セキュリティだけじゃない!VDI(デスクトップ仮想化)を導入する6つのメリット
セキュリティだけじゃない、VDIを導入する6つのメリットをご紹介します。
仮想化したデスクトップ環境をサーバー上で構築して、それをクライアント端末から呼び出すことでデスクトップ環境を利用するデスクトップ仮想化(VDI)。近年、シンクライアントの実現形態の1つとして導入が進んでいるVDIには、セキュリティ面を始めさまざまなメリットがあります。
今回はそのようなVDI活用の具体的なメリットをご紹介します。VDIが今貴社が抱えている課題を解決に導いてくれる糸口になるかもしれません。ぜひご覧ください。
メリット①セキュリティの強化
VDI導入のメリットで最も大きなものの1つがセキュリティの強化です。具体的には以下のような側面でセキュリティリスクが低減されます。
1-1. クライアント端末でのデータ漏えい/紛失の可能性が低い
通常VDIでは、データはすべてサーバー側に記録し、クライアント端末はハードディスクなどデータ記憶装置を搭載しないシンクライアント用の端末を利用します。従って、端末側に機密情報や個人情報が残ることがありませんので、端末を紛失した場合でもデータが漏えいする可能性が低くなります。
1-2. クライアント端末のセキュリティパッチなどを一括管理できる
セキュリティ上重要なOSのパッチ更新は、従来は各々のユーザーの手に委ねられていた場合もありました。しかしVDIでは情報システム部門などで一括管理することができます。従って、パッチの更新漏れなどが発生しにくく、最新のセキュリティ状態を保つことができます。
1-3. デスクトップ環境の集中管理ができる
各ユーザーが使うデスクトップ環境を集中管理できるので、例えばセキュリティに問題があって利用禁止されているアプリケーションがインストールされることを防ぐことや、全社共通のセキュリティポリシーの遵守が比較的簡単に実現できます。
メリット②システム運用コスト/工数(TCO)の削減
VDIでは、サーバー上にデスクトップ環境を作成するため、物理的な各々のクライアント端末上で個別に環境構築する必要がありません。また、個別のデスクトップ環境の管理もサーバー上から行うことができます。これにより情報システム部門の運用コスト/工数を大幅に削減することができます。
2-1. クライアント端末の新規調達や交換工数が削減されかつ迅速に対応できる
新たに端末を調達する場合、1台1台環境構築する必要があったり、トラブルや交換の際にも1台ずつ個別に対応する必要があったりするなど、特にスタッフ数が多い大企業などにおいてはクライアント端末の管理だけでも情報システム部門の工数は相当なものです。
デスクトップ仮想化では、新規調達の場合でも環境構築に関してはサーバー上に仮想環境を作成するだけです。もちろん物的なクライアント端末の調達は必要ですが、1台1台環境を構築するいわゆるキッティング作業が大幅に削減されるために作業工数が削減され、なおかつ準備までのスピードも短縮されます。また、交換時も同様に物理的な端末の交換以外はサーバー上で対処することができますので、迅速かつ効率的に対応できます。
2-2. 日々の運用やメンテナンス工数も削減できる
システム運用は、サーバーだけではなくクライアント端末も対象になります。具体的にはOSやアプリケーションのパッチ適用やアップデート、また新規のアプリケーションの配布などがほぼユーザーの手を介さずにサーバー上だけで行うことができますので、運用/メンテナンス工数が従来よりも削減されます。さらに一括で処理することによって、メンテナンス漏れの発生を抑えることにもつながります。また、トラブル発生時も物理的故障ではない限りは個別に対応する必要がなくなります。
メリット③「仕事」のあり方を変える─業務効率向上とワークスタイル変革
VDI環境を構築することにより、ネット環境さえ整えば原則どこからでも仕事ができるようになります。そのことはスタッフの”働き方”に対してさまざまな好影響を与えます。
3-1. 業務効率/サービス品質が向上する
今までは、セキュリティ面や工数面から社外に持ち出しできるデータには限りがありました。しかしVDI環境ではデータを持ち出すことなく、セキュアな環境で社内同様の条件でデータを利用できるため、ネットワーク環境さえあればどこからでも仕事ができるようになりました。例えば書類作成のためにわざわざ客先から自社へ帰社する必要がなくなったり、商談中にその場でお客様の要望を反映した詳しい見積書を作成するようなことも可能になります。このように特に外回りの多い営業部門やメンテナンスサービス部門などにおいて、どこからでもデータアクセスを可能にすることにより、業務効率向上やサービス品質を向上させることができます。
また、スタッフ自らが自主的に効率良く働ける場所を選択することによって、さらにクリエイティビティや企画力を発揮したり、処理効率を上げることも期待できます。さらに、今まで必要だった機密データやクライアント端末の持ち出し許可申請も原則不要になり、本業に集中できる時間が増加します。
3-2. ワークスタイル変革を促進す
場所を選ばず業務できるようになるということは、これまで実現できなかったさまざまなワークスタイルが可能になることを意味します。在宅勤務やワークシェアリング、時短勤務などに対する抵抗が少なくなり、優れたスキルや経験を持ちながらも子育てや介護などによって通常の勤務ができない方の力を会社や社会に生かすことが可能になります。また、地理的な制約も受けにくくなることから、世界各国からグローバル規模で優秀な人材や才能をすぐに活用することもできるようになります。
このようなワークスタイル変革は、さまざまな就業形態を許容することにより優秀な人材/才能を最大限活用できるようになると共に、スタッフの離職率を減らすことで採用/教育コストを削減することにもつながります。
3-3. より手軽にモバイル環境でも業務が可能になる
VDIでは現在は専用のシンクライアント用端末が主流ですが、VDIの環境によってはタブレットやスマートフォンなどのモバイルデバイスが使用可能な場合があります。モバイルデバイスが自由に利用できるようになると、さらにいろいろな環境や状況で業務が可能になり、スタッフの生産性も向上します。また低リスクでBYOD(Bring your own device、スタッフ所有のデバイスを安全な環境で業務に利用すること)を導入できるようにもなります。
メリット④事業継続性の向上
自然災害を始め、テロや大規模事故などの影響で事業の継続が困難になる場合があります。VDI環境が構築されている状況では、例えば大規模地震によってオフィスが使用不可の状態になったとしても、サーバーとネットワーク環境さえあれば場所を変えて事業を継続することが可能になります。また、交通網が大きく乱れた場合でも、その影響を最小限に抑えることもできるようになります。
そのように大小さまざまなリスクに対して、VDIによって事業継承性を向上させることができるようになります。事業継承性は、特に2011年3月に発生した東日本大震災およびその後の計画停電などの影響により、再び注目されているようになっています。
メリット⑤クライアントサイドの稼働率が上がり長期/安定利用ができる
VDIでは一般的に、ハードディスクなどの記憶装置を搭載しないシンクライアント向けの端末が利用されます。ハードディスクは機械的な可動部分が多く、コンピューター機器の中でも最も故障の発生が多いパーツの1つです。
そのようなパーツを搭載しないために、VDIで用いられる端末は従来のPC端末などと比べて故障が発生する確率が低くなります。しかも機械的な可動部分が少ないために老朽化による消耗も少なくなり、長期間に渡って使用することができます。
これにより、故障や交換によるシステム利用できないリスクが低減し、スタッフや利用先店舗などにおける業務停止期間などが短縮できます。
メリット⑥節電効果による省エネルギー
仮想デスクトップ環境で利用するシンクライアント用端末は、記憶装置を搭載しないことなどから一般的なPC端末よりも消費電力が少ないという特徴を持ちます。これは、システム稼動に際する全体の消費電力を抑えることになります。電気料金削減というコスト面だけではなく省エネルギーによって社会的にも貢献することになります。
いかがでしたでしょうか。仮想デスクトップ(VDI)は単にシステムだけではなく、事業や業務面、また労務面など多くの領域でメリットがあることが理解いただけたのではと思います。ここで取り上げた項目に関して課題をお持ちの場合は、一度VDI導入の検討をされてはいかがでしょうか。
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