクセスログをEntra IDで統合管理できるため、監査やトラブルシューティングが容易になります。

 

2. セキュリティの強化

 

ID管理は、企業のセキュリティ対策において最も重要な要素の一つです。
Entra IDは、以下の機能で企業のセキュリティを強力に強化します。

  • 多要素認証(MFA): パスワードだけでなく、スマートフォンアプリや電話など、複数の要素を組み合わせた認証を強制できます。これにより、パスワードが漏洩しても不正アクセスを防ぐことができます。
  • 条件付きアクセス: ユーザーの場所、デバイス、アプリケーションなど、様々な条件に基づいてアクセスを制限できます。例えば、「社内ネットワーク以外からのアクセスはMFAを必須にする」といったポリシーを設定できます。
  • リスクベースの認証: 不審なサインインの兆候(異常な場所からのアクセスなど)を検知し、自動的に認証をブロックしたり、MFAを要求したりします。

 

移行から運用まで、双日テックイノベーションが伴走します

 

Entra IDの導入は、ハイブリッド環境のID管理の課題を解決し、スムーズなクラウド移行を可能にする強力なソリューションです。
しかし、オンプレミスADとの連携設計や、既存システムへの影響を考慮すると、「自社だけで進めるのは不安だ…」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

ご安心ください。私たち双日テックイノベーション株式会社は、長年の経験と実績に基づき、お客様のクラウド移行をトータルでサポートします。

 

1. Azure移行診断サービス:現状の課題を可視化

 

まず、お客様のオンプレミス環境を詳細に診断し、最適な移行計画を策定します。
ID管理の課題だけでなく、サーバー構成やアプリケーションの互換性など、包括的に現状を分析します。

>>Azure移行診断サービスの詳細を見る

 

2. Azure構築サービス:ID統合・セキュリティ強化を設計・構築

 

診断結果に基づき、Entra IDの導入設計から実際の構築までを専門のエンジニアが担当します。
オンプレミスADとの最適な連携方法を提案し、セキュリティポリシーに合わせた多要素認証や条件付きアクセスの設定を丁寧に行います。

 

3. Azureマネージドサービス:安心の運用・保守をサポート

 

システム構築後も、安心してご利用いただけるよう、運用・保守をサポートします。
トラブル発生時の対応はもちろん、ID情報の管理やセキュリティポリシーの見直しなど、継続的な改善を支援します。

 

まとめ:未来のITインフラを、私たちと一緒に

 

フルクラウド化の道のりは、決して平坦ではありません。
しかし、Entra IDのような強力なツールと、それを最大限に活かす専門家のサポートがあれば、その道のりはより安全で、効率的になります。

ID管理の課題でお悩みの際は、ぜひ一度、私たちにご相談ください。
お客様のビジネス成長を加速させる、最適なソリューションをご提案させていただきます。

 

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この記事を書いた人

小杉 明恵
小杉 明恵
マーケティング担当として、Azureを中心に情報を発信しています。