目次
1. はじめに
Databricks Data + AI Summit 2025の3日目では、統合されたエコシステムの拡張やインテリジェントなデータガバナンス機能の進化など、重要な発表が続きました。以下は、キーノートの注目ポイントです。
2. Databricks x Microsoft の戦略的提携
Databricksは、Power Apps、Power Automate、Copilot Studio に対応するネイティブコネクタを正式発表。ユーザーはリアルタイムかつ安全に、手動のスクリプトなしでDatabricksデータへアクセス可能になります。
主なメリット:
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セキュリティ準拠:Entra ID OAuthおよびサービスプリンシパルによる認証統合
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データコピー不要:データの読み書きを直接実行可能
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リアルタイム同期:各プラットフォーム間でシームレスにデータ更新
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AIエージェント統合:DatabricksのデータをCopilotのナレッジとして活用可能
活用例:
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Power Apps:データ駆動型アプリの構築(例:店舗レイアウト最適化)
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Power Automate:リアルタイムデータを用いた業務自動化(例:労働安全モニタリング)
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Copilot Studio:Databricksデータを使って文脈を理解するAIエージェントを作成
3. Unity Catalog
3.1 Apache Iceberg の完全サポート
DatabricksはUnity Catalogを強化し、以下に対応:
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Databricksまたは他のIceberg互換エンジンから、Iceberg REST Catalog API経由でマネージドIcebergテーブルの読み書き
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AWS Glue、Hive Metastore、Snowflake Horizonなど外部のIcebergテーブル統合
Iceberg Managed Table(パブリックプレビュー)の紹介:
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SQL構文による簡単な作成:
CREATE TABLE name USING ICEBERG
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Snowflake、HMS、Glueなど、任意のIcebergエンジンからアクセス可能
3.2 ビジネスユーザー向けのUnity Catalogの拡張
現状の課題:
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各部門が異なるKPI定義を使用 → 結果が不一致
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データオーナー不在、監査・リネージなし
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KPIの再利用・共有が困難(BI・MLツール間)
解決策 – Unity Catalog Metric:
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企業全体での唯一の信頼できるKPIソース(SSOT)
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SQLやBIツールからの高性能クエリ対応
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厳格な認証とガバナンスを実現
改善のビフォーアフター:
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以前:同じ質問に対して部署ごとに異なる回答
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今後:統一された答えを全社で共有・活用可能
4. Lakeflow – あらゆるデータに対応する次世代ETL
Databricksは、より迅速かつ信頼性の高いパイプライン構築を可能にする統合ETLソリューション「Lakeflow」を発表。
主な特徴:
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Lakeflow Connect:多様なデータソースへの接続を拡張
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Lakeflow Connect Zerobus:メッセージバス(IoT、テレメトリ、クリックストリーム)から中間システムなしでDatabricksへ直接データ転送
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Declarative Pipelines:マルチコンピュート対応の新しいGUIエディタ。OSS化予定
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Lakeflow Designer:ノーコードでETLを設計できるビジュアルツール
差別化ポイント:
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AI支援:自然言語処理・画像認識を活用
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プロダクション対応:ノーコードとコードベースの環境をシームレス統合
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一貫したガバナンス:データの複製やガバナンスの断片化を防止
5. 次世代データウェアハウス
Databricksは、新世代のData Warehouseを発表:
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パフォーマンス25%向上
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コスト増ゼロ(0% more expensive)
より効率的で経済的、あらゆる分析規模に対応可能な設計。
6. Databricks SQL – すべてのニーズに応える最新SQL
6.1 Databrick SQLによるETLの最適化:
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Stored Procedures & SQL Scripting(パブリックプレビュー):ANSI SQL/PSM標準の条件分岐、ループ、例外処理に対応
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Temporary Tables(プライベートプレビュー):中間処理の一時テーブルを自動削除
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Multi-statement Transactions(プライベートプレビュー):複数ステートメントによるトランザクション対応
6.2 包括的な移行ツール – Lakebridge(2025年2月GA予定):
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DatabricksはDWH移行専門のBladeBridgeを買収
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Lakebridge Toolkitを発表:
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Analyzer:既存DWHの評価
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Converter:Stored ProcedureやETLロジックを自動でDatabricks SQLへ変換
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Validator:内蔵の整合性チェックツールでデータ検証
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7. AI/BIの未来 – Genieで進化する分析体験
7.1 Genieがダッシュボードを次のステージへ:
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中断なしの体験:その場で質問し、即時に回答を得る
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より深い洞察:要因分析、未来予測、「なぜ?」「もし〜なら?」の問いに対応
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分析の加速:欠損情報を自動補完し、分析を迅速に完了
7.2 Genie + Deep Research = セマンティックな知性
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従来の課題:設定が複雑、権限不足、マニュアルが煩雑
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新しい解決策:Knowledge Store
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フォーム入力だけでGenieが利用するデータにセマンティックな文脈を追加可能
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カラムの別名や意味、よく使うSQLをプログラミング不要で定義可能
8. Databricks One – データをすべての人の手に
課題:
多くの人がDatabricksを技術者専用ツールと見なし、ビジネス現場と距離を感じている。
ビジョン:
現場から経営層まで、すべての人にとってのデータの出発点に。
解決策:
Databricks One – 非技術者にも使いやすい直感的なUIとUXを備え、誰もが毎日データにアクセス・理解・活用できる環境を提供。
9. Databricks x Google Cloud – Gemini AI をネイティブ統合
Databricksは、Googleの対話型AI「Gemini」のネイティブ統合を発表。Databricks環境で直接AI対話の力を活用可能に。
10. まとめ
Databricks Data + AI Summit 2025 の3日目では、AI、データガバナンス、ETL、BIの各分野において、Databricksが一層進化を遂げていることが明らかになりました。特に、MicrosoftやGoogleとの提携、Unity Catalogの拡張、そしてLakeflowやGenieといった新機能により、ビジネス部門を含む全社的なデータ活用がさらに加速することが期待されます。
今後も、データとAIの活用を組織全体に広げるためには、最新の技術動向を把握し、現場での実践に落とし込むことが重要です。ぜひ今回の内容を、貴社のデータ戦略の一助としてご活用ください。
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この記事を書いた人

- Azure支援デスク 管理者
- 双日テックイノベーション(旧:日商エレクトロニクス)特設サイト「Azure導入支援デスク」サイトマスターです。
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