スポーツにもAIの力を~「TacticAI」が登場


皆さん、こんにちは!

昨日はClaude3についての記事を公開しましたが、本日も引き続き生成AI関連についてになります。息抜き箸休め回として、日課であるネットサーフィン中に見つけた面白いと思った記事をピックアップします!

スポーツ界において、データ活用は当たり前の世界になっておりますが、AIの利活用についての事例が出てきました。

イングランドの超名門フットボールクラブである(遠藤航選手も所属している)リヴァプールとGoogle DeepMind(Google社のAI開発部門)がタッグを組み、コーナーキックを解析し、アドバイスをしてくれる「TacticAI」を発表しました。

リヴァプールでコーナーキックと言えば、発表リリースにも書かれていますが、

‘Corner taken quickly… Origi!’

唯一ボールを見ていたリヴァプールレジェンド、ディヴォック・オリギ選手が決めた土壇場ゴールかと思います。2019年Champions League準決勝…..懐かしいですね。試合をライブで見ていた人、ハイライトで見た人もあの瞬間、オリギ選手と眼が合ったと思います。

本題へ入る前に、コーナーキックとは何なのかを解説します。コーナーキックとは、攻撃をしているゴール側の角から試合が再開するルールのことを指しています。守備側の選手が最後にボールを触れて、ゴールとならずに守備側のゴールラインを割ったときに、攻撃している側が相手のゴールライン角から試合を再開できます。

さて、TacticAIとは、予測・生成AIを活用して、特にコーナーキックに関する戦術的な分析結果を提供してくれるAIツールになります。

「コーナーキックの分析」という領域において、標準的な分析方法が確立していない状況下で、AIのディープラーニングを用いたアプローチにより、分析を標準化できるほどのモデルの生成に成功、分析結果を提供できるようになりました。

コーナーキック分析はその分析方法が確立されていないのもそうですが、ランダム性があり過ぎるが故に、予測することが非常に難しいとされています。どのようにしてボールを蹴り、どのような高さ/スピードでボールがゴール前に到達し、どのように選手たちが動き、誰がボールに触るのかといったことを考慮する必要があります。

そして、試合におけるコーナーキック数というのも限られているため、そもそも分析するためのサンプル数が少ないことも難しさに拍車をかけています。

では、どのようにしてTacticAIは高精度の予測ができるようになったのか。ジオメトリックディープラーニング、私の解釈でいえば空間認識・図形を用いてデータをAIに学習させ、実現させたようです。

コーナーキックのセットアップをグラフとして表現し、ノードは選手(位置、速度、高さなどの特徴を持つ)、エッジは選手間の関係、そしてピッチの対称性を利用して…..といった形です。

ここではすべてを紹介できませんので、是非リリースを見ていただきたいと思います!

現状の結果としては、TacticAIが提案した戦術・セットアップの方が、練習の中で実践しているセットアップよりも90%以上好まれているといった報告がされています。また、こういった分析をする際は、調査官がライバルチーム等の試合を何十試合と観て、類似性を見つけるといったことをしてきました。そういったことも、TacticAIを利用することで簡単に見つけ出すことができるようになったとされています。

TacticAIは現状成功の道を進んでいると思いますし、リヴァプール・Google社の長年の成果ともいえるかと思います!

次の試合でも起こるであろうコーナーキックは、もしかしたらTacticAIによってデザインされたものかもしれませんね。YNWA!


参照URL:TacticAI: an AI assistant for football tactics – Google DeepMind

この記事を書いた人

森 信之介
テクニカルマーケターとして、ブログ執筆、セミナー講師を行っております!