2018年2月16日、東京・品川の日本Microsoft本社にて「最新のAzureソリューション」のプライベートセミナーを開催しました。
今回のセミナーでは、日本Microsoftのエバンジェリスト高添 修氏とテクノロジースペシャリスト前島 鷹賢氏、エグゼクティブアドバイザー小柳津 篤氏の順にAzureソリューションのメリットや同社の働き方改革について解説していただきました。最後に日商エレ近藤 智基とアジュールパワー代表取締役 橋口 信平氏からAzure上にIoT基盤を構築する「Power IoT Platform」を紹介しました。

オリンピックで羽生くんが輝かしき金メダルを取ったあの日と同じ2月16日、日本の品川でも熱いオーディエンスの視線を集めることができました。



Azure&Azure Stackのハイブリッドクラウドが作る新しい企業ITのありかた

 

第1セッションに登壇したのは「ハイブリッドクラウドの第一人者」として業界でも名高いMicrosoftエバンジェリスト高添 修氏。高添氏は「企業がクラウドを活用する目的はコスト削減ではありません。スピーディーにビジネスを展開するためです」と現在のクラウドのニーズについて語ってくれました。こうしたユーザーのニーズに応えるため、Microsoftは次の3つのAzureの利用シナリオをユーザーに提案しています。

  • 社内基盤の拡張:既存データセンターの拡張、DMZをAzureに設置など
  • 既存環境の機能強化:ID連携、DR(災害対策)、バックアップなど
  • 新規事業や新規用途:AiやIoT、ビッグデータの活用など

また、高添氏は「2018年はこれまで以上に世界的にプライベートクラウドとハイブリッドクラウドの導入が進むことでしょう。その動きを加速させるのがAzure Stackです」と語ってくれました。Azure StackではプライベートクラウドでAzureのIaaS、PaaS機能が利用できます。インターネットでの大量データの処理遅延、いわゆるパブリッククラウドでの問題を解決するために開発された製品です。「Azureと同じ管理基盤であり、テンプレートも用意されているため、イチからシステムを構築する必要がありません。そのため、エンジニアはパブリッククラウドとプライベートクラウドを意識することなくシームレスな環境でハイブリッドクラウドを構築・運用できます」と高添氏は述べました。

■エッジソリューションおよび被接続ソリューション

エッジソリューションおよび被接続ソリューション

Azure Stack を使用する理由

  • リアルタイム待機時間の要件
  • 接続の問題
  • ローカル データ処理

集約分析およびビッグデータモデリングにAzureを使用
共通のアプリケーション ロジック(スキルやツールの共通化)

■あらゆる規制に対応するクラウドアプリケーション

グローバルアプリケーション

Azureでのグローバルアプリケーションの開発とデプロイ
Azure Stackにデプロイし、規制に関するお客様の優先事項へ対応

  • 政府
  • 業界
  • 地域

アプリケーションへの変更なし

■クラウドとオンプレミスで一貫したモダンアプリケーション

クラウドとオンプレミスで一貫したモダンアプリケーション

クラウドに未対応のオンプレミスアプリケーションにモダンアーキテクチャを適用する

  • PaaS
  • サーバーレス コンピューティング
  • マイクロサービスとコンテナー

コードを変更することなく Azure に移行する一貫したプログラミング モデル、 スキル、およびプロセス

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働き方改革の支援だけじゃない!?Azure上でVDIを提供するメリット

第2セッションではAzure Infrastructureテクノロジースペシャリスト前島 鷹賢氏が登壇しました。「働き方改革を実現する手段の1つとして、MicrosoftはCitrix社と提携してAzure上に構築したVDIをパッケージ化した『Citrix Cloud on Azure』をユーザーに提供しています」と前島氏は語ります。

「Citrix Cloud on Azure」ではMicrosoftがインフラ基盤にAzure、OSにWindows、業務アプリケーションにMicrosoft 365などのソフトを提供。Citrixがクライアント仮想化基盤にXenAppやXenDesktop ServiceなどのCitrix Cloud、ネットワーク最適化にCitrix NetScalerを提供した2社の強みを生かしたクラウド時代ならではのソリューションといってよいでしょう。

前島氏は「従来のオンプレミスVDIで導入・運用のネックとなっていたことが『Citrix Cloud on Azure』で解決できます」と述べました。

プラットフォームとしてのAzureを活用

「オンプレミスとちがい、最新のハードウェアに簡単な操作で随時リプレイスできるので、ハードウェアの減価償却を気にする必要もありません。また、Azureが従量課金制であることから、夜間や休日など利用者の少ない時間帯は稼働台数を調整して、ランニングコストの削減も可能です。」(前島氏)

Azureのリージョンが世界36の地域で提供されているため、海外でビジネスを始める場合にも容易にVDI環境が構築可能です。「Citrix Cloud on Azure」は働き方改革を支援するだけでなく、ビジネスをグローバルに展開する機会を与えてくれるソリューションといっても過言ではありません。

Microsoft本社30FにあるTechnology Centerには日商エレにて構築したCitrix Cloud on AzureのPOC環境をご用意しています。実際に操作してみたい方がいらっしゃいましたら、日商エレまでご相談ください。

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世界No.1のクラウドベンダーであるMicrosoftが実現した働き方改革

第3セッションではMicrosoftエグゼクティブアドバイザー 小柳津 篤氏が登壇。小柳津氏は100社以上のワークスタイル改善や変革をサポートしたテレワーク推進や企業の働き方改革のプロフェッショナルです。「今、キャリアの人間が『仕事の用事で毎日東京23区に来るな』と言っています」と衝撃的なセリフでセッションが始まりました。

現在、安倍内閣では2~3兆円の国家予算をかけて働き方改革を推進しています。このレポートを読んでいる人の企業でも働き方改革に取り組んでいることでしょう。小柳津氏は「Microsoftでは約10年前から生産性とイノベーションアップのために働き方改革に取り組んできました。その結果、世界一のクラウドベンダーへと成長しました。今やMicrosoftはOffice製品やOSを提供するだけの企業ではありません」と語ります。

Microsoftが生産性とイノベーションを上げるため掲げた目標は「『いつでも』『どこでも』『誰とでも』『さっさと』といったどんなワークシナリオにも対応できる仕組みを築く」ことでした。それを実現するために「共感力」「多様性」「関係性」「共創」という4つの価値観を社員全員の共通認識として、次の方法論をとりました。

“価値観の実践”には何が必要だったか?

業務の整理整頓”標準化”電子化”  圧倒的に”便利”で”安心安全”な環境整備  “習慣化”を経て実現する”企業文化” 
  • タスク系業務の最小化、削減
  • 完全ペーパーレス化
  • システム化、AI化
  • 業務委託、アウトソース
  • 空間デザインの工夫で”コラボ促進”
  • クラウド活用で”どこでも業務”
  • 万全&厳格なリスクコントロール

労務管理”&”情報管理”

  • リーダーシップ=”トップの覚悟”
  • とにかくやってみる=”習うより慣れよ”
  • 社内広報活動 = “言語化”と啓蒙啓発 

これらの取り組みを経て「部門対立型のMicrosoftから One Microsoft」へと変革を遂げたのです。その結果、2010年度と比べて2015年度には社員1人あたりの生産性が26%、社員のワークライフバランス満足度を40%アップさせることに成功しました。

自社の働き方改革にお悩みの企業はMicrosoftのワークショップに参加してみてはいかがでしょうか。ご興味のある方は日商エレの担当営業にご連絡ください。

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ビジネスの成果をコミットさせる日商エレのAzureソリューション

第4セッションでは前半に日商エレ 営業推進部 営業推進第一課課長 近藤 智基から、日商エレが提供する今後のAzureソリューションの展望を紹介しました。

「お客様の成果がコミットできるようなソリューションの提供を考えています。Azureを使ったハイブリットクラウドコンサルティングもそのうちの1つです。具体的にはLoB(Line of Business)のビジネスを推進できるようなIoTのビジネス基盤、監視、運用設計・支援、モニタリング、成果達成のためのビジネスプランの提案まで支援することを目標としています。」(近藤)

日商エレはインフラの導入から運用後の成果達成までをワンストップでお客様の支援をするため、日本Microsoft、日本ヒューレット・パッカード、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ、シトリックス・システムズ・ジャパン、VMwareなどのベンダーと協業してソリューションを提供しています。クラウドインテグレーターのアジュールパワーも日商エレのビジネスパートナーの1社です。今回のセミナーではアジュールパワー代表取締役 橋口 信平氏からクラウド上で簡単にIoTビジネスの基盤が構築できる「Power IoT Platform」の特徴や導入メリットを解説していただきました。

IoTビジネスの基盤構築・運用が容易に行える「Power IoT Platform」

「これまでIoTのビジネス基盤構築は複雑で難易度が高いものと認識されていました。基盤構築にはプラットフォーム、デバイス、ネットワーク、アプリケーション、BI、セキュリティなど幅広い技術要素やスキル必要とされるからです。しかし、『Power IoT Platform』を導入すれば、自社でインフラを構築することなくAzure PaaS上にIoTビジネスの基盤が簡単に構築できます。閉域接続できる安価なSIMも提供しているため、外部からの攻撃による情報漏洩の心配もありません。」(近藤)

「Power IoT Platform」は導入が簡単、かつセキュアな環境が構築できるだけではありません。運用管理も「Power Monitor」というGUIの管理コンソールを使えば、簡単に行えます。

■デバイス管理コンソール機能「Power Monitor」

デバイス管理コンソール機能Power Monitor

Power Monitorの機能

  • Azure PaaSに対応したサーバソフトウェア
  • IoTデバイス、GW、SIMの紐づけ、管理情報登録が可能
  • 様々な検索キーでIoTデバイスを瞬時に検索してセンター情報をMicrosoft Power BIで分析
  • MACアドレス、SIMといったデバイス認証情報が登録可能
  • 収集したテレメトリー情報の一括出力
  • 各種IoTデバイスの登録管理
  • 各種IoTデバイスの資産管理・グループ化
  • ルールによるトリガ作成、トリガによるメッセージをメールで通知
  • 対応IoTデバイスに対するコマンド実行(リブート、スリープ、設定変更など)

「Power IoT Platform」はアジュールパワーのホームページから無料でユーザー登録が行えます。実際の使い勝手を試してみたい人はお問い合わせください。

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まとめ

ビジネスのあり方や私たちの働き方に変革をもたらすプラットフォームといわれるAzure。今回のセミナーではハイブリッドクラウドや、AIやIoTを活用した新しいビジネスを展開したり、テレワークを推進したりするうえでAzureは必要不可欠であることがお客様にお伝えできたのではないかと思います。

おまけ

小柳津さんのプレゼンは何度も拝聴しているのですが、主催者ながらいつもそのプレゼンには惹きつけられます。各Azureソリューションも魅力的ではあるのですが、今回特に印象に残ったのは、働き方改革は多少強行に断行しないと進まない、「とにかくやってみる」という姿勢が大事である、というMicrosoftでの実体験もとにした教訓でした。

このセミナー後早速、わが部門でもチームの定例MtgはWeb会議で実施する、という取組みを始めてみました。正直なところ、最初は戸惑うことが無きにしも非ずでしたが、とはいえ特に大きな支障もありません。数をこなすと、Web会議が日常になりました。
これで今のチームであれば、打合わせは『いつでも』『どこでも』『誰とでも』『さっさと』できます。

ITがあるだけでは何も変わらない、まずは「とにかくやってみる」ことの大切を肌で感じました。私たちも単にお客様のシステムを構築だけでなく、使う人の意識の変革まで含めてご提案していかなければいけないと、身をもって感じた体験でした。

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