お、ねだん以上。「ニトリ流」働き方改革を実現VMware Horizon Cloud on Microsfot Azure
(左より)
株式会社ニトリ 採用教育部人事広報グループ
中村 麻衣子 氏
株式会社ニトリホールディングス情報システム改革室 室長
荒井 俊典 氏
株式会社ニトリホールディングス情報システム改革室 技術チーム 東京
中崎 浩 氏
企業名:株式会社ニトリホールディングス
「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」という理念を掲げ、家具・インテリア用品(ホームファニシング商品) の店舗を国内外の広範なエリアで展開。原材料の仕入れから商品企画・製造・物流・配送・販売・社内システ ムまでを自社による一貫体制で行うことで、高い顧客満足度を生み出している。現在は「2032 年に 3,000 店舗・売上高 3 兆円」という経営目標の達成に向けてグローバル化と事業領域の拡大に取り組んでいる。
ニトリ流「働き方改革」を加速する新たな VDI 環境
「お、ねだん以上。」のキャッチフレーズで知られ、 家具・インテリア用品の企画・製造・物流・販売・ 社内システムに至る工程をすべて自社で行う独自の“製造物流小売業”で急成長を続けるニトリホールディングス。国内と海外にある店舗数は 2018 年度末で 570 店を超え、売上高は 6,000 億円に達している。 また事業規模の拡大に伴い社員数も増加している。約 5,000 名(2018 年 2 月期)に上る国内の社員のうち女性は約 3 割、近年は若年層を中心に女性の比率が高まっているという。
10 カ年の経営課題として「グローバル化と事業領域の拡大」を掲げる同社では、組織改革の一環として、すべての従業員にとって「働きやすい環境づくり」を進めている。採用教育部 人事広報グループの中村麻衣子氏は「現場の声を働く環境に反映させ、出産・育児関連制度の拡充、短時間勤務や在宅勤務制度などの施策を推進しています。従業員の働き方の選択肢は年々拡がっています」と説明する。こうした活動が評価され、同社は 2018 年には日本次世代企業普及機構が主催する「ホワイト企業アワード」で理念共有部門賞を受賞した。
こうした変革の過程において課題となるのが、それらを支えるIT環境の整備だ。東京、札幌、大阪の本部で働く社員が、在宅やサテライトオフィスで仕事をする場合、これまでは社給のノートPCを持ち出していたが、この場合、情報漏洩のリスクが懸念される。また、PCを持ち帰る必要があることも社員にとっての負担が大きく、子育てや介護で急遽出社ができなくなった場合は休暇を取らざるを得ない状況だった。「在宅勤務者の拡大やテレワーク勤務を考慮すると、自宅のPCやスマートフォンを使って安全かつ快適に仕事ができる仮想デスクトップ(以下、VDI) 環境が必要だと判断しました」と情報システム改革室技術チームの中崎浩氏は説明する。
ニトリ様コメント:事業の成長に追随するために、 Horizon Cloud on Azure の導入にチャレンジしました。
ニトリ様コメント:在宅勤務利用者からは、自宅の PC からでも仕事ができるので、もしもの時に安心という声が届いています。
「どこでもアクセス」「働き方の変化に対応」が必要
VDI 環境として同社が第一の要件としたのは、国内・ 海外を問わずどこからでも業務環境に安全にアクセスできることだった。加えて、在宅勤務を選択する社員は繁忙期などによって利用頻度が変化することから、柔軟に短期利用ができることも必須だったという。システム面ではセキュリティはもちろんのこと、社内で利用している Microsoft 365との親和性と、業務アプリケーションの安定稼働が重要な要件だった。
「当社の場合、Skype for Business は欠かせない コミュニケーション手段であることから、VDIでも安定的に使えることが条件でした。また、自社で開発したアプリケーションも動作できる環境が必要でした」(中崎氏) 同社はこうした要件を満たすクラウドベースの VMware Horizon Cloud on Microsoft Azure(以下、Horizon Cloud on Azure)を選定し、導入パートナーには双日テックイノベーションを指名した。
ニトリが Horizon Cloud on Azure を採用した3つの理由
1. 利用ユーザーの増減に合わせコストを最適化
在宅勤務やサテライトオフィスを利用する頻度や時間は、業務内容や繁忙期などの影響で人によって異なるため、社員全員にVDI環境を提供するとコストが見合わない。そこでVDIを提供するインフラとしてAzureを採用し、従量課金に対応。また、VDIの製品としてはOS管理、パフォーマンス高速化、Skype対応、仮想マシンのスケジュール起動に優れ、同時接続数ライセンスに対応する VMware Horizon Cloudを採用。 この組み合わせにより、利用者が少ない時期には仮想マシンを止めるなど、VDI全体にかかるコストの最適化を図ることができる。
2. ユーザーの利便性を向上
Microsoft 365との親和性 通常、インターネット経由でMicrosoft 365を利用する場合、ネットワークの帯域が細いと Microsoft 365の通信に遅延が生じ、利便性が下がることがある。ところが、Azure上のVDIでMicrosoft 365を利用する場合、Microsoftが提供している強力なバックボーンを経由してMicrosoft 365アプリケーションに接続でき、遅延が少なくなるためユーザーの利便性が向上する。「将来的な拡張性、またMicrosoft 365やActive Directoryとの親和性を考慮した結果、AzureベースのHorizon Cloudを採用しました」(中崎氏)
3. 海外拠点からでも快適に利用できる
同社はグローバル化を進める中で、海外での利用も想定する必要があった。Horizon Cloud on Azureは、世界中にある 40以上のAzureリージョンに対応し、Horizon Cloudの1つのライセンスで複数のリージョンにVDIを展開することができる。それぞれの拠点に近いリージョンで仮想マシンを起動することで、海外でも快適にVDIを利用できる。「実際、中国のオフショア開発部隊でも70名ほどVDIを利用しています」(中崎氏)
ニトリ様コメント:VDI を導入することで、働き方改革の取り組みをシステム面で支援することができました。
ニトリのチャレンジを熱い想いで支えるサポート力
Horizon Cloud on Azure の導入に関しては、「Skypeが遅延なく使えるか」「自社開発アプリケーションが、VDI上 の Windows10できちんと動作するか」など不安があった。また導入当初は新しい製品であったため、同社にとっては大きなチャレンジだった。 導入に至る経緯について、情報システム改革室 室長の荒井俊典氏は「国内企業では初のチャレ ンジということでしたが、双日テックイノベーションは VDIの導入実績も豊富で、しっかりとしたサポート体制を示してくれたことは安心感につながりました」と評価している。 双日テックイノベーションは、同社から寄せられるあらゆるシステム課題、不安要素に対してデモや検証を通じ、信頼を高めていった。実際、導入前には双日テックイノベーションの環境を利用して、ログイン方法、UI、認証基盤との連携などを確認、また心配していたSkypeの接続も他拠点間でのデモを通じて、利用できると確信できた。 また、安全なネットワーク環境なども含めて提案があったため、同社は最適なセキュリティとパフォーマンスを維持できる構成で導入することができた。
「サポートメニューも充実しており、導入後も力強いフォローがあるので安心して運用できます」(中崎氏)
「利便性向上」と「 30%の運用負荷軽減」効果を実感
Horizon Cloud on Azure は現在、Windows10 環境で約70名の本部所属の社員が在宅勤務で利用している。導入を機に端末の利用ルールも改め、BYODも許可した。
「以前の環境はネットワーク帯域が細く、大容量の商品画像をダウンロードすると長い待ち時間が生じ、業務効率が落ちる要因となっていましたが、今回、VDI専用のネットワークが用意されたことで大きく改善されました」(中村氏)
IT 担当者にとっては、VDIによってセキュリティレベルが向上したこと、また運用負荷が軽減したことは大きなメリットとなっている。それまではすべての PC をセットアップし、トラブルも個々に対応していたが、VDI なら PC の一元管理ができる。また、VDI 環境のメンテナンスもクラウド上の画面で運用できるため工数の削減につながった。中崎氏は「まだ運用が始まったばかりですが、 すでに3割程度の負荷軽減ができていると体感しています。今後は5割、7割と運用負荷を減らしていきたいと思います」と述べている。
在宅・テレワーク勤務以外にも 拡がる VDI の活用
Horizon Cloud on Azure の利用は、すでに在宅勤務の利用者以外にも拡がっている。海外拠点からの業務システム利用や、社内のマネジメント層には iPadを配布し、社外から VDI 環境に アクセスして決裁ができるようにしているという。 今後は、在宅勤務の対象を拡大していく施策の他にも、Horizon Cloud on Azure の活用を促進する方針だ。現在、10カ所ほど用意しているサテライトオフィスにおいても、従業員が社給 PC を持ち歩くことなく働けるよう環境を整えていく予定だ。また、コールセンター業務 や RPA 業務など、さまざまな用途での活用に もチャレンジしていきたいと考えている。 このように VDIのニーズが高まるにつれて、同社はますます最新の情報提供やサポートが重要に なると考えている。荒井氏は「プロジェクトを通じて、Microsoft や VMware のソリューションにおける双日テックイノベーションのプレゼンスを実感しました。今後も技術面や保守面でのサポートに大きな期待を寄せています」と語ってくれた。