仮想デスクトップの種類とその選び方
仮想デスクトップの種類とそれぞれの特徴やメリット、選び方について解説いたします。
物理PCを調達する場合、同じスペックの機材を必要台数用意されると思います。しかし最近の物理PCは過大スペックであることが多く、リソースの使用率は低いのが現実だと思います。
仮想デスクトップではデーターセンターのハードウエアリソースを共有して利用します。そのため従業員1人1人のデスクトップ環境を過大スペックとしてしまうと、必要以上に投資額を跳ね上げてしまいます。一方投資額を抑えるために過小スペックとしてしまうと、リソース不足による低パフォーマンスを招いてしまいます。このような状況に陥らないためにも、従業員1人1人のデスクトップ環境を正しく把握しそれぞれの従業員に最適な仮想デスクトップ環境を提供することが求められます。デスクトップ環境を正しく把握する方法はいずれ解説させていただくこととして、今回は各従業員に最適なデスクトップ環境を提供するために、仮想デスクトップの種類として代表的なVDI(Virtual Desktop Infrastructure)方式と、SBC(Server Based Computing)方式について解説したいと思います。
VDI方式とSBC方式の本質的な差異
VDI方式とSBC方式の根本的な違いは、Windows8やWindows10などのクライアントOSを仮想化するかしないかとなります。SBC方式ではWindows Server上に仮想化されたアプリケーションを、複数のユーザーで共有します。そのためWindows ServerのインストールされているServer(ハードウエア)のCPU・メモリ等のリソースも共有して利用することになります。一方VDI方式ではハイパーバイザー上に複数のクライアントOSをインストールして利用します。そのためハードウエアのCPUやメモリ等に加え、クライアントOSをインストールするためのHDD容量が必要となります。サーバーだけで必要なHDD容量を補うことは難しいため、一般的にはストレージを組み合わせた仮想デスクトップ環境を構築します。そのため一般的に、SBC方式に比べVDI方式の方が投資額も高額化します。
VDI方式にも2つの方式があることを御存知ですか?
一般的にVDI方式では従業員1人1人に個別のデスクトップ環境を提供するように思われがちですが、実はVDI方式にも2種類の方式が存在します。前述の従業員1人1人に個別のデスクトップ環境を提供する方式を占有型と呼ぶことに対し、同一イメージの複数のデスクトップを従業員で共有して利用する方式を共有型と呼びます。占有型では従業員にとって自由度・利便性の高いデスクトップ環境を提供できますが、システム管理者視点で考えると管理工数が増大するリスクを秘めております。一方共有型の場合においては、システム管理者としては管理工数を削減可能ですが、従業員からすると自由度・利便性の低いデスクトップ環境となります。
最適なデスクトップ環境の実現に向けて
SBC方式・占有型VDI方式・共有型VDI方式の特徴を紹介させていただきました。それぞれの方式にはメリットとデメリットがあり、お客様のデスクトップ利用状況に合わせて各方式を組み合わせることが重要となります。従業員1人1人に最適な仮想デスクトップの方式を選択することで、投資コストも最適化することが可能となり、全従業員に占有型VDI方式を提供することに比べコスト削減効果も高まります。どのような業務を行っている従業員に対しどの方式を選択するかを判断するには、現在のデスクトップ環境の使われ方を正しく把握しグルーピング化する作業は避けられません。このアセスメント作業については、別の機会で解説させていただきます。お楽しみに。
経営者を納得させるVDI稟議書の書き方
日商エレクトロニクスの情報システム部門経験者が作成したデスクトップ仮想化導入の稟議書資料です。
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